発表要旨(2010年度大会)
本研究ではコメを籾のまま原料とし、可搬型リアクタを用いた。今回、リアクタ液温の積算温度と発酵収率には正の相関があった。また、蒸留残液の返し仕込みでは、エタノール生成の低下が顕著となる以前の3回程度は蒸留残液を繰り返し利用できると示された。
省力的なコメ原料バイオエタノール生産として全粒糖化発酵を検討した。酵母の添加量増加によりエタノール収率が向上し、加えて液化、糖化を同時に行うことにより操作時間を短縮した実験区では、非短縮区と同等のエタノール収率を得た。また、焼酎酵母よりも安価なパン酵母の方が、エタノール生成能は高いことが示された。
- A-3
Semi Continuous Ethanol Fermentation of Sago Starch by Cocultures of Aspergillus Awamori and Saccharomyces Cerevisiae
- Sholahudin(Univ. of Tsukuba), E. Gusmayanti(Univ. of Tanjungpura), K. Intabon, Y. Kitamura, T. Satake(Univ. of Tsukuba)
Sago starch was used as raw material for ethanol production. Combination continuous and fed-batch fermentation would increase the efficiency of ethanol production by decreasing time of fermentation.
メタン発酵においてアンモニアの蓄積はメタン生成の阻害要因となる。そこでメタン発酵前にアンモニアを積極的に生成・回収することによりアンモニアを新たなエネルギーとして利用するとともに、メタン発酵を促進させることを目的とする。本研究ではアンモニア発酵に与える温度上昇の影響を検証した。
本研究はオカラを原料とし、36℃の嫌気発酵槽を用いたバッチ式中温メタン発酵を行い、異なる量のオカラを定量の接種汚泥と混合し、接種サイズ(原料オカラ対接種汚泥の比率S/Is)が0.1から3.0、計13系列のサンプルを用いてメタン発酵を実施した。
国産ナタネ油が自給燃料として成立するためのナタネ栽培面積、生産コストを推計した。岩手県A町の場合、20年後までにナタネの栽培面積が現在の約10倍程度まで増加すれば、ナタネ油の20%を未変換で燃料利用することで水田輸作の直接投入エネルギーの20%を賄うことが可能で、燃料の生産コストを免税軽油価格並にするためには、食用油を約1200円/Lで販売する必要がある。
発酵温度の異なるバイオガスプラントの各構成施設をRC構造で施工した場合のエネルギー収支および概算建設費を試算した。その結果、高温発酵は建設費の低減、低温発酵は高いエネルギー収支、中温発酵は両者の中間的な性質を持つ安定タイプであることが示された。
小型搾油機の圧搾性能と油の貯蔵性を改善するためのマイクロ波予措効果について検討した。その結果、試作したマイクロ波照射装置は総合マイクロ波吸収効率が63%と高く、ナタネは110℃以上まで加熱することができた。搾油試験結果では、マイクロ波予措により圧搾性能は向上し、油品質についても食用油の基準値を満たす結果となった。
Trichoderma reeseiの液体培養によるビール粕の糖化を行い、酵母によるバイオ燃料用のエタノール発酵基質とした。残渣に対して化学薬品による前処理の効果は大きかった。しかし、微生物の力で前処理なしでも長期間ではあるが糖化は可能であり、研究継続の必要性がある。
一般可燃ゴミはインフラが整備されておりバイオマス資源として有望である。しかし一般可燃ゴミは塩分が高く、長期間大量に処理することにより塩分が蓄積しメタン発酵を阻害する可能性がある。本試験では塩分濃度がメタン発酵に及ぼす影響について研究をした。
一般可燃ゴミは有機物を多く含みバイオマス資源として有望である。本試験では発酵済み消化液からメタン生成菌を多く含む汚泥を回収し、発酵槽に返送することで発酵槽内のメタン生成菌濃度を高め、高有機物負荷に対応できる高効率メタン発酵の方法を研究した。
一般可燃ゴミのメタン発酵は発酵槽内の菌体濃度を維持するのが困難であることからメタン生成菌を多く含む有機物との共発酵が望ましい。本研究では模擬ゴミと乳牛ふん尿による共メタン発酵の効果を検証し、安定したメタン発酵が可能であるか判断することを目的とした。
触媒を用いず常圧でバイオディーゼル燃料(BDF)を製造する過熱メタノール蒸気法(SMV法)は従来のアルカリ触媒法より低コストでBDF製造可能と期待されている。本研究ではSMV法によるBDF製造の環境負荷を、定量評価可能なLCA手法により評価した。結果、栽培から消費におけるCO2排出量はBDF1kgあたり0.46CO2-kgとなり、従来法よりCO2排出量が少ないことが確認された。
家畜ふん尿を原料とするバイオガスについて、利用方法を変えた場合のプラント外で利用可能なエネルギー量を試算した結果、ガスボイラー、コジェネレーター及び精製装置(分離膜3段)のいずれで利用してもほぼ同程度のエネルギー量であることが明らかとなった。
- A-15
無触媒過熱メタノール蒸気法によるバイオディーゼル燃料製造-製品の品質向上に関する検討-
- 蘒原昌司(食総研)・三浦智己・荒木徹也・相良泰行(東京大)・宮野寛・多田羅昌浩・後藤雅史(鹿島建設)・鍋谷浩志(食総研)
過熱メタノール蒸気法を用いて製造されるバイオディーゼル燃料のMG含有率、酸価の低減を目的として、再反応試験の効果を473、523、563Kの各温度条件について検討した結果、523Kが再反応試験の温度条件として、検討した条件の中では適当であることが明らかになった。
再生可能エネルギーを利用し持続的な食料生産を行う近未来の農村を想定した、UU Sustainable Villageは10kWの太陽光パネルを搭載したEco-Farmer's House、省エネな高性能ヒートポンプを利用したEco-Green House、クリーンルーム内で人工照明(LED)を用いたPlant Factory(植物工場)から成り立ち、統合的に制御・モニタリングができるシステムで構成される。
中国では、畜産業が拡大して来ており、その中でも新彊ウイグル自治区は中国酪農の中心的な場所である。酩農業の将来を考える時、経済性・環境負荷およびエネルギー等の総合的な評価が必要である。今回の調査から明確のことは言えないが、経営概況と経済収支から見ると、一頭あたりの年間飼料給与量が多いほど、農業所得率が低いという傾向が伺われた。
2000年に十勝地方のS町で総合的評価および地域内物質循環の調査が行われた。調査後S町では、土壌分析と施肥システムを改善した。そこで本研究では、S町の畜産農家と畑作農家の全戸調査を行い、総合的評価と地域内物質循環について10年前と比較し、どのような変化が生じているのかを検討する。
食品循環資源の飼料化に伴う平均的な温室効果ガス排出量の推計を目的として、国内の飼料化事業所に対するアンケート調査(投入資材量、生産飼料量などの調査)とインベントリ分析を行った。結果として、調査票の回収率は36.6%であり、各飼料化技術に伴うGHG排出量の傾向を把握することができたと考える。
農畜産業地域において水環境の硝酸汚染が指摘されている。本研究では、定電位制御による硝酸性窒素からアンモニア性窒素への電解還元について検討を行った。還元反応は陰極近傍で進行する。陰極材料だけではなく、陰極一参照電極間の電位制御が硝酸性窒素の還元速度向上に有効であることが示された。
CO2ヒートポンプを用いて生乳冷却と同時に洗浄用の温水生成が可能なシステムの開発を行った。システムの概要、エネルギー試算および想定される導入シナリオについて報告する。本システムでは、従来の灯油ボイラが不要であり、冷却のためのエネルギーが削減可能であることから環境対策機器の面も併せ持っている。
ふん尿処理にメタン発酵処理を実施している酪農を対象にメタン発酵処理で得られたガスをエネルギー源としたストールスポット冷房システムを開発することを目的とした。2009年夏に実証試験ではシステムの正常な稼働を確認し、効果を検討した。冷夏のため乳量に有意差はなかったが、積算体温に差が見られた。
畜草研の搾乳舎(4U×2L)に導入した定格20kWの太陽光発電装置の3カ年の利用実績を報告する。月間の発電量1300~2600(av.1930)kWh/月、管理機器(搾乳、給餌等)の使用電力量合計2200~2800(av.2500)kWh/月となった。昼間(10-16)の使用電力量は夏季が多く冬季が少なくなり、逆潮流可能電力は冬季が多くなった。また日使用電力量に占める太陽光発電の電力量比率は夏季が高くなった。
酪農から発生する排水の人工湿地による浄化法を開発する。一般的な表面流式湿地よりも耐寒性と面積効率が高いとされている伏流式湿地について、従来型の縦型・横型の組み合わせに加え、改良横型を用いて搾乳牛舎からの実排水を投入して処理試験を行い、経過を調査した。開始以降冬期間も処理率の大幅な低下は見られなかったが、植生の発達に伴い処理率の向上が見られた。
異なる含水率の乳牛ふん堆肥化初期過程におけるN2O、CH4排出量を調べた。その結果、N2O排出量は含水率が低いほど増加した。加えてN2O排出には中・高温菌の活動が関与していた。またCH4排出は含水率79.6%以上で急激に増加した。堆肥化からの温室効果ガス発生は含水率58.3%で最も抑制することができた。
堆肥脱臭システムでは、脱臭効果と共に生産される高窒素濃度堆肥の有機農業への利用が期待できる。アンモニアモニターによる堆肥へのアンモニア付加量の推定を行った結果、アンモニアと外気の濃度差を基に算出することで、推定値/実測値は高濃度モニター0.98±0.32(±の後は標準偏差)、低濃度モニター1.28±0.46で可能であった。今後、予測精度の向上が必要である。
ふんの迅速乾燥と密閉縦型コンポの組み合わせで製造される高N鶏ふん堆肥と、撹絆発酵装置により製造される鶏ふん堆肥製造時における物質収支を比較検討した。窒素揮散量は、高N鶏ふん肥料4.5kg、鶏ふん堆肥72kg(tDMあたり)であった。肥料的価値の高い鶏ふん堆肥製造法は、窒素揮散量の小さい優れた堆肥化処理法であると考えられる。
低コストな方法で搾乳関連排水を浄化するには、搾乳機器内の生乳(残乳)を極力取り除き排水処理の負荷を低減することが重要である。具体的には、搾乳終了後にまず時間をかけた傾斜回収の後、エア回収を行うことが効果的であり、原水に及ぼす残乳の影響が軽減できる。
アンモニア回収装置にpHセンサーと薬原液ポンプを設置し、薬液の供給方法をバッチ式から95%硫酸を水に点滴供給方式に変更したことで、水和熱や硫酸とアンモニアガスの中和反応熱により薬液が回収に必要な温度40℃に達するためのヒータ稼動時間を短縮することができた。これにより、回収過程の全消費電力は改良前から約60%の削減することができた。
- B-11
寒冷地における搾乳関連排水の人工湿地による浄化-利用方法と耐用年数に関する検討-
- 猫本健司・河合紗織・干場信司(酪農大)・内田泰三(九産大)・高橋勇・寺山麻衣子(浜中町農協)・森田茂(酪農大)
北海道浜中町で搾乳関連排水を浄化するために運用中のヨシ人工湿地において、経年使用によりT-Pが湿地土壌内に蓄積される傾向が認められた。人工湿地の耐用年数を延ばすためには植生面積を増やすよりも、沈殿槽と組み合わせることが合理的であると考えられた。
- B-12
酪農学園大学のバイオガスプラントの10年間に亘る運転経過と問題点の整理
- 鈴木崇司・干場信司(酪農大)・小川人士・高崎宏寿(玉川大)・岡本英竜・石田真之・諏方優香里(酪農大)・天野徹(グリーンプラン)・森田茂(酪農大)
今後のさらなるバイオガスプラントの普及や発展のためには、ガス発生量の急激な低下の原因解明、撹絆機や発電機等のトラブルを改善する必要があると考えられた。
- B-13
乳牛ふん尿を主原料とするメタン発酵消化液貯留槽からの環境負荷ガス発生量の測定
- 荻野暁史・池口厚男(畜草研)・中村真人(農工研)・阿部邦夫・相原秀基(和郷園)・横山浩・山下恭広・田中康男(畜草研)
実規模のメタン発酵試験プラントに併設された消化液貯留槽から揮散する環境負荷ガスの測定を、チャンバー法を用いて行った。冬季よりも夏季において発生量が大きく、主要な温室効果ガスはメタンであった。
家畜糞尿は資源として利用されるが、糞尿中に残留する抗生物質耐性菌が問題となる。そこで、メタン発酵による抗生物質耐性菌の死活化を検討した。10日間の中温メタン発酵により、乳牛糞尿中の抗生物質耐性菌が減少することが判明した。
畜産業において家畜の疾病治療と成長促進を目的として抗生物質が投与されているが、糞尿等を通じて環境への拡散が指摘されている。本研究では、畜産廃棄物からのテトラサイクリン系抗生物質の磁気分離を試みた。搾乳施設廃水に添加した抗生物質は高い除去率で分離されたが、脱脂乳では除去率が低く、改善の必要があった。
本研究は余剰汚泥を用いた水素・二酸化炭素基質でのメタン発酵においてギ酸を初期添加400ppm、その後15日ごとに40、80、400ppm/day添加し、培養することでビタミンB12生産に与える影響を検討した。
Kaho Dawk Mali(2010年タイ産)を供試して、乾燥温度が香り主成分2-アセチル-1-ピロリン(AcPy)へ及ぼす影響について検討した。乾燥温度25~60℃による乾燥過程で採取した籾を粉砕し、エタノールによる抽出液をGC/MSで分析した。結果として、サンプルのばらつきが大きく、明確な傾向は見られなかった。
加工用バレイショの牙の伸長抑制のための、エチレン処理開始時期がその効果と加工品質に及ぼす影響を明らかにするために、処理開始時期を貯蔵開始と同時期、休眠終了時とその中間時期に変えて貯蔵試験を行った。その結果処理開始時期によらず牙の伸長抑制効果が顕著であり、加工品質にも大きな影響が無いことが分かった。
- B-19
Evaluation on Natural Ventilation Performance of a Group of Single-span Greenhouses Using CFD
- D. Yang, K. Nakano, S. Ohashi(新潟大), H. Yan(中国農大)
Natural ventilation performance of four single-span greenhouses was evaluated by CFD. From the CFD analysis, the greenhouses are considered to have not enough natural ventilation ability to maintain adaptive temperature inside the greenhouses to leave the crops from overheating harm.
積雪寒冷地域における消雪用地下水を熱源とした水熱源ヒートポンプハウス暖房システムを構築した。調査期問における平均システムCOPを算出した結果、3.7であった。同システムによる消費灯油量およびCO2排出量の削減が確認された。今後、ヒートポンプヘの安定した地下水流量を確保することがシステム改善の課題である。
施設園芸では、省エネルギー対策と二酸化炭素排出量の削減対策が喫緊の課題である。そこで、我が国の施設園芸の約8割を占めるパイプハウスをターゲットに前述課題に対処する技術開発を進める。具体的な技術開発目標として、①冬季におけるハウス保温性能の最大限の向上、②ハウス構造の強化、③周年利用を前提とした機能の付与、などを掲げ、民間企業を中心とするグルーブを形成し、具体的な術開発に取り組みつつある。
省エネ、真・低コスト化を目指し、我が国の施設園芸面積の約8割を占めるパイプハウスをターゲットに、中国の日光温室に内在する問題点を解決する新たな日本型日光温室のプロトモデルを開発した。パイプピッチ1.5m、農PO被覆のダブルアーチ外ハウスと片屋根式内ハウスの二重構造とし、内ハウス外側の厚手「布団」被覆、内外ハウスの北側壁中の断熱材により保温性を高めた。
開発した日本型日光温室のプロトタイプモデルの熱環境計測を09年12月~10年3月の87日間行った。最低外気温-2.3℃時にハウス内気温は5.2℃、推定放熱係数は2.06~2.62W・m-2・K-1であった。断熱性の高いハウス開発がなされたが、中国の日光温室のような固体壁部の蓄熱が全く行われておらず、床土壌以外の要素の蓄熱性を向上させ、これによる更なる保温性強化を図る必要がある。
既存のコンクリート製積みブロック壁面を側壁面とする構造の温室を建設した。温室内の壁面が蓄熱体として機能し、温度要求性の高いカンキツ樹に対して、冬季でも良好な温度環境が形成できた。冬季の日中でも晴天が続くと温室内温度が急激に上昇する。また、夏季には継続的に高温になり易い。そのため妻面の出入り口を常時開放するなどの高温対策が必要となった。
空気熱源HPは室外機の結霜によるCOP低下が問題となっている。そこで、地下水を熱源とするHPとの比較を行った。その結果、空気熱源HPの室外機が結霜した場合、暖房設定室温を維持できず、SystemCOPも2を下回った。他方、地下水熱源HPは、屋外気象条件に関わらず暖房設定室温を維持でき、SystemCOPも3.4~3.7と高かった。
夏期の切り花バラの品質向上を目的として、昼間のドライミストによる冷房と、夜間のヒートポンプによる冷房を組み合わせ効果について検討した。昼間・夜間ともに冷房区においては概ね目標の気温で推移し、地温も無冷房区に比べて冷房区で低く推移した。昼間冷房と夜間冷房を組み合わせることで、昼間のみ、夜間のみ冷房時より一層の切り花の品質の向上が見られた。
前年に引続き、北海道特有の冷熱資源(寒冷外気・残雪)を利用した作土冷却による春採りホウレンソウの高糖度化を試みた。自動車用ラジエタ・堆積残雪の底面に配したポリ管と、作土に埋設したポリ配管とに不凍液を循環させ作土を冷却した。例年に比べ4月の気温が低く作土冷却しない対照区においても、糖度が低下しにくい条件であったが、4月30日時点で対照区の糖度8.1%に対し冷却区8.8%となり、有意差が認められた。
間口6m、棟高2.8mのパイプハウス屋根に作用する積雪荷重を、前年に引続き2009年11月から2010年4月まで実測した。地上積雪深は最大95cm(平年差比107%)で、ほぼ平年並みであった。計測された積雪荷重の最大値は1平米あたり238Nで、前年に計測された最大値157Nよりやや大きな値であった。またアーチパイプの肩部をワイヤで水平に拘束して補強したときの、ワイヤの最大張力はハウスの奥行1mあたり834Nであった。
LED光の混合照射による植物栽培の効率化や高付加価値植物の生産の可能性について、ミズナを栽培し検討した。ミズナは糖度・ポリフェノールに関して、LED光区では自然光区より生成促進の可能性が示唆できたが、草丈の成長促進を検討する必要がある事がわかった。
トマトの植物群落がある温室で循環扇を稼働させたときの水平気流速を測定した。循環扇の台数が増えると温室内の水平気流速は増加したが、植物群落の地表近くでは面積の大きな葉や収穫期の果実が抵抗となり、風下になるほど植物群落内の気流速が減少した。循環扇の気流は、植物の草丈や形状、茎葉の大きさ、整枝法、栽植密度などの影響を受けるため、温室に設置する循環扇の台数や配置法は、生産植物にあわせる必要がある。
スパイラル基礎杭は、重機を使用せずに省力施工でき、引き抜き耐力が比較的大きい基礎である。棚田において建設足場用資材を利用した園芸ハウスに用いた場合、耐力が地盤のせん断強度で評価できる当該基礎杭では、強度低下につながる降雨後の土壌水分上昇の実態を把握することが重要である。実際の施工での課題と合わせて報告し、今後の対処方針について考察する。
園芸用ハウス(特に、パイプハウス)を対象とし、強風被害を低減する方策について述べた。先ず、一連の風洞実験に基づき、パイプハウスの構造骨組用外圧係数と外装材用ピーク外圧係数を提案した。次に、ハウスに作用する風力を低減する方法として、側壁に適当な開口を設けることと断面形を翼型にすることを提案し、その効果を風洞実験並びに応答解析に基づき検証した。
- C-13
Nondestructive Detection of Internal Insect Infestation in Jujubes Using Visible and Near-infrared Spectroscopy
- J. Wang, K. Nakano, S. Ohashi(新潟大)
This paper reports in the Vis/NIR range for the detection of internal insect infestation with different damaged levels injujubes. The results showed both of the interactance in LWNIR and the transmission in VSWNIR wavelength ranges display an obvious advantage over the reflectance in completely distinguishing infested from intact jujubes.
柑橘類を果汁へ加工する際、その残渣は廃棄物として処理される。柑橘の果皮は階層的な構造を持ち、各層それぞれに特徴的な成分・物質を含む。それらを有効活用するには、果皮各層の分離が必要となる。本研究では、柑橘果皮各層の効率的な分離法を検討するため、果皮の顕微構造を調査した。その結果、果実をおろし金で切削するだけでも各層を容易に分離できることが示唆された。
収穫後ホウレンソウを試料とし、交流高電圧電極上に貯蔵した場合の栄養成分変化や貯蔵耐性を調査した。その結果、電気処理の有無で貯蔵時間の経過に伴うアスコルビン酸残存率および含水率の変化に差異が認められた。
ガス環境がカット野菜の品質に及ぼす影響を検討するため、N2およびCO2環境下でカットピーマンを保存し、保存期間中の還元型アスコルビン酸残存率を調査した。その結果、湿度条件によってはアスコルビン酸残存率の変化が確認された。また、ピーマンの成熟の前後でもガスの種類によってはアスコルビン酸残存率が異なった。
- C-17
Amtimony Leaching from Polyethylene Terephthalate (PET) Plastics Used for Beverage
- Saowaluk RUNGCHANG, Sonthaya NUMTHUAM, Keo INTABON, Yutaka KITAMURA, Takaaki SATAKE(Univ. of Tsukuba)
Antimony (Sb) concentration was determined for 77 brands of PET bottled beverage collected from Ibaraki prefecture in October, 2009. None of the brands was at or above the maximum allowed for the Sb concentration in drinking water in Japan (2 ppb).
- C-18
Determination and Separation of Resisues in Bovine Milk Following Antibiotic Therapy for Mastitis
- Nilmini BENERAGAMA・山城隆樹・岩崎匡洋(帯畜大)・井原一高(神戸大)・梅津一孝(帯畜大)
抗生物質は家畜の治療に広く使用されており、残留抗生物質の検知及び処理の確かな方法を開発することが必要とされる。本研究の目的は、Charm Farm Test Kitを用いた残留抗生物質の検出と定量、乳及び排水中の残留抗生物質の磁気分離のための簡易方法の開発である。
熟成に伴う豚肉の化学的特性変化と官能評価の関連を明らかにする研究を行った。4℃で14日間の熟成により大方の遊離アミノ酸は増加する一方、イノシン酸は減少した。官能評価では熟成14日の肉は総合的に一番高い評価が得られた。また、イノシン酸より遊離アミノ酸のほうが食味への影響は大きいと考えられる。
摂取した食品の品質の違いおよび食品と摂取した人間との相性を、腸の蠕動運動の量・強度を調べることによって評価できると考えている。そこで、腸の消化活性の長期変動(数時間)を観察する腸音解析法と、瞬間的(数秒間)な腸の蠕動運動の強度を定量的分析するための超音波動画像解析法の補完的併用可能性について検討する。
唐箕による乾燥前ナタネの比重選別の結果、重比重側の油分は0.7-3.9%多く、酸価は0.09-0.67低かった。後期収穫試料では軽比重側に穂発芽粒が多かった。ヒマワリ粗選について、回転式粒厚選別機で2.4mmおよび5.0mm縦目篩を用いて夾雑物割合を1.6%から0.4%まで下げることができたが、収穫物中の夾雑物割合の変動を考慮すると精選作業は必要と考えられる。
本研究では、精製バイオガスの一般ガス機器への適応試験と精製ガスの日消費量を明らかにした。その結果、燃焼部付近における残留ガス中のメタン濃度が0ppm、一酸化炭素濃度が10ppm以下であり、LPG燃焼時と同等であった。また、厨房用ガス機器で使用される精製ガスの平均消費量は0.4Nm3/日であった。
オゾン、紫外線を併用する方法のいわゆる高度酸化処理技術(Advanced Oxidation Process、AOP)を用い、汚染された農業用水の処理特性について検討した。鉄分においては原水の濃度が水耕栽培の水質基準(0.5mg/l以下)より16倍程度高かったにもかかわらず100%の除去率をみせた。原水の状態によるECの変化については、処理前と比べ、約90~92%程度低くなることが分かった。
連続型天窓を持つ8連棟フェンロ型温室や三つの温室の温室群を対象に、温室の自然換気特徴を2次元CFDシミュレーションで解析した。8連棟フェンロ型温室においては、外部風速や天窓の開放角度別換気率を解析し、1.5m/s以下の低風速での非線形関係と天窓開放角との線形関係を確認し、温室群においては温室間の距離とshelter effectが温室群の各温室の換気に及ぼす影響を分析した。
温室の状況をリアルタイムで監視しながら、作動機器をカメラで追跡し、温室内の作物の生育状況、機器の異常有無などを映像監視や遠隔制御によって制御できるシステムについて検討した。温室制御装置は温室イメージを表現し、そのイメージに環境データを定期的に更新して、Web上でのユーザーの設定に応じて設定値、現在値と映像を表示するように具現した。
台風0918通過中のパイプハウス群の被災挙動に関する調査を行い、風洞実験により求めたパイプハウスの風圧係数と比較した。中間棟に比べて風上棟および風下棟の風下側屋根面において大きな負圧が発生すること等、現地調査と風洞実験結果がよく一致した。負圧に対する補強として、パイプハウス群の端部に位置する2棟の屋根面に対する補強が効果的であることが明らかとなった。
地中加温用の面状発熱体について数値計算を用いて評価を実施した。面状発熱体ではその表面で均一な温度分布を維持するとともに、電熱温床線では断線の危険性のために出力できなかったような発熱量を供給することができる。さらに、土壌の温度拡散率の低さで生ずる温度差により深部に蓄熱される顕熱を利用できる。制御時の非加熱時間を長くとることができ、加熱エネルギーの節約がなされると考えている。
唐辛子の収穫作業の機械化のために、それぞれの脱果こぎ歯の実験装置を試作し、脱果装置の設計方向と作業条件について検討した。放射対称棒形の装置が螺旋形や突起形に比べ、正常脱果率が77.3%と一番高く、未脱果率も3%と低いことから唐辛子の脱果に適合であると判断された。
コナジラミ類は微小音を用いて個体同士がコミュニケーションすることが知られている。本研究では、その微小音を定量的に観測することを試みた。その結果、従来の研究では報告されていないタイプの音を含め、数種の発生音が観測された。
清酒製造工程において官能評価の依存度が高い製麹工程に蛍光分光法を適用可能か検討した。その結果、励起波長410nm測定波長630、690nmにおいて、培養時間と共に発光量が増加する傾向が見られた。麹菌の繁殖と共に変化する他因子の影響は見られない事から、本波長における蛍光は麹薗活性による物と判断された。
本研究は板の先端を液体に浸け、二方向の振動の共振特性を用いて液体の密度と粘度を一度に測定する圧電センサに関する。振動方向によってQ値が大きく異なり密度と粘度の測定域が限定されるという問題を、センサの形状を改善することで解決した。これにより、粘度・密度測定範囲が広がることが期待される。
日本の畜産業において使用量の多いテトラサイクリン系抗生物質の分解法として、電解酸化法を検討した。抗生物質濃度は急激に減少したが、全有機炭素濃度は殆ど減少しなかった。質量分析の結果、抗生物質と共通の構造を持つ中間生成物が蓄積することが判明した。薬剤感受性試験により、抗菌活性を失活できることを示した。
九州・沖縄における地域バイオマス賦存量を把握し、資源循環システの構築ための資料を作成した。窒素賦存量では鹿児鳥、宮崎、沖縄において潜在的必要量を満たす。カリに関しては全体的に過剰に賦存している。しかし、リン酸に関しては鹿児島以外では全体的に不足しており、糞尿の処理利用方法の検討や広域流通を図り環境保全・資源の有効利用に努める必要がある。
米に発生したカビを検出するために挿入型電極を用いて電気インピーダンスを測定した。測定されたインピーダンス値から植物細胞の等価回路パラメータを計算した。その結果、外液抵抗に相当する等価回路定数の値が、健全米とカビ米では異なることが確認された。これらより検出の可能性が示された。
超臨界炭酸ガス抽出法によりナタネ圧搾ケーキに含まれる有用成分の抽出を行った結果、エントレーナの添加で抽出速度が飛躍的に高まることや、抽出物中のトコフェロール含量が抽出初期に最も高く次第に漸減していくことなどを明らかにした。