発表要旨(2002年度大会)
空気搬送が精米に与える影響を調査し、その実用性について検討した。モデルプラントにおいて空気搬送前後の精米品質を分析し比較検討したところ、砕粒、異物、胚芽残存率、水浸割粒、容積重、濁度について増減は見られなかった。水分、穀温減少は若干見られたが、空気搬送が精米に与える影響は微少であることが示唆された。
米の浸漬工程で米粒に発生する亀裂は、浸漬・炊飯過程に粒の内容物が溶出し、食味や食感を低下させる。本研究では浸漬工程で発生する亀裂の実態を観察的方法によって検討した。供試精米を整粒と胴割れ粒に分けて浸漬工程で撮影した写真から整粒の吸水は胴割れ粒より遅いことがわかった。また胴割れ粒の75%が浸漬20分で亀裂を発生した。整粒の亀裂発生率は試料により異なる。
本研究は極微弱発光現象を用いた品質評価法の開発を目的とし、米の脂肪酸度を推定の可能性を検討した。精米歩合の変化により作成した試料の発光量を計測し、極微弱発光量と米の脂肪酸度が非常に相関が高いことが明らかになった。また粉体で測定することにより、発光量が米粒に比べ1.8倍多いことが明らかになった。
マイクロ波を熱風と併用して市販の生食用トマトを乾燥し、水分、温度、体積および色彩の変化、およびリコピン含有量を測定した。マイクロ波の併用により、乾燥時間は大幅に短縮したが、マイクロ波の過熱によるメイラード反応が原因と思われる褐変が見られた。したがって、マイクロ波のトマト乾燥への利用は、温度上昇を抑制できる他の方法との併用が望ましいと考えられる。
- A-5
Dehydration Process Characteristics and Quality Evaluation of Chili Pepper
- T. W. Widodo, H. ISHIDA, E. SAKAGUCHI and K. TAMAKI(東京農業大)
Dehydration processes of chili pepper were conducted using a laboratory scale of continuous and non destructive weighing system in aapplications with a rotary-type dryer. The weight-changes patterns of the product were investigated with given dehydration.
貯蔵ホウレンソウの組織内ガス濃度を測定し、これらが呼吸とガスの拡散に及ぼす影響を検討した。大気条件において呼吸は組織内ガス濃度の影響を受けないが、CA貯蔵中は同じCO2濃度において、呼吸速度が大きいほど組織内CO2濃度は高い値を示した。貯蔵温度が低いほど、またCO2濃度が高いほどガスの拡散抵抗は大きく、気孔が閉鎖することが言える。
直径の異なる球体(L、M、S)および平板圧縮治具を製作し、圧縮試験機を用いて吊り下げ型緩衝材の力学的特性を検討した。底容器は標準型が薄型より約2倍の強度を有した。不織布の最大変位は20針で40針、60針より値が大きくなった。緩衝材の最大圧縮荷重は治具Lで最も大きく、次いでMであり、Sで最も小さくなった。
敷地内の不定形の空地への新規建物等を配置する問題とライスセンター内の機械装置の配置問題に対し、シミュレーテッド・アニーリング(SA)を援用した配置設計シミュレーションを行った。その結果、開発したSAシミュレータは、設計技術者による設計に良く近似した配置を実現し、SAシミュレータの機能が確認できた。
生乳および乳製品の品質管理および乳牛自体の栄養管理の観点から、生乳成分を簡易迅速に測定可能な測定装置の開発を行った。開発したMilkSpec-2及びMllkSpec-3は、前回開発したMilkSpec-1と同様、生乳の脂肪、無脂固形分、全固形分、タンパク質、および乳糖を高精度に測定する能力を有することが明らかとなった。
アオコを形成する藍藻類の中には毒素を生産する種があり、水の人体への影響が懸念されており、水環境中に多様の藻類種が存在している場合、どの種類が優占化し、また目的とする藻種の比率がどの割合で存在するか、情報を収集することは重要である。本研究では藻種の近赤外吸収スペクトルに基づき、優占種の判別分析を試みた。
生乳近赤外スペクトルによる乳房炎起因菌三種(SA、CNS、OS)の識別の可能性について検討した。乳牛毎の個体差や前後乳房の大きさの違い等による解析の複雑さを軽減するため、各分房乳から得たスペクトルについて、乳牛毎に前側・後側乳房を別にして、細菌が検出されたものからされなかったものを差し引いた。求めた差スペクトルには、各細菌に特徴的なバンドを確認できないが、ベースラインに一定の傾向が見られた。
デンプンの糊化に伴う構造の変化を捉える目的で、糊化度の異なる小麦デンプン試料の赤外スペクトルを測定した。二次元相関分光法による解析の結果、グルコシド結合に関連するバンドに強い相関が見られたことから、同法は糊化に伴うデンプン分子の構造変化を解析するのに有用であることが示唆された。
電気インピーダンスによる生体牛品質評価を前提に、解体約1週間後の牛枝肉の胸最長筋、僧帽筋、広背筋等、各部の電気インピーダンス特性を調べた。電気的等価回路モデルのパラメータにより、各部筋肉の識別及び胸最長筋における脂肪交雑の評価の可能性を明らかにした。
食料の一次生産における衛生管理には、微生物制御をはじめ未知、未開発な技術が多く、現場での衛生管理の導入には困難を伴う。そのため、一次生産に適した管理手法や支援技術を明らかにし衛生管理の導入を容易にすることがAgriHACCP活動の現時点での達成目標である。先進的な北米等、海外での調査結果に基づいて、衛生管理システム導入の意義とその展望を示す。
マルチスペクトルカメラにより取得した画像データを用いて、バレイショ貯蔵時に発現する緑化とグリコアルカロイド(PGA)を非破壊的に検出する方法について検討した。その結果、バレイショ表皮部の分光バンド比とPGA濃度の問に強い相関関係が見られ、PGA濃度をある程度推測できることが示唆された。
ハンバーグ、ハムの食肉製品中に設けた銅管、プラスチック異物、空孔を電気インピーダンス・トモグラフイにより二次元抵抗値イメージとして検出する方法を検討した。プラスチック異物、空孔の位置と大きさ、銅管と他との種類識別が可能なことを明らかにした。測定と解析にはNeighboring法とFEMによる逆解析法を用いた。
HACCPの原点である「農場から食卓へ」の農場への導入を養豚場に絞り、現場の状況把握と飼養管理マニュアルの見直し等を行うことにより、養豚場でのHACCPに対する意識を高めることを目的として実践した。養豚場では、豚肉への薬品残留と注射針混入と言う事が食品の安全性管理として求められている。よって、養豚場では飼養規模の大小に係わらず飼養管理マニュアルに従って記録と文書の保管が重要である。
食料供給のみならず水資源の保全や自然景観の保持も担う農業生産が持続的に発展していくためには、高い生産効率を維持しながら、地球と人にもやさしい生産システムとなる必要がある。島根県A養鶏は堆肥の製造・流通システムや自家配合飼料の供給システム、畜体と環境の管理システム、クールチェーンシステムを構成し、環境負荷の低減と安全・高品質鶏卵の生産を達成している。
本調査研究は、オーストラリアの安全確保のためのガイドラインと新JAS法に基づく有機農産物の認証システムについて比較、検討を行い、その妥当性にについて考察したものである。新JAS法での有機農産物の認証システムでは、工程での危害分析はあるものの基準値が明確に定められていなく、安全性を確保するシステムとしては改良が必要であった。
残留農薬や有害物質により安全性が懸念される中国からの輸入農産物は、中国国内においても重要問題となっている。その対策には生産過程そのものを管理するHACCP型の生産システムやGAPsの導入が有効であろう。天津市ではこれらの前提となる農産物生産のガイドラインとして、水、空気、土といった生産環境に基準を設定するとともに農薬使用の規定を遵守させる努力を開始した。
大気放射冷却の集蓄熱システムの水蓄熱槽に、12℃付近に融解点をもつ潜熱蓄熱材(PCM)を付加することにより、蓄熱効率の向上を試みた。実測で得たPCMの融解温度特性より、水蓄熱槽の2分の1をPCMで置換すると有効蓄熱量は約2倍になると推定された。検証実験により水蓄熱槽の単位体積当たりの蓄熱量の増加が確認された。
帯広畜産大学畜産フィールド科学センターに60m3の高温バイオガスプラントを建設し共同研究を行っている。ガス発生量は平均で140m3であった。発電量は約90kWh、プラント消費量は40kWhで本プラントは熱的に自立し残りの50kWhを農場内に供給した。
酪農学園大学バイオガスプラントにおける通常運転時のデータを用いて、総合的なエネルギー収支について検討した。産出される利用可能エネルギーだけで総投入化石エネルギーを回収する場合は15年、消化液を有効利用すると9年で償還できるという結果を得た。
繊維性バイオマスをメタン発酵によってエネルギ変換することを目的として、混合フスマを原料としたメタン発酵実験を行った。実験結果にChen-Hashimotoモデルを適用してその発酵特性を解析し、さらに高負荷条件下での発酵実験によってモデルの有用性を検証した。その結果、水理学的滞留時間や有機物濃度などのパラメータの限界条件が明らかになり、今後の実用化、大規模化における検討課題が明白になった。
し尿処理汚泥を160-180℃で処理した。装置は熱媒油を用いた間接加熱方式である。15時間弱処理すれば、85%程度の減量率が達成でき、汚泥臭はほぼ消えた。各種農産物の栽培試験を行ったところ、持続性の高い肥効を示した。この加熱製品はよく熱成させたコンポストに比べ腐植化程度がかなり高い可能性があることが示された。
本研究では廃棄物の再資源化を狙い、アルコール蒸留残さをメタン発酵によるVB12の生産を目的とした。HRT=15日、負荷=120mL(糖度=5)の連続培養に微量金属塩の添加実験の結果、1.0ml/L時一番良く、この時のVB12の濃度は1.636mg/Lであった。
国内で発生する廃食用油は年間約40~60万トンと推定され、年々増加の傾向がある。このうち約50%は何らかの製品にリサイクルされているが、残りの半分は廃案され環境汚染の問題の一つになっている。できるだけ簡単にメチルアルコールと水酸化ナトリュームによりメチルエステル化処理を行い処理油を作る方法と、できた油の油性を調べた。処理油は軽油の代替燃料としてディーゼル機関用燃料として使用できる事が分かった。
Agaricus blazei Murill菌糸体の液体培養でβ-D-グルカンの実用生産を開始し、上澄液を主体とした製品を開発した。数回の連続ロットのβ-D-グルカン含有の平均は5.249~6.426mg/100mL、菌糸収量は、838.09~1122.18g/1000Lであった。β-D-グルカン含有と菌糸体乾物重との間にr=0.829の相関があり、本培養のβ-D-グルカン含有の変動に菌糸生育の影響が大であった。
異なる3種類(Chaetomium elatum、Agaricus blazei Murill及びFuscoporia oblique)の食用担子菌類キノコの菌糸液体培養を行い、回分培養によって得られた菌糸の集塊状態及び菌糸体収量を確認した。菌糸培養液及び菌糸体の構成アミノ酸の種類及び含有量が菌抹において異なり、生理活性を有するアミノ酸を定量分析した。
本研究はブルーベリーの主成分であるアントシアニン色素の高効率の抽出・精製などの実験を行い、抽出の収率および含有濾度に影響を与えられる抽出条件などを検討することを目的とする。乾燥方法比較実験では熱風乾燥が冷凍乾燥と減圧乾燥より効果が低かった。
屋根面に温風を噴き付ける融雪システムを有する連棟ハウスと単棟ハウスの発熱量の検討と、従来の暖房負荷の算定値との比較を行った。連棟ハウスは融雪システムを有していても、単棟ハウスに比べて発熱量が少なく、熱効率の高い方式であると、降雪による純放射量の軽減と融雪負荷の増加が相殺されることで算定値とほぼ同等となることが推察された。
積雪荷重下のパイプハウス挙動の正確な把握を目的として、3つの破壊条件(曲げモーメントによる部材の降伏、直線に近似したアーチパイプ柱脚部の座屈、円弧に近似したアーチパイプの座屈)ごとに許容限界の積雪荷重を算出し、それらの最小値を限界積雪荷重として決定する解析手法を開発した。実際のパイプハウスに関して適用した結果、現実的な耐力を算定することができた。
490N/m2の積雪荷重に耐え得る単棟の大間口パイブハウスの開発を目的として、屋根部にプレース材と斜材、軒部および柱脚部に斜材を追加した新構造ハウスに関する載荷実験および構造解析を実施した。その結果、応力が主骨材全体にほぼ均等に分散し、所定の積雪荷重に耐えられるフレームであることが確認できた。
前報と同一形状のパイプハウスについて、耐風性能を確認するために理論解析を行った。モデルは水平プレースのパイプを使用した場合と鉄筋を使用した場合の2種類である。風速50m/sの場合でも、プレースにパイプを使用することで最大曲げ応力がほぼ許容値以下となり、各部の変位も低く抑えられることが確認された。
2001年夏季に中国北京、上海及び愛知県の大型温室においてパッドアンドファン冷房システムの運転状況に関する実験調査を行った。本冷房システムの冷却効果は、気候条件によって異なること、また温室床面積当たりパッド面積及び床面積当たり換気率の増加にしたがって冷却効果が向上する傾向が示された。
北京および長春の日光温室において、冬期4ヶ月間の連続環境計測を行った。北京温室では、平均最低外気温は-4.7℃(12月)であり、無暖房で内外温度差約10℃を維持した。また、夜間の土壌および固体壁から室内側への放熱割合は土壌面からのものが最大であった。
作物が栽培されている状態を想定した日光温室の熱環境予測モデルを構築するため、植被層の日射透過モデルおよびエネルギー収支モデルを新たに導入した。作物長を変化させて予測計算を行ったところ、植被層を透過して温室の床面および東・西・北壁表面に入射する日射量の割合はその作物長に左右され、室内気温・相対湿度も同様に作物長に影響を受けることが示された。
片屋根型プラスチックハウス内の温熱環境特性としてハウス内垂直方向の温度分布を測定した。丸屋根型ハウスに比べハウス内気温が低く推移したものの、その差は体感温度で約1℃と小さかった。しかし、開放面積をできるだけ多く確保することで、ハウス内気温の較差を小さくできる見込みが得られた。日射が強い条件での遮光処理(遮光率約60%)は温度低下に有効であり、外気温との較差を小さくすることが可能であった。
ハウスの温熱環境と身体負担の関係の労働科学的な実験を行なった。温度と安静時心柏数の関係から25℃前後の心拍数は10~15℃及び30~40℃に比較して少なく、安静時酸素摂取量も心柏数の場合に類似していた。酸素摂取量は風速が強くなると減少し、適度の送風は代謝エネルギーを小さくする効果があると考えられる。
軒開放型、棟開放型は屋外との気温差や湿球黒球温度の差が小さく、高温抑制効果が高い温室であることが明らかとなった。しかし、両温室は開放した屋根の影響によって室内日射が大きく変化するため、日射の均一性を高めるための改善を要する。また、丸屋根型は室内日射の変化は小さいものの、高温抑制効果が低く、屋根の閉口面積や開閉機構について検討する必要がある。
超音波温度計と通風型熱電対を用いて温室内温度測定を行った結果、前者は日射の影響を受けず領域平均温度が測定できた。後者は、僅かながら日射の影響を受けていること等が判かった。
ファジィ推論によりメロン栽培時の必要灌水量を決定し、自動灌水制御を行うシステムを構築した。実際のハウスで実験したところ、ファジィ制御区は慣行区に比べて52%も節水でき、果肉糖度の上昇や果実の等級も遜色ないことが示された。また、画像処理でメロン表皮画のネット発生割合を算出する方法も検討した。
畜舎関連施設における使用目的の違いが、基礎周辺の地盤凍結環境に与える影響について考察した結果、凍結指数と凍結探さの関係から畜舎の使用環境および断熱工法の有無などを考慮した畜舎独自の凍上対策工法の選択が可能になることが明らかとなった。
平地部に建設された畜舎建築に対して、施設の使用環境の違いによる凍結状況を考察した結果、敷き藁敷設開始の前後および堆肥の搬入開始の前後を比較すると、地盤および基礎部だけではなく屋外部にまでその断熱効果もしくは保温効果が及んでいることが明らかとなった。
本研究では、畜舎建築のコストに影響を与える積雪荷重の評価を確立するために種々の屋根葦材の滑雪特性を検討した。滑雪現象は屋根葺材の材料性状および雪質に影響を受けており、接触角が80°前後の屋根葺材では、勾配を2寸程度まで小さくすることも可能である。
- C-4
畜舎建築における屋根雪の滑雪特性-その2 実在屋根の滑雪特性-
- 中静仁平・苫米地司(北海道工大)・小林敏道(コバ建築事務所)・干場信司(酪農大)・細川和彦(北海道工大)・千葉隆弘(雪研スノーイーターズ)
本研究では、既存畜舎に各屋根葺き材を施工し、各屋根における滑雪状況の連続観測を行なった。平年並の気象条件の場合と暖冬の場合とでは、各屋根材における滑雪状況に差異がみられた。
本研究では、滑雪特性に優れた膜材料の畜舎建築への適用を検討した。膜構造畜舎における屋根は、屋根雪を分割するとともに家畜からの放射熱を直接受けることから、屋根雪の滑雪を促進する工法として期待できる。また、景観的にも優れていることから農業施設における膜材の活用が期待される。
レール走行式堆肥クレーンを装備した堆肥化施設において、材料の投入、切り返し、乾燥材料の搬出(堆肥の搬出)などに関わる稼働状況、取扱量、消費電力量などの情報を管理するシステムを開発し、1月から12月上旬における稼働状況を調査した。その結果、月別の材料投入量や堆肥生産量などを容易に把握でき、堆肥の計画的利用が可能になることを明らかにした。
堆肥化処理を行うと、発酵開始複2週間程度は、極めて高濃度のアンモニアを主成分とする悪臭が発生する。堆肥化1、2週目の悪臭を、出来上がった堆肥へ吸着させる低コストな方法で低減化を行った結果、発生アンモニアの9割を除去できた。また、アンモニアの他に硫黄化合物が良く除去されるという特徴が見られた。
試作したゼロエミッション型コンポスト化システムを用いて実験を行った。発生したアンモニアは、ほぼ全量回収することができ、そのうち56%の窒素を再資源化することができた。また、作物栽培を行う半閉鎖型ハウス内を高濃度の二酸化炭素条件にすることができた。しかし、硫黄系化合物等の回収されない微粒ガスが、トマトの生長阻害を引き起こす一因であることも確認された。
鉄電極による電気分解、超伝導マグネットを用いた高勾配磁気分離そして電気化学的酸化プロセスを組み合わせた実証規模の廃水処理システムを構築し、埋立浸出水処理に適用した。鉄電解による磁性粒子を磁気分離させることによってCODの一部とT-Pが処理され、電気化学的酸化プロセスによってCODおよびNH4-Nが分解された。
豚舎内放射熱環境を屋根に遮熱塗料を塗装した場合(試験区)と従来塗装(対照区)で比較調査した。両区の舎内気温の違いは少ないが、屋根裏面温度・屋根裏面放射熱量・豚房直上放射収支量は大きな差が見られた。晴天日中において、試験区は対照区に比較して屋根からの放射が少なくまた豚・床からの放射抑制が少なくなった。
アメリカにおける鶏舎からのアンモニア排出量は、ヨーロッパ値を用いて算出されており、独自の資料を作成する必要がある。産卵鶏舎からの排出量について測定を行った結果、トンネル換気無窓鶏舎からの排出量は2.65mg/h-bird、高床式無窓鶏舎59.16mg/h-birdとなった。高床式はヨーロッパに比較して大きな数値となった。
無窓採卵鶏舎等を対象に、超音波噴霧器で酢酸を噴霧し、舎内アンモニア濃度の低減効果について調査した。自作チヤンバを用いた基礎試験では、0.1%程度に希釈した酢酸溶液を噴霧した結果、10~30ppmの噴霧前アンモニア濃度が1ppm以下に低減した。また無窓鶏舎内での噴霧効果試験では、1%程度に希釈した酢酸溶液を噴霧した結果、アンモニア濃度低減の可能性が示唆された。
陰圧換気方式のウインドレス畜舎を対象に、仮想的な汚染物質濃度を用いた数値解析による寒冷期の換気効率を評価する数値シミュレーションを行った。スロット型給気口の設置位置によって、また舎内各位置によって舎内の局所換気効率に差異が示された。汚染物質濃度が初期の1/10までの減衰する時間を効率指標とすることにより舎内の換気効率を定量的に評価した。
牛舎からの環境負荷ガス放散を防止するためには、集気ファンを常時稼働することが必要である。そのための電源として太陽電池・風力発電機併用システムを検討した。その結果、風力発電機の発電変動率は大きいものの太陽電池と組み合わせることで両者の相補性が発揮されることを確認した。牛房のアンモニア濃度は室内温度に比例して増加するが、30℃を越えると逆に低下する。
共同堆肥化処理施設を利用した場合の家畜ふん尿の圃場還元に関して、できあがり堆肥の利用方式が、酪農家自身の圃場に全て還元する場合、耕種農家の圃場に全て還元する場合および酪農家と耕種農家の双方の圃場に還元する場合にわけて、投入化石エネルギーの視点から評価を行った。
- C-17
畑作と酪農の生産システムに関する総合的評価-北海道十勝の畑酪混同地帯における調査結果-
- 田村悠子・干場信司・猫本健司・河上博美(酪農大)・松本光司(オー・アンド・アール技研)・森田茂(酪農大)
畑酪混合型地帯の十勝管内S町の畑作農家151軒を対象にし、経済性、エネルギー、窒素負荷、人間の満足感の4指標で評価を行い、同町の酪農家と比較した。その結果、畑作農家の方が酪農家よりも環境にやさしい農業経営であるといえた。
- C-18
畑酪混同地帯における地域内循環による窒素負荷の低減-北海道の一町村を対象とした窒素収支の調査結果-
- 猫本健司・干場信司・田村悠子・河上博美(酪農大)・松本光司(オー・アンド・アール技研)・森田茂(酪農大)
畜産施設等からの環境負荷を低減するには化学肥料や購入飼料など外部からの投入窒素量を減らす必要がある。そのためには地域内で有機物を循環させることが有効である。本研究では一町村を対象に堆肥と敷料との物物交換や交換耕作による地域内循環と窒素収支を調査した。
北海道十勝地方の足寄町放牧研究会に所属する7軒の酪農家を調査対象とし、放牧へ転換する事により酪農生産システムがどのように変化したかについて、5指標(経済性、エネルギー、窒素負荷、人間福祉、家畜福祉)を用いて総合的評価を行った。転換前に比べ、転換後の方が全体的に好ましい結果になっていることがわかった。
フリーストール実験牛舎と糞尿還元専用圃場を用い、酪農生産におけるN-P-Kの収支実態を調査した。年間34頭の乳牛群の摂取したN-P-Kのうち51.9-59.4-69.6%が糞尿として排泄され、24.3-22.1-10.7%が生乳として生産された。排泄されたN-P-Kの約60%は11.6haの圃場に還元された。
本研究は、中国の養豚の主要な産地である北京周辺、四川省、湖南省ならびに湖北省における豚体からの放散熱量を把握するため行われた。顕熱量は、体重60kgの豚では北京112~340W、武漢91~302W、成都117~289W、長沙88~293Wであった。潜熱量は、北京では冬に最も発生量が多いのに対し、武漢や長沙では夏に多い事が示された。
畜産農家が自家施工することで柱・梁接合部に強度不足が多く見られる堆肥舎・飼料庫等に使用される部材を基に、一般的な接合方法と接合部に補強施工を行った場合の実物モデル実験を行った。試験体はH形柱と丸パイプ、角パイプと丸パイプ等の部材を組み合わせ、方杖補強も行った合計6体であり、使用部材による損傷発生の状況、方杖設置による補強効果等について検討している。
千葉県佐原市のH牧場で稼働している搾乳ロボットについて、初夏期、盛夏期および秋期の3期にわたり、搾乳ロボットへの訪問回数、ロボットの利用効率等を調査した。その結果、各期で供試頭数が異なったため暑熱の影響は明らかにできなかったものの、ワンウェー・カウ・トラフィックでは日間変動が少ないこと、ロボットの通過は利用効率に影響しないこと、等の知見を得た。
畜舎汚水の活性汚泥処理施設を対象に、微生物の顕微鏡による観察を中心とした簡易評価によって、一般畜産農家でも施設の状態を把握し、状態の悪い場合には、その対処法を判断できるシステムの作製を試みた。システムはインターネットブラウザ上にて動作するようにした。
膜分離活性汚陀処理方式の汚水処理プラントによるパーラー排水およびパドックからの流出水の浄化処理を実規模で通年行い、流入汚水の性質と処理水質とを分析した。流入汚水のBOD-N比と窒素除去率、およびBOD-P比とリン除去率との問には相関が認められ、BODが高い時ほど除去率が大きい傾向であった。
低コスト化と低温下の発酵促進を考慮して、眺上式の屋根を有する堆肥舎を考案し、実規模施設を試作した。堆肥材料を覆う最小面積・最低高の屋根を、跳上げることで機械作業を可能にする。屋根が低く金具接合で組立るため、安全で簡易な施工ができる。透明フィルムの2重被葎で保温性を高め、蒸発水分を屋根内面で結露させることで、潜熱とアンモニアを回収する仕組みを有する。
連続投入式と回分式の2つのスラリー曝気施設において施設の構築コストと運用コストを希釈水の使用量、冬期間の貯留容量の2点に着目してコストの算定・比較・検討を行った。施設構築コストは希釈水量や必要とされる貯留日数に影響を受けるが、影響の受け方は曝気方法により大きく異なることがわかった。
ガストレーサー法および熱収支法を用いて、ガラス温室の換気量を測定した。ガストレーサー法で測定した自然換気温室の換気回数は、熱収支法よりも多かった。これは換気量の増加とともに、トレーサーガスの濃度が急激に希釈されたことが影響したと考えられた。今後は実測を重ね、測定精度を高めるための検討が必要である。
高温期の野菜・花き育苗において、従来の自家育苗用の丸屋根型にくらべ、側窓開放面積が広く確保できる片屋根型プラスチックハウスの適用を検討した。不整形棚田への適用では囲場を有効に利用でき、換気性に優れていることを確認した。基礎にスパイラル杭(幅50mm、長さ600mm)を利用すると・容易に施工できた。また、引き抜きに対する強度が従来のベース付(直径約25cm)コンクリート基礎の約80%であることを明らかにした。
- P-8
Development of Dry Methane Fermentation System (Ⅳ) - Acidogenic Perfomance -
- Wei Zhong JIANG, Yutaka KITAMURA, Noriaki ISHIZUKA(Shimane Univ.)
In this study, effects of HRT and stirring media in fermentor on acidogenic performance are evaluated via system parameters involving VA production and VS degradation under mesophilic condition. Two sequential experiments were conducted by a bench-scale RDFS. In the first experiment performed at H
本研究は、芋焼酎廃液のメタン発酵処理の最適化を目指したものである。焼酎廃液とメタン菌の質量比、pH、初期COD濃度など、発酵条件を変化させたときのCOD除去速度係数を求め、最適発酵条件を見出した。また、発生したバイオガスのメタン成分やバイオガス発生速度から発酵特性との関連を明らかにした。
本研究では、電極電気分解法による高濃度有機系廃水処理システムの開発を行うことを目的として、焼酎廃液を対象とする基礎実験を行った。その結果、電極電気分解は、固形分を含む廃水や粘性の高い廃水に対する処理に有効であり、また、有機系廃水の分解速度の推算が可能であることを明らかにした。
本研究は、芋焼酎廃液のメタン発酵処理の最適化を目指したものである。焼酎廃液とメタン菌の質量比、pH、初期COD濃度など、発酵条件を変化させた時のCOD除去速度係数を求め、最適発酵条件を見出した。また、発生したバイオガスのメタン成分やバイオガス発生速度から発酵特性との関連を明らかにした。
本研究は、マシンビジョンによるサツマイモの選別を目的とするものである。サツマイモの形状に関する特徴抽出を画像解析により行い、ニューラルネットワークによる等級判定と、投影面積からの質量推定による階級判定を行った。その結果、正解率86.1%で判定が可能であることが明らかとなった。
強酸性電解水の特性及び殺菌効果について調べた。その結果、強酸性電解水による貯蔵庫内、葉菜類の殺菌効果は一般消毒剤の殺菌効果と同じ程度であった。また、葉菜類の貯蔵・浸漬・散水と水道水での比較では葉菜1gに対し洗浄液20ml、浸漬5分以上で完全に殺菌できることが明らかになった。
近赤外線分光分析装置を用いて非破壊で種子の成分分析を行ない、内部成分量と発芽率や発芽までの日数との因果関係を調べた。種子を分析装置にかけて近赤外線の透過光強度を測定し、スペクトルを得る。それをソフトウェアで解析し、内部成分量を調べ、その後種子を発芽試験を行ない、発芽までの日数と解析結果を比較した。
炭化バイオマスによる保水材が乾燥地の緑化のために利用できれば、有機廃薬物を有効に利用でき、肥料効果や炭素固定などの効果も期待できるなどの長所があると考えられる。本研究では、籾殻燻炭、切藁燻炭、木炭を使ったpF試験を行ない、その保水性について検討した結果、籾殻燻炭と切藁燻炭は高い保水性を示し、木炭は保水性が低く、吸水力においても、砂のそれに劣るという結果になった。