発表要旨(1999年度大会)
- A-1
Effect of Filling Method on Wall Pressures Distribution in Model Grain Silo
- Nursigit BINTORO・坂口栄一郎・川上昭太郎・藍房和(東京農大)
玄米をモデルサイロヘ供給するときの方法が、静的及び排出時の壁圧分布に及ぼす影響について検討した。3種類の供給法によって、サイロ内かさ密度が変化し、かさ密度が大きいと壁圧は大きかった。特に排出時での圧力に大きな差が見られた。静的壁圧は理論式によって精度良く予測できたが、排出時壁圧の予測は困難であった。
全粒試料用近赤外装置を用い、玄米のタンパク質および水分用の実用検量線の作成を行うと共に基準試料の保存方法について検討した。温度補償機能を有する精度の高い(SEP:0.2%以下)検量線の作成に成功した。基準試料として5・15・25℃で保存した玄米の化学分析値に経時的変動は観察されなかったが、25℃区の近赤外法による推定値と分析値間にずれが生じた。基準試料は15℃以下で保存する必要があることが明らかとなった。
- A-3
Parboiling Process Analysis with Rapid Visco Analyser
- M. R. Islam, Toshinori K., SHIMIZU N.(Univ. of Tsukuba)
This study was undertaken to know the relationship of moisture content during parboiling with RVA parameters. One Indica variety of paddy was used. Parboiling was done at different time-temperature combinations. RVA parameters were measured according to the standard procedure. Data were analyzed using ANOVA and least square technique.
本研究では、マイクロ波と並流、向流及び交差流通風による厚層米の乾燥試験を行い、その乾燥均一性に及ぼす影響を検討した。その結果、並流通風は他の通風方法に比べて、米層内の温度と含水率の分布をより均一にできる事が明らかになった。また、通風速度の増加と共に乾燥均一性は向上した。
発芽玄米製造工程における玄米の食品用化学物質による殺菌処理、発芽玄米製造装置で用いる浸漬水の紫外線照射処理および濾過処理の効果をベンチスケールの実験装置を用いて検討し、一般生菌数の急激な増殖を抑える処理系を確立するための各操作条件に関する知見を得た。
我国では、大部分の米は玄米で低温貯蔵されている。本研究では、中、長期の米備蓄における品質維持を低コストで行うために適する貯蔵形態および条件について検討した。品質指標値として、表面色、精白度、食味推定値、脂肪酸度を用いて継続時に測定を行った。その結果、クリン米の貯蔵性が高く、冷却エネルギーおよび貯蔵容積の節減が可能となり、貯蔵の低コスト化が達成されることが明らかとなった。
従来の稲作における苗生産段階および移植段階の労力や作業性の改善を目的として、ロール状に巻き取った水稲苗の貯蔵を試みた。苗の予冷および貯蔵に関する試験を実施し、予冷操作法、苗の貯蔵特性および貯蔵可能日数を決定するためのいくつかの知見を得た。
角ビン乾燥機の新しい操作法として新累積法を、また、攪拌オーガを使わない下方送風累積貯蔵乾燥法を提唱しているが、これらの新方式と従来方式について、乾燥シミュレーションの結果などから、呼吸量を指標として品質上の有効性を評価した。いずれも従来法に比べて呼吸量が少なく、特に高水分穀物乾燥に有効であることがわかった。
本研究は、物性や米飯特性および食味の観点から、胴割れ米やひび割れ米の混入率に応じた炊飯方法の検討を目的とする。始めに、ひび割れ米・胴割れ米に着目し、その水浸裂傷粒発生率や炊飯液特性(ここでは炊飯液のヨード呈色度:IBV、溶出固形分量:TS)を測定した。その結果、水浸裂傷粒発生率は、健全米<胴割れ米<ひび割れ米の順に高くなることが明らかとなった。またIBVはひび割れ米混入率が高いほど高い値を得た。
専用画像処理装置を製作し、コメの形状形態の特徴を強調把握した。周縁画像を等価円半径で割り大きさを正規化、位置決めし、定義した弦距・弧長比や弦距・弦長比で全周に亘変換写像し、魚状のパタンを得た。正規化した基本画像を重ね、画像間に共通する持徽を平均化して変換写像することにより、比較的少ない粒数で品種固有のパタンに収束し特徴の把握識別が可能となった。
- A-11
Grain Flow Analysis in Impeller and Rubber Roll Husker
- D. Shitanda, Y. Nishiyama, S. Koide (Iwate Univ.)
インペラ籾すり機およびロール籾すり機を、実用回転数で運転するときの籾粒の運動を高速度ビデオで撮影し解析した。その結果、インペラ籾すり機では、インペラ羽根上の籾粒の半径方向位置は、時間の指数関数で表せた外、インペラ部では明らかな脱ぷは認められなかった。また、ロール間隙中の籾粒の速度は低速ロールの周速度に近く、従来いわれている結果が実証された。
本研究は、太陽エネルギー直接利用による高効率的な塩水淡水化システムを開発することを目的とし、ここでは、水盤型ソーラースチルの基本的熱特性、集水効率促進法について、熱収支解析に基づく数値計算を行い検討した。また、ソーラースチルに対する集水効率促進法として、水盤水ヘの超音波付加、水盤ヘの太陽熱吸収材の敷設について実験的に検討した。
- A-13
The Solid Removal Design Based on the Flux and Physical-Chemical Properties in an Open System for Multi-layer Abalones Cultural
- Wen-Shang Hou(Taiwan Univ.)
To reduce and abalone cultural wastewater pollution to marine environment, this study is mainly focused on the physical and chemical properties of the solids for a water reuse system. The solid components and their physical-chemical properties are obtained.
岐阜県清見村コンポストセンターは全国でも珍しい優良経営で、糞尿の臭いも無い。おが粉やわらを用いたり、機械圧縮したり、様々な方法によって糞尿処理の方式を検討してたどり着いた方法が現在のバーク混和方式であった。発酵温度はおが粉が60℃であるのに対しバークでは80℃に達する。畜産農家は対価を得ている。
生物系廃棄物のコンポスト化過程で排出されるガスを生物を用いて固定し、併せて生物生産の増進を目的とする生態系再利用システムについて検討した。本報では、スピルリナをコンポストガスの溶解液で養殖することによってアンモニアと二酸化炭素を固定するユニットについて調べた。その結果、コンポスト溶液でのスピルリナ養殖は可能であった。
- A-16
Operating Analysis for Particle Removal of the Foam Separation in a Recirculating Eel Cultural System
- Wen-Shang Hou, Li-Wei Li(Taiwan Univ.)
The cost effective bubble column is used in a circulative eel culture system for organic particle remove. The particle concentration and size frequency distribution methods are combined to determine the particle removal efficiencies in different size range. The experiment shows that the pore size of the scattered disk is 50μm.
農業施設の最適配置設計問題に対して、シミュレーテッド・アニーリングを援用した合理化施工支援のための基本プログラムをC言語により作成するとともに、準備的な配置設計シミュレーションを行った。山登り法による最適解と比検討を行った結果、コストが低減し、シミュレーテッド・アニーリングの長所が認められた。
近年注目されている閉鎖生態系生命維持システム技術開発において、そのさまぎまな構成要素を結合した場合のシステム挙動に関する研究が必要とされている。本研究では、藻類により草食魚への酸素供給及び給餌・水質浄化を行うシステムを作成し、シミュレーションと実験でその挙動を観察した。
制がん作用等を有する抱子菌類のβ-1.6D-グルカンの大量生産の困難さは子実体の低生産性に起因する。本研究は担子菌の菌糸にも、β-1.6D-グルカンが存在することに注目し、N・P・Mg・Feを主にとする従来の液体培養の基本培地にC源として黒砂糖(粗糖)、バガスやふすまの粉砕物を添加する改変培地を開発した。菌糸が集塊化され、短期間で菌糸の大量生産が可能となった。
生活排水程度の低濃度アンモニウムイオン(20~30mgN/L)の晶析法によるリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)結晶化除去の検討を行った。晶析法により凝集沈殿法に比ベ少量の沈殿剤での除去が可能であった。MAPの再溶解は適当の滞留時間をとることにより防ぐことができることが明らかにされた。
本研究は、カット大根を高脹液(本測定ではNaCl溶液)に浸し、サンプルの塩分濃度、水分、質量、体積、密度変化を、数段階の溶液温度と濃度の条件下で長時間測定した。その結果、大根は塩分の浸透に伴い一旦収縮(高脹液の場合)した後、体積極小値を経て膨潤する特性を有することが示された。質量については極小値、密度については極大値の存在が示された。
pH7.0の加水分解で得た緑豆及び大豆のタンパク5%にグリセロールを加え、テフロンプレートでフィルムを作った。グリセロール量を多くすると製品の引張強度が弱まり、反対に伸び率及び透水性は増えた。一方、タピオカ澱粉5%を加えた所、改善された。緑豆タンパクより大豆タンパクのフィルムが優れていた。
環境汚染防止の見地から求められる循環式養液栽培において、外部から侵入する病原菌を除菌するためにろ過装置を組み込み試験した。ろ過装置に適する精密ろ過膜は日詰まりしにくい点で、蛋白質の脱著が容易な親水化ポリスルホン膜が適していた。また、大型ろ過装置により一般生菌、真菌ともに一定の除菌効果が得られた。
2回のイネの栽培実験から、栽培日数を110日前後としたときに、可食部収量が750~900g/m2を得た。栽機密度をポット当たり1~3株の範囲で変えた結果、ポット当たり2株の場合は1株と比べて可食部が約14%増加した。本施設においてイネの栽培を行なう場合では、栽植密度をポット当たり2株が可食部率も増加したので適当であると考えられた。
- A-25
微小重力環境下における植物体の養水分吸収について
- 小林有一・齋藤高弘・志賀徹(宇都宮大)・荒川陽司・高井政和・嶋貫雅一(富士重工)・北宅善昭(大阪府立大)・谷晃(東海大)・後藤英司(東京大)・高橋秀幸(東北大)
微小重力(μG≒0G)環境における植物体の養水分吸収について、航空機を利用した実験を行った。μG中には、蒸散の抑制により葉温が上昇した。Gレベルが切り替わる瞬間に顕著な変動を示し、特に0Gに突入した瞬間には停止した。
近赤外分光法によるホウレンソウの微量成分(硝酸およびシュウ酸)の迅速測定の可能性について検討した。短波長城の各成分の測定精度(SEP)は、NO3で17.5mg/100g、S-COOH2で86mg/100g、およびT-COOH2で86mg/100gであった。近赤外スペクトルを透過法で測定することにより、NO3、S-COOH2、T-COOH2の成分が迅速に測定できることが明らかとなった。
ヘマトクリット、ヘモグロビンなどの血液成分は生体の貧血や多血症などの有無を調べるための重要な値でもあり、科学的飼養管理には不可欠な生体情報の一部である。そこで、本研究では近赤外分光法を利用して、畜産飼養管理の観点からこれらの血液成分を簡便的かつ迅速的に測定する方法を開発した。
切り花の鮮度について、葉の表面色の変化によりその数値化の可能性について検討することを目的として、ヒマワリを用いて実験を行った。その結果、購入後5日目にかけて緑み、黄色みが明るく鮮やかになり、その後褐色に近づくことがわかった。また、花保ちの違いでその変化に差が認められたため、鮮度評価の指標として用いることができる可能性があると考えられた。
チューブによる作物への少量施用を目的にして、ガス吐出圧0.4kg/cm3、流量0.1liter/min/mの最小条件で全面放出型の積層チューブを考案した。CO2施用効果を水耕ホウレンソウで検討した。ベッド周辺の外列で生育が大であったが、積層チューブ区ではチューブに近接した内列での生育が増加し、量外列との間の生育差が小さくなった。
中国では、近年、施設園芸と野菜生産が飛躍的な発展を遂げてきた。この進展に、在来型「日光温室」が大きな役割を果たしてきた。日光温室とは、特殊な貯熱・保温構造を持ち、最低気温が-20℃の中国北方の冬季においても無知温で野菜を栽培する園芸施設である。その構造、環境性能、発展状況ならびに今後の研究展開について報告した。
イチゴの快適栽培システムとして,移動式の高設2段ベンチを試作した。上下段での採光差の問題を生じることなく約1.5倍まで植栽密度を高めることができる。また、作業者は温室中央部の作業ゾーンに座ったままで、作業を行うことができるなどの利点をもつ。実際に栽培を行った結果、養液の供給方式等、いくつかの問題点が明らかになった。
高軒高の多達棟フェンロ型温室について、温度差換気及び風力換気と温度差換気が併存する場合について風洞模型実験により温室内部の温度分布を測定した。その結果、有風時、無風時ともに、風上側の方が風下側より気温が高い分布となった。実物換算風速が1m/sの場合、部分的に無風時の場合よりも気温の高い領域が現れた。さらに風速が大きくなると、気温は低下した。
茨城県つくば市の農業工学研究所2連棟ガラス室において、運動時の熱中病発生指標として用いられているWBGT(Wet Bulb Globe Temperature)を測定した。その結果、温室内では冬期でも晴天日には、10時~15時にかけて、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある注意レベルのWBGTが発生していることがわかった。また、温室内気温とWBGTは相関が高かった。
1990年より塩類集積に関する調査を行っているつくば市の栽培利用経過年数16年のハウス土壌について調査分析を行った。本報では、ECによる塩性化調査に加え、とくに酸性化による生育障害の潜在性を検討するため、酸性強度因子と容量因子すなわちpH(H2O)、pH(KCl)、pH(CaCl2)のpH3種と交換酸度Y1について、トマト・キュウリ輪作栽培期間中において経時的に分析した。
固形培地で養液栽培する場合に排出液を加熱処理により確実に効率よく殺菌し、再利用する目的で、電気加熱式用養液殺菌装置を試作し。その実用性を検討した。70℃、90℃処理区では供試した全ベての病原菌が完全殺菌された。加熱処理による多量およぴ微量要素の養液成分の不容化は認められなかった。以上より、加熱殺菌装置を用いることで養液栽培での排出液の再利用が可能となり、資源環境保全およぴ経済性面での改音が期待できる。
奈良・和歌山県下には規模の大きな柿用ハウスが多く建設されており、台風7号(1998)によるこれらの施設被害は著しかった。調査結果から、ハウスの被災事例に基づいて倒壊パターンを分類し、倒壊の要因について考察を行った。その結果、基礎の強度不足、接合部の強度不足が大きな要因であることが、また形状の異なるアーチ型ハウスと平張りハウスでは倒壊形態の違いが認められた。
ハウス内土壌水分のファジイ制御の適応性を実験的に検討した。ファジィ制御区はpF値のやや高い期間があったためその後の生育と収量への影響が心配されたが、収量、品質、収入に関して他の2区と同等かそれ以上の結果であったこと、潅水量は慣行区より30%も節水できたことなどから、ファジィ潅水制御はハウス栽培において有効であることが示された。
断熱型二重トラフを用いたNFT方式の水耕栽培によりリーフレタスを生産する植物工場を対象に、食品の衛生・品質管理システムであるHACCP方式の適用を検討した。施設内の環境は防虫設備とエアーウォツシャーにより、外部と生物的に隔離され、無農薬栽培を前提にしている。各工程における微生物的危害の要因は環境と作業者でありその多くは一般衛生管理により制御可能と考えられる。
沖縄県では切花用の真空予冷装置が既に10年近く運転されている。しかし、ときおり市場から花弁に傷みがあると指摘されている。そこで、真空予冷した小萄「芳香」の品質評価と貯蔵実験を行って、花弁に損傷を与えない運転条件を検討した。その結果現行の5mmHg25分の予冷では花弁に傷みが発生することが確認されたので、実用的な条件として10mmHg35分を提案し、貯蔵実験で実証した。
現在カーネーションの出荷調節のために一般的に行われている低温貯蔵が、開花後の品質や糖含量に及ぼす影響を調べた。その結果、5℃で1週間貯蔵することにより、花径および花持ち日数に品質低下が生じることが明らかとなった。また、これらの品質低下は低温貯蔵個体の糖含量が適期収穫個体のものより少ないことに起因しているものと考えられた。
収穫後の青果物の品質保持を目的としたフィルム密封貯蔵(MA貯蔵)におけるキウイフルーツの物理・化学的特性の測定を行った結果、ガス低透過性フィルム密封包装ならびにエチレン除去剤が果実の品質保持に有効に作用することが各測定結果および食時の官能評価試験により明らかとなった。
家庭用冷蔵庫、特に家庭用冷蔵庫の青果物専用冷蔵用小室に、赤色発光ダイオード弱光照射CAを適用することで、現在市販されている家庭用冷蔵庫におけるよりも緑色青果物の鮮度保持期間を大幅に延長可能であると考え、実用化を目指した研究を開始した。ここでは、適用のための基本的要件、光源、光源の設置位置および青果物表面における光強度について、整理・検討した。
- B-15
Characterization of Textural Changes in Soybean Cotyledons Subjected to Accelerated Storage
- Ojijo, N. K. 0., T. Kimura, N. Shimizu, H. Koaze
Fresh soybean samples were subjected to an accelerated storage regime to induce hard-to-cook (HTC) defect. The stored samples registered a five-fold increase in hardness after 3 months. This was attributed mainly to the formation of new softening substrates. Four softening substrates were identified on the graphs of peak compressive force verses.
スイカの肉質障害果を判別するため電気インピーダンスと密度を測定した結果ウルミ(煮え)果は密度が高くインピーダンスが小さかった。非破壊測定にはマルチ電極を用い内部果肉の2周波抵抗比を計算で求めた。果実密度と非破壊計測による2周波抵抗比を組合せた判別分析の結果、正常果とウルミ果の分布に明確な相違が見られ、密度と抵抗比の複合計測でウルミ果を判別できた。
本研究は青果物共選プラントにおいて、新システムや操業法の改善指針を検討するために、等階級自動割付け方式箱詰め工程の共選プラントをモデルとして、人-機械糸のシミュレータを開発し、このシミュレータで実際の操業状態を精度良く再現できることを確認した。
本研究は等階級自動割付方式箱詰め工程の共逮プラントをモデルとして開発された「等階級自動割付けシミュレーション」により、人-機械系の操業状態を把握し、この結果に基づき共選プラントの合理的な操業法の指針を提案することにある。
褐色卵における血卵検出の可能性について、可視光域の透過光画像を収集し、各波長の透過率を用いて検討した。ある波長に対する透過比率をしきい値とすることにより、正常卵の判別率は95%、血卵の判別率は90%であった。ニューラルネットワークによる判別率は、それぞれ99%、97%であった。
本研究は極微弱発光計測を用いた、新しい農産物の品質評価技術の確立を目的としている。コメから自発的に放出される「極微弱発光」の画像計測を行った結果、正常な精白米に比ベ白濁した未熟米の発光量は約1.7倍多いことが分かった。同一の試料で測定した脂肪酸度の分析結果も未熟米は精白米より1.4倍高く、極微弱発光の測定による簡易な品質評価の可能性が示された。
モデル生ごみ(厨芥)スラリー(TS:0.72%)を原料とする完全混合型酸生成プロセス(CSTR)からの流出スラリーでは、バイオガスの基質となる有機の濃度が低かった。そこでモデル生ごみスラリーを濃縮してリアクタに投入する方式と流出液の未分解固形物をリアクタに返送する方式を考案し、その比較研究を行った。その結果、従来よりも高濃度の有機酸スラリー生成が見込まれた。
- B-22
Dry Methane Fermentation System for Livestock Manure (1)
- Jiang, W., Y. Kitamura, Jia, J., N. Ishizuka(Shimane Univ.)
A set of experiments was carried out to develop the Dry Methane Fermentation System to treat non- or low water-diluted livestock manure. VA, pHs, TS and VSS in the mixture of manure and anaerobic sludge with variable concentrations were tested at 36±1℃ being treated by Rotational Drum System. The organic acids decreased with increasing in water-dilution, and 39-49% organic solids were degraded and gasified in batch fermentation for 25 d.
小麦製粉時の副生物であるフスマをメタン発酵によってエネルギ変換するシステムを構築した。システムの稼動に要する補助エネルギは太陽光発電によって補う方式を採用し、通年で外部からのエネルギ投入を必要としない、廃棄物処理とエネルギ生産を両立させたクローズドシステムを完成させた。
メタン発酵におけるメタン菌活性の指標として、菌体内に含まれるNAD(P)Hを専用センサを用いてオンライン計測した。酢酸を基質とし合成培地を用いた運転で、スタートアップ後、メタン生成の立ち上がりよりも早くNAD(P)Hの上昇が見られた。
北海道の草地酪農地帯である釧路地区と畑酪地帯である十勝地区のそれぞれ一町村を対象として、酪農生産システムを経済性のみに偏らずに、エネルギーや窒素負荷も放えた3指標、および、それらを組み合わせた[投エネ/所得]比や[窒素負荷/所得]比などの複合的指標を用いることにより、総合的な評価・比較を試みた。
- B-26
草地酪農地帯のH農協所属農家群の多面的評価-家畜の健康と人間の満足感を加えて-
- 河上博美・干場信司・獅子原彩・森田茂(酪農大)・野田哲治(JA浜中町)・徳川直人(東北大)・久保田学(NOSAI標茶支所)・池口厚男(畜試)
昨年と同様の地域を対象とし、経済性、エネルギー利用、窒素負荷の3指標に、新たに家畜の健康および人間の満足感を加えた複合的評価した。家畜の健康は、疾病の発生回数を調査することにより、また、人間の満足感は、アンケート調査により求めた。
自然太陽光に近い波長を持つ陽光ランプを用いてブドウの乾燥特性と品質変化を測定し、温風乾燥法の場合と比較した。その結果、太陽乾燥法における乾燥速度は乾燥初期こそ温風乾燥法の場合より小さいが、乾燥後半から大きくなった。これについては、水蒸気の透過抵抗となる果皮の収縮硬化する度合いが、伝熱形態の適いによって変化するためと考えられる。
木材を炭化する過程において、熱エネルギの効率的な投入方法を検討するために、炭化装置を試作して実験を行った。供試材料として調整コストの抑制ならびに未利用資源の有効利用を目的として、炭への利用が少ない針葉樹(スギ)を角材で用いた。加熱実験により、温度、発生ガス濃度を指標に、炭化の過程を計測した。試料の乾燥は大きさと比例傾向にあるが、炭化は試料の大きさが大きな物の方が速やかに進行する傾向を示した。
大気放射冷却による青果物の直接冷却を想定し、4種類の被覆材を展張したテント内にモデル球を設置し、放射冷却による冷却の効率に及ぼす被覆材の影響を測定した。実験結果を1)テント内放射収支量、2)被覆材による長波放射透過の違い、3)冷却における放射冷却の寄与率、4)キャベツの品温低下量の推定、5)被覆材の保冷性の項目で解析した。
同一棟内の同形状豚房空間で異なる換気方式を採用した2部屋の豚舎ついて、舎内環境を換気方式の違いの観点から検討しその特性について考察した。舎内温熱環境は通年で南部屋ともに特異的な問題などは認められず、制御として良好な結果を得たが、浮遊粉塵とアンモニア濃度については換気方式の適いに起因するそれぞれ相反する差違が認められた。
合理的な生産システム追究のため、日齢と季節による子豚の血祭中IgG濃度の変化を測定して、疾病対策の観点からの適正離乳日齢を検討した。子豚のIgG濃度は7日齢以降二次関数的に減少し、21日齢より離乳を3~5日早めても、大きな疾病感染防止効果は期待できないものと思われた。また、季節的には冬季における18日齢以降のIgG下率が高く、この期間の環境制御がとくに重要であると考えられた。
本研究は、積雪荷重が畜舎施設の建設コストに及ぼす影響について検討したものである。積雪荷重の設定を変化させて畜舎施設の建設コストについて分析した。その結果、積雪荷重は鉄骨工事のコスト増減を支配し、その工事コストは、躯体工事全体の50%を示す。従って、畜舎施設のコスト緩和は、積雪荷重を低減する手法を確立する必要がある。
本研究は、凍結深度が畜舎施設の建設コストに及ぼす影響について検討したものである。凍結深度の設定を変化させて畜舎施設の建設コストを分析した。その結果凍結深度は基礎工事のコスト増減を支配し、その工事コストは、躯体工事全体の50%を占める。現行の畜舎設計基準では、基礎の緩和を考慮していないことから、基礎工事の緩和をはかる手法を十分検討する必要がある。
本研究は、畜舎施設における滑雪現象を考慮した積雪荷重の評価について検討したものである。アメダスの気象資料を用いて積雪荷重を積雪深および降水量から算出した。その結果観測されている降水量は降水量計周辺の風速に影響され、実際の降水量よりも小さくなる。このことから、降水量から積雪荷重を評価する場合は、降水量計の捕捉率を考慮する必要がある。
エアロゾルは通常正に帯電していると言われていることに着目し、無窓鶏舎内で発生するエアロゾルを超音波噴雰器の帯電零化によってトラップする技術開発を検討するため、無窓鶏舎内の空間電位と環境要因との関係について測定した。空間電位と粉塵濃度の間には正の相関、アンモニア濃度には負の相関が見られた。
本研究は超音波噴霧器を用いて帯電霧化による空気の清浄化を行う技術開発を目的とした。チャンバー内に粉塵を充満させ、噴霧無し、通常噴霧、帯電噴霧(+、-)の4Caseによって粉塵の減衰を実測した。その結果、超音波噴霧器は粉塵除去に効果があることがわかり、最も効果が認められた噴霧方法は-帯電噴霧であった。この方法は他の3Caseと比ベ、減衰速度は速く、減衰限界においても下回っていた。
FS牛舎における、糞尿の分離搬出法の検討を進めるため、搾乳ロボットを使用して不定時多回搾乳を実施しているFS牛舎での排糞調査を行った。乳牛が常時滞在する条件下に率いても、糞の量的、時間吼空間的偏在が見られ、含水率が高い糞の場合排糞回数が増え、1回当たりの排糞重量が少なくなる傾向があると推測された。
豚体に入射する日射量(日射熱負荷量)を豚体形状に基づいて算定するたあに必要な基礎資料を、体重27、65、88kg豚のサーフエスモデル(体表面を三角形バッチで構成した3次元多面体グラフィックスモデル)を用いて数理解析的に解明した。その結果、豚体に入射する直達日射量を算定する際に必要である法線面平行投影面積、および豚体に入射する天空日射量と反射日射量の算定式を提示し、肥育豚の日射熱負荷量算定例を示した。
乳牛ふん尿スラリーのばっ気処理の基本特性を把握することを試みた。ビーカーを用いた回分実験と、深層ばっ気プラントを利用した連続実験を行った。BOD容積負荷・滞留時間とBODやT-Nなどの除去率との関係が求められた。この閑係より、圃場散布するときの個別条件がわかれば、負荷や滞留時間を設定することにより、適正な処理が得られることになる。
軒部や棟部に開口を有し、また、側面壁や妻面壁が無い場合もある開放度の高い畜舎独自の風力係数を前報に引き続いて風洞実験により求めた。風洞実験は、前報と同屋根形状で緩い勾配の場合を含む4種の屋根形状について、壁の有無を組み合わせた合計139ケースについて行った。また、各ケースの風洞実験結果を前報の結果と併せて構造骨組用の風力係数として示した。
低コスト畜舎を建設する際に問題となる細幅サイズの普通H形鋼や軽量H形網を梁部材に使用した場合の耐力を確認するための実大実験を行った。梁の鉄骨サイズ200×100、300×150の2種類について、漸増繰り返し載荷した均合の実験結果概要とともに、簡易な座屈止めの効果、継手部添え板厚が異なる場合の性状の相違、及び軽量H形鋼の耐力について検討している。
育成馬の飼養馬房は2.7m×3.6mの大きさであった。馬房入り口部は給餌口との関係から開放式であり、馬房外壁には二層式のドアが設置してあった。育成馬の飼養については時期により2つ(2歳秋迄:集団飼養、2歳秋から:単独飼養で馴致、トレーニングが主な目的)に分けられており、飼養施設の付帯設備が異なっていた。
豚舎尿汚水の浄化処理を目的とした排水処理装置で、籾がら濾材による濾過装置、間欠曝気槽、沈殿槽、高次処理(機能膜等)装置等から成る装置を開発し、その性能試験を行った。処理能力は3.6m3/日でBOD、SS、窒素等は水質汚濁防止法の排水基準以下に良好に浄化処理することができた。
- C-15
緊プロ型ロックウール脱臭装置の開発-寒冷地における脱臭性能-
- 道宗直昭・福森功・古山隆司・名川稔(生研機構)・上原喜四郎(松下環境空調エンジニアリング)・井上門明(ニチアス)・細川吉晴(北里大)
寒冷地でも良好に稼働する堆肥化施設等で発生する臭気を脱臭できる脱臭装置を開発した。ロックウールを主材とした通気抵抗の小さな微生物活性の高い脱臭材料を開発し、2m堆積した下部ヘアンモニアの平均ガス濃度200ppm、見掛け風速20mm/秒の臭気を通して脱臭した。
堆肥化過程での臭気は極めて高濃度で不快なため苦情を招くことが多い。そこで、家畜排泄物の堆肥化過程での臭気を、出来上がり堆肥へ吸着させて、低減化することについて検討した。乳牛糞とおがくずを用いた堆肥化における、堆肥化1及び2週日材料からの発生臭気を吸着させた結果、メチルメルカプタン及びイソ吉草酸濃度は4割、アンモニアは約6割低減化された。試験終了時のアンモニア吸着率0.745g/kg(平均入気濃度250ppm)
酪農施設(つなぎ飼い式)において、62歳の作業者の実態調査をし作業姿勢、心拍数、作業動線の解析を行った。その結果、給餌作業において前傾、前屈、左右傾、左右捻転姿勢が多く出現し、心拍数の大きな上昇は給餌作業中に多く発生していることから給餌作業の自動化の確立、使用する道具のちょっとした配慮が必要であることが示された。
糞尿処理の異なる5酪農場を対象として、3つの指標(経済性、化石エネルギー収支および窒素収支)およびそれらを組み合わせた[投エネ/所得]比[MJ/千円]、[窒素負荷/所得]比[kg/千円]によって、酪農生産システムの比較を行った。
ロータリ式製氷機を用い希釈牛ふんスラリーの凍結希薄化を行った。希釈液はロータリー式蒸発器の上部のノズルから散水され、蒸発器表面に当って凍結希薄化される。今回は蒸発器の回転を止めて散水し、蒸発器表面に凍結させた。蒸発器温度は-10℃、-20℃の2条件である。1)蒸発器温度が高い方がCOD・TSともに除去率が高い。2)希釈倍率が高いほどCOD・TSともに除去率が高い。3)散水静止式の方が回転式よりCOD・TS除去率が高い。
この研究は、硫黄酸化細菌の増埴速度と硝酸性窒素の除去速度が従属栄養細菌に比べて低いとされていることに対して、反応槽内に硫黄酸化細菌を坦体に固定化し、菌密度を高めて畜産廃水の脱窒処理の効率化を図ることを目的とした。脱窒過程における生成した硫酸イオンは脱窒に阻害があると考えるので、ここで、硫酸イオンによる脱窒反応への阻害濃度について検討を行った。
既往の酪農におけるふん尿の処理・利用方式の実態調査を行い、家畜の飼養頭数規模、作付け面積、敷料の使用状況、ふん尿の搬出量、ふん尿処理の技術的条件、処理後の利用状況及び問題点などについてアンケート調査を行った。その結果、牛の飼養管理方式によって、処理・利用実態に特徴があり、繋ぎ飼い方式では圃場面積不足や臭気対策、放し飼い方式では処理能力や販売に対する問題意識が高いことが明らかになった。
1日の総通気時間を8時間として等間隔分割通気を行う場合の通気時間、通気回数、及び通気間隔などが攪拌曝気時の悪臭発生に及ぼす影響について検討した。その結果、スラリーの攪拌曝気開始時におけるアンモニアや硫化水素の発生濃度は、乾物1kg当たりの通気量を2.7~3.9L/min、通気分割回数を4回とし、好気的条件を維持することによって低減できることが明らかになった。
還元態硫黄を電子供与体とする独立栄養性硫黄酸化細菌による脱窒を行った。硝酸性窒素の除去速度は従属栄養細菌に比べて低いとされていることに対して、本研究では、嫌気条件で微量金属塩、Na2S203(電子供与体)とKNO3(電子受容体)濃度及び好気・嫌気条件を変化させ、細菌の増殖及び脱窒活性への影響を調べ、硫黄酸化細菌の最適培養条件を求めた。
馴善した硝化菌を用い、在来法の懸濁液、包括固定化法及び栄養塩包括抱体を用いることで合成廃水450mL(NH4+-N濃度20mg/L)を硝化処理し、処理水のNH4+-N、NO2-N、NO3N及び溶存酸素の濃度を測定し、比較検討を行った。NH4+-N除去率、硝化菌の活性については全て、栄養塩包括抱体(濃度1000倍、充填率10%)を用いたものは抱括固定化法と同等以上の結果であった。
メタン発酵によるバイオガスが、望ましい温度と圧力で液化石油ガス中に溶解させられれば、それはこのエネルギー利用のポテンシャルを高めることになる。この報告は液体プロパンとブタン中のメタンを溶解した臨界状態について検討したものである。PR方程式を応用して、278Kと294Kの状態下でのプロパンとブタンに対するメタンの溶解特性を考察した。
平成10年夏季より130m3の発酵槽に豚舎廃水をいれ、平成11年初春までメタン発酵を行った。発酵槽容積の10%程度、種菌として牛糞尿スラリーを入れた乳豚舎廃水を注入し、発酵温度を20℃に低温馴養させた。ガス発生速度(m3/d)は開始61日目で20℃までの温度低下により25℃時の1.12m3から0.44m3まで低下したが、挿発性有横酸は1932ppmから8443ppmへと増えた。
タンデム、ヘリンボーン、パラレルの各パーラ形式の作業能率を調査し、搾乳ストールあたりの搾乳能率からパーラ規模を決定する方法を示した。また、前処理作業内容・手順により、処理時間に大きな差がみられた。前処理時間が長い時には、手順を変更することで、作業時間の短縮が図られ、搾乳能率が向上する。
乳牛の搾乳以外の1日の行動は横臥が52.7%、牛珠悸立が15.0%、採食が21.7%である。乳牛の行動が比較的安定している状態での、平均的な牛床の横臥率(観察時の牛床利用頭数に対する横臥頭数の割合)は70~80%、快適な牛床の横臥率は80%以上である。横臥率が70%以下の場合は、牛床に何らかの問題があると判定できる。
ミルキングパーラにおける搾乳作業の労働負荷軽減のため、ピット深さを変え、左僧帽筋の筋電位を測定した。左僧帽筋ではピット深さが大きくなれば筋負担は大きくなる傾向にあった。左僧帽筋活動度を8~10%とし、適性ビット深さを求めるとパラレルパーラでは身長の53%で上限が56%になる。また、ヘリンボーンパーラでは54%で上限が58%になる。