発表要旨(1998年度大会)
- E-13
The Effect of Filling Rate on Pressure Ratio in Grain Silo
- Nursigit Bintoro, Fusakazu Ai, Eiichiro Sakaguchi, Shotaro Kawakami(Tokyo Univ.)
The effect of filling rate on pressure ratio (k) and on the accuracy of theoretical equations proposed for k was investigated. The interaction of filling rate and depth affected the values of k and filling rate had to be considered in selecting the most accurate equation for k.
低コスト高品質穀物貯蔵乾燥法として、吸引(下方)送風累積貯蔵乾燥法を提唱し、本乾燥機の乾燥制御法として、乾燥空気の含水率を温度を制御して行う平衡含水率制御法を提唱し、シミュレーションおよび模型実験では好結果を得ている。最近本方式の乾燥機が販売されているが、完全な温度制御機能が備わっていない。このような場合に天気予測を加えて制御する方法を検討した。
Energy Efficiencyは水分1kgfの乾減に要するエネルギ量(MJ/kgf-水)で、籾乾燥装置の比エネルギ消費量を表わし、設置計画や操業実績の比較評価に使われ、極めて重要である。諸文献から得られた平均値は、CEのA型(循環式乾燥機)で5.8MJ/kgf-水、B型(貯留ビン)で低温加熱の3.8MJ/kgf-水と除湿機操作の1.7MJ/kgf-水であった。調査した村山市農協のCEの乾燥装置は3.7MJ/kgf-水で、B型の範疇にあった。
上川ライスターミナル(株)名寄工場における(株)クボタ製大型循環式乾燥機の性能試験は供試籾「はくちょうもち」58tを用いて実施した。試験結果の既要は、籾水分25%を2回の調質時間を含めて29.5時間で14.8%に、仕上げ乾燥を行った。毎時乾減率は0.49%wb/h、送風温度むらは約2℃。灯油消費量60.51/h、熱効率は40.3%、水分1kg除去に必要な熱量は1,536kcal/kg、製品は全量1等米であった。
穀物乾燥貯蔵施設において、貯蔵穀物が発酵等により変質する事故が後を絶たない。本実験では実際の施設において二酸化炭素濃度変化の測定による結露の検知の可能性を検討した。籾層の上部で結露が発生した場合、上部空間内での二酸化炭素濃度の増加よりその検知が可能であった。二酸化炭素の拡散速度が小さいため、通風による二酸化炭素の強制的拡散を検討した。
籾を休眠状態に置くため温度・気体条件を変えて貯蔵試験を行った。温度が低い程、あきたこまちよりひとめぼれの方が早期に休眠したが、深い休眠は1ヵ月間程しか持続しなかった。12月後には酸素または二酸化炭素濃度が誘因と思われる深い休眠が起きた。貯蔵性と密接な呼吸量については、疋田らの結果と同様の関係が得られたが、休眠度との間では明確な関係は得られなかった。
- E-19
Husking Characteristics of Long and Short Grain Rice
- D. Shitanda, Y. Nishiyama, S. Koide, Kyaw Kyaw Naing(岩手大)
インペラ籾すり機を使って、短粒種と長粒種の脱ぷ特性を調べた。短粒種は胴割れ率が多いが砕米率は少なかったが、長粒種は逆に胴割れが少なく砕米が多かった。長粒種の砕米率を下げる目的で、ライナー部にクッション材を使ったり、ライナー無しの脱ぷ試験を行った。その結果、砕米率は大幅に低下したが、同一脱ぷ率では改善が見られなかった。
中国ではハイブリッド種の栽培が普及しているが、その砕米率は在来程と仕べて高く、収量は予想より少ない。その原因を見出すために、それらの基礎物性および籾すりや精米時の砕米発生の特徴を考察した。胴割れ率と籾すり時の砕米率に高い相関があり、ハイブリッド種が最大の砕米率を示した。これは、長さ/厚さ比等の形状に起因する機械的強度が影響していると思われる。
発泡スチロール容器の氷の持続時間や最適氷量を求めるため、氷を入れて容器内外の温度を測定した。発泡スチロールの熱伝導度から氷の保持時間を計算したところ、多少の誤差はあったが推定できた。容器を積み重ねて輸送するので、1箱だけ20~30℃に置くより熱の侵入が格段に少ないので、内部の容器の氷の保持時間は長くなるとともに、量を減らすことが可能と思われた。
冷水冷却を中心に、各種予冷方法が、ダイコン、ブロッコリーおよびホウレンソウの鮮度保持に及ぼす影響を検討した。冷水冷却した野菜の重量減少率、黄化度は小さい傾向がみられた。ダイコンでは、予冷方法による硬度および糖度の差異がみられなかった。冷水冷却した野菜の鮮度は、他の予冷法よりやや良い結果を得た。ブロッコリーおよびホウレンソウに対して、冷水冷却法は適当であると考えられた。
真空冷却法ではほとんど冷却できないダイコンの根部を冷却することを試みた。水を含ませたレーヨン100%の紙布巾で包装するプレウェッティング処理により表面付近はよく冷却できた。しかし、標準的な冷却時間では内部まで十分冷却できず冷却むらが生じた。冷却むらは冷却時間の延長、または真空冷却後1時間程度の保冷の実施で解決し、内部まで十分冷却出来た。しかし水分損失などから予冷後に保冷を行う方法が有利と考えられた。
個体急速冷却による新しい予冷システムの構築のため、大きさ、内部状態、および形状などのキャベツの物理的特性が強制通風冷却速度に及ぼす影響を評価した。アーリーボールの赤道部の最大径と最小径および高さの3つの積から、体積を推定する式を導出した。キャベツの冷却過程は、フーリエの法則に従った。冷却速度に最も大きな影響を及ぼすのは質量で、仮比重の影響は小さい。
本研究では、イチゴのトラック輸送時の様々な路面状況における輸送振動の解析を試み、輸送振動によるイチゴの品質変化について調査した。輸送振動の加速度は、0~5m/s2であった。パワースペクトルでは、3.25、7、及び13.5Hz付近にピークが確認された。イチゴの糖度及びアスコルビン酸含量は、振動を加えることにより低下した。
本研究は,オゾンガスが青果物に付着した細菌の殺菌と青果物が生成するエチレンの分解を同時に行うことができることに着目して、オゾンを利用した青果物貯蔵庫の開発を目的に基礎実験を行ったものである。ここではオゾンによる殺菌およびエチレン分解への貯蔵庫内環境因子の影響を明らかこするとともに、オゾン処理方法が青果物の品質に与える影響について調べた。
苫小牧-大洗間のTSLによる実験輸送を行い環境条件の測定を行った。TSLはフェリーの半分の時間で運航し、衝撃加速度も少なく、そのほとんどが1Hz以下の振動であった。輸送中にスイートコーンの品温は1℃上昇し、炭酸ガス濃度は11%まで上昇した。これは冷凍コンテナの能力不足あるいは予冷不足が原因と思われた。
TSL運航実験の際に実施した、冷凍コンテナによるスイートコーンの輸送実験における品質変化を調査した。積載時の品温は11~16℃で、予冷が不十分であり、輸送中に品温の上昇が見られた。目減りは1%以内であった。輸送によりBrixは最大で1.0減少した。輸送前後の包皮の可視分光反射率を測定した結果、色相角が減少し、緑色が減退し黄化が生じていることを示した。
シミュレータによる選果包装施設の合理的設計の指針を把握することを目的に、最新のフルダイナミック割り付け方式である福島県白河農協のトマト選別包装施設をモデルとして、等級選別、箱詰め作業における作業のタイムスタディを行った。
磁場処理水での植物生長に対する影響を検討した。メロンにおいては、ほぼ全測定期間で葉の重量増加が認められ、またCa、Mg濃度も処理区のほうが上回っていたが、他の試料では必ずしも同様な傾向は認められなかった。サラダ莱での水耕栽培試験では磁場処理で成長促進が認められたが、局所的な他環境因子変動による影響なども含めてきらに検討を進める予定である。
3種類の磁石を用いた磁場処理水のトマト、キュウリ、プリンスメロンの栽培試験を行った結果、いずれの場合も初期の葉重量は隣接する未処理区に比べて、磁場強区で増加する傾向が見られたが、収穫量においては、顕著な差ではなかった。機能水の影響確認のための栽培試験の場合には、環境要因の均一化あるいは試験区の配置変更などの工夫が必要であることが明らかになった。
園芸用ハウスの基礎部周辺土壌の補強手段として、セメント系固化材を用いた改良土の材料特性を試験した。関東ローム土を用いて試験を行い、目標とする一軸圧縮強度100N/m2を得るための固化材の配合割合・練り混ぜ方法等について明らかにした。また、砂質土を用いた試験も行い、土質による改良土特性の差を明らかにした。
園芸用施設の新しい基礎工法を開発するため、現地での掘削土壌にセメント系固化材を混合したソイルセメントを用いて、市販のコンクリート製置き基礎を埋め戻す工法を考案し、ソイルセメント基礎と名付けた。このソイルセメント基礎に大型連棟ガラス室等の基礎に作用する鉛直引き抜き力及び水平荷重を加えて、この工法の妥当性を検討し、その結果、十分な強度を有する基礎工法が築造できることが確認された。
- F-13
Near Infrared Spectroscopy for Biomonitoring in Dairy
- R. Tsenkova, T. Fukushima, Y. Fujita, K. Toyoda(Kobe Univ.)
乳汁の近赤外分光分析、特に、長波長域(1100-1800nm、2100-2360nm)での分析により、乳牛の個体識別を行う手法について検討した。その結果、近赤外吸光度データの主成分与析(PCA)における主成分3、4では個体毎に成分値が集合する傾向を示し、個体識別が可能であるとの知見が得られた。一方、2次微分PCAの主成分3、4では各個体の成分値は分散する傾向を示した。
血液は、その成分が生体の栄養状態や健康状態などの影響を直接受けるため、生体の情報を得るための重要な情報源となっている。本研究では、近赤外分光法による乳牛の飼養管理システムの研究開発の一環として、乳牛血液の近赤外スペクトルに及ぼす飼料の影響を調べ、飼料の違いが乳牛血液の近赤外スペクトルに直接影響を及ぼすことを明らかにした。
現在、集卵場では白色卵の透光検査を行っているが、褐色卵については透過光の色と鶏卵内の血液の色が似ているために選別が困難となり、逆光検査を行っていない。そこで、近赤外分光分析法によって褐色卵の血卵を非破壊で検出する方法を検討し、76%の判別率を得た。
炊飯米の品質に影響を与える炊飯時の白米吸水過程の電気インピータンス測定によるモニタリング法について検討した。重量法と容積法の吸水率の測定値はよい一致を示し、容積法による吸水率測定の妥当性が示された。白米1粒子についてのインピーダンス値は吸水率が飽和に達する時間でほぼ平衡となる傾向を示し、電気的等価モデル解析による吸水率推定の可能性が示された。
未だ内部的な栄養成分による品質評価がなされていない葉菜類に近赤外分光法による内部ビタミンCの非破壊での検出を試み、その定量法について検討した。用いたコマツナは葉位によりビタミンC含量が大きく異なり、かつ同一の葉内でも先端部や周辺部と葉柄部ではビタミンC含量に差があるため、最適な測定部位を決定し、生育中のコマツナについての検量線を作成した。
日射量、気温、湿度などの環境要因から土壌水分の指標であるpF値の変動を予測し、ハウス内土壌水分制御を行った。収量調査の結果、慣行区と制御区の収量・品質は、ほぼ同様の値を示したことから、本システムは現場のハウスでも使用可能であることがわかった。
平成10年1月に、東北地方南部の太平洋側は大雪の被害に見舞われ、多くの園芸施設が積雪荷重により倒壊するなどの被害を受けた。その破壊挙動を明らかにして今後の雪害対策を得るために、地中押し込み式パイプハウスを中心とした施設の被災状況を把握する調査を行った。調査は被災施設の概況、被災断面の実測および聞き取り調査を行った。その結果、積雪荷重に対して施設の持つ幾つかの問題点が明らかになった。
熱交換器の台数や流量、暖房設定気温、温室規模などの関係を計算によって検討した。湯量が十分な場合、設定気温を高めるにはグリーンソーラの流量の増加よりも台数の増加の方が効果的であることが明らかとなった。また、揚温・湯量が定まっている場合、温室設置可能面積は設定気温の増加に伴って指数関数的に減少し、設定気温をできるだけ低めることが取得熱量を増大きせるという点でも有利であることが明らかとなった。
中高齢者の事故の発生率とその内容を把握することを目的にアンケート調査を行った。その結果、施設別にみて傷害率が最も高いのは畜産の56.9%であった。また、年齢別にみると畜舎では50~59歳を除く年齢層において他の施設よりも高い値が示された。畜産の作業は休日がなく、休みたいときに休めないのが原因と考えられる。
茶園における晩霜害の被害は大きな経済的被害を与える。現在、一般的には地上6~8mに設置された上空形ファンにより逆転層の比較的暖かい空気を吹き下ろすことにより防霜効果を得ている。しかし、このファンに対して種々の問題点が指摘され、最近、低位置に設置する水平送風ファンが開発された。送風が結露や結霜の発生に与える影響を検討した。また、実際の茶園において、両種ファンの防霜効果を計測した。
搾乳ラインの真空圧(ミルククロー内、パルセータライン、ミルクライン)、乳量等を測定しながら、各種搾乳条件をリアルタイムで制御できる搾乳実験施設を構築した。本施設では、ミルクラインの真空圧、パルセータラインの真空圧、4乳区の合乳の流量に基づいた離脱タイミング、拍動数、拍動比、拍動パターンをコンピュータで各ストール毎に独立して制御できる。
開発中の国産搾乳ロボットの装着性能を調査したところ、1回起動での装着成功率は85%であったが、乳頭の折曲がり検知等の機能を付加すれば95%程度に向上すると推測された。また、搾乳能率は6.5~7頭/hであった。なお、全装着~全離脱の時間は全滞在時間の76%を占めており、搾乳速度を高めることが搾乳ロボットの能率向上に効果的であると推測された。
堆肥が隔壁に及ぼす影響を建設後15年程度を経過した6棟で調査した。調査項目は鉄筋のかぶり厚さ、鉄筋の腐食状況、中性化深さ、全塩化物イオンなどの化学成分などである。堆肥のコンクリート中性化への影響は少なく、大気による中性化と同程度かそれ以下であった。また、全塩化物イオンは表面付近で大きいが、かぶり厚さ位置では限界値を下回っていた。
厩舎は廊下を中央に配置する両馬房型式のものが多かった。繁殖牝馬の馬房は3.6m×3.6mまたは4.5m×3.6mで、廊下は離乳準備期にクリープとして使用されていた。比較的規模の大きな牧場では分娩馬房(4.5m×4.5m)を設置していたが、中規模以下の牧場では飼養馬房において分娩を行うかたちを取っていた。馬房床は馬房中央マンホールに向かい3%傾斜をつけるように作られていた。
- F-32
草地酪農地帯のH農協所属農家群の経済性、エネルギ利用および窒素負荷による複合的評価
- 河上博美・干場信司・江蔵薫子・吉野宣彦(酪農大)・野田哲治(JA浜中町)・森田茂(酪農大)・池口厚男(畜試)
道東の一町村を対象として経済性、化石エネルギー利用および、窒素負荷の3つの評価軸より複合的評価を試みた。その結果、地域内における農家間差を見る事ができ、[窒素負荷/所得]比という複合的評価軸のもつ意義が明らかになった。
畜舎は軒部や棟部にスリット状の開口を設けたり、また、側面壁や妻面壁が無い事例も見られる。これらの開放度の高い畜舎独自の風力係数を風洞実験によって求めた。風洞実験は4種の屋根形状の全壁付きを基本とし、場合に応じて各部の壁の無い状態を再現し、合計82ケースについて行った。また、各ケースの風洞実験結果を構造骨組用の風力係数として整理した。
フリーストール・ミルキングパーラ方式移行時の牛舎建設費の低減を図るため、自家施工が可能なフレーム組み立て方式の簡易フリーストール牛舎を開発するとともに、搾乳牛13頭を収容して行動調査から牛床横臥の状況などを検討し、搾乳牛でも十分利用が可能であることを示した。
本研究では、酪農生産システムに投入されている化石エネルギーを総合的に評価するために、フリーストール牛舎を対象として、その建設時に投入されたエネルギー量を算出し、約4500[GJ]という結果を得た。この値は耐用年数を20年とした場合、1年当たりのランニングエネルギー量(道東地区H農協の平均)の9%となり、無視できる量ではないと考えられる。
個々の農家が新しくフリーストールシステムを横築する際に考えなければならない設計までのステップと個別技術の長所・短所の認識を支援する、コンピュータ対話型で、農家自身が繰作することのできるフリーストール牛舎設計支援システムを開発した。
フライアッシュ系土壌硬化材でパドックの泥ねい化防止を図る際の、適用土壌、混合率などを、農家パドックでの試験施工と土質試験を行って検討した。有機物含有量が少なく、粒度の粗い砂質土に75~100kg/m3以上の硬化材混合率と施工厚20cmを確保すれば、3年程度の泥ねい化防止効果の持続が期待できると判断された。
つなぎ牛舎では乳牛の起立横臥パターンは管理作業に制約され、マットレス設置前後で大きな変化はみられなかったが、牛床毎の横臥時間割合は設置後高くなり牛床改善効果が認められた。フリーストール牛舎では、マットレス設置により平均横臥頭数および横臥率が増加し、牛床毎の横臥時間割合も増加した。連続横臥時間は48分から設置後73分へ延長されマットレス設置により高い牛床改善効果がみられた。
豚舎内の臭気の発生量の推定、臭気軽減のための必要換気量の推定を行った。気温0℃、気流速0.2m/sで推定した場合、換気回数は13回/hとなり、冬季の臭気軽減を目的とした換気は不可能である。気温30℃、気流速0.2m/sのときの臭気軽減のための換気回数は44回/hであり、この換気量も暑熱時の豚舎の換気量推定値を遥かに超え、単純な換気によっての臭気軽減は不可能である。
無窓採卵鶏舎を対象として超音波噴霧器を用いた植物性油噴霧により舎内で粉塵をトラップする方法について検討した。菜種油を乳化剤(レシチン)で水に溶かした、2%(重量比)の水溶液を14g/head day散布した場合、2mm未満の粉塵濃度は、試験区と対照区で有意であり約42%減少し、噴霧後1日経過しても効果が持続した。10mm以上30mm未満の大きい粉塵も有意差があり、約50%減少させることができた。
生活排水路に浄化施設(積層網状体および多孔性コンクリートブロック)を設置、脱窒菌固定化担体を封入し廃水浄化能力を評価した。窒素源については、NO3-NおよびNO2-Nはそれぞれ60%および79%の平均除去率が得られたがNH3-Nの除去能力は見られなかった。炭素源については、98年1月~2月の平均除去率はBOD45%、COD58%、TOC52%であり担体の生物的な作用と考えられた。
ターンテーブル式MBCRを用いて脱窒処理を行った。固定床型に比べて、高負荷での連続運転を安定して行うことが出来た。運転性能は窒素負荷量107.2mgN/l/hrで定常的に除去率90%以上で、HRT1.4時間以上では100%近くの除去が可能であった(流入硝酸態窒素100mg/l)。ターンテーブル式MBCRでは、定期的に磁界の方向を変化させることでカラム中の磁性担体が移動し、カラム中の閉塞を防ぐことが出来る。
糞尿処理方式の異なる3酪農場において、3つの指標(経済性、化石エネルギー収支および窒素収支)に関してデータを収集し、[投エネ/所得]比、[窒素負荷/所得]比などの複合的指標を求めた。この方法により、環境などに配慮した施設の比較評価が可能となった。
牛舎から排出された糞尿をバーンクリーナー搭載型ローラープレス式固液分離機で分離し、分離液を約30日間累積貯留ならびに曝気処理を行い、曝気槽が満杯になった時点で塩化ビニールフィルムバック型貯留槽に貯留した。運転が安定した時点では1日の送気量約500m3、通気時間約3.5時間で液温を50℃に維持することが出来た。投入固形分は約9%で曝気槽では約4%に低下した。
ふん尿混合物を攪拌・曝気して好気性発酵を促進し、散布時における悪臭の低減技術を開発するため、通気量(0.6~1.4L/min/DMkg)、通気方法(24時間連続通気、12時間間欠通気)、外気温度(13.7~26.1℃)などが発酵に及ぼす影響について検討した。発酵時の液肥の平均温度は外気温度に大きく影響され、外気温度が低いほど発酵温度が低いが、乾物分解率が大きい傾向を示した。
生活廃水レベルの低濃度アンモニアの新しい除去方法としてMAP晶析法を検討した。20mgN/Lの濃度までアンモニアが除去されることが確認され、種晶なしの状態でマグネシウムイオン濃度、リン濃度が0.02mg/Lのとき20mgN/Lのアンモニアが最高で75%除去された。
実規模施設において、ホタテウロ、イカ内臓、野菜クズの分解処理を行った。これらの農漁業廃棄物344tは、杉材チップを充填した630m3の発酵槽を使用した高温・好気法により2ヶ月間で分解された。発酵槽内の温度は45℃~70℃、pH値は7.8~8.3の範囲内を保った。廃棄物の投入により発酵槽内の灰分含量は増加したが、槽内の容量は増加しなかった。投入された有機物は86.5%が分解され、廃棄物は97.2%が減量化された。
本研究ではコンポスト資材の有効熱伝導率を測定し、その固相率、体積含水率依存性を検討した。その結果、有効熱伝導率は、体積含水率のみに依存して値が増加することが確認された。固相部の熱伝導率、気相部の熱抵抗、さらに、異相間の熱抵抗などの要因により、有効熱伝導率に村する固相率増加の影響は相殺されてしまい、体積含水率のみに依存していると考えられた。
生物系廃棄物の堆肥化反応に及ぼす酸素供給速度の影響を調べた。その結果、反応速度を高く保つためには3.6g·h-1·kg-vm-1以上の酸素供給速度が必要であることが明らかになった。反応の質は酸素蹟度約4.3%vol.を境界に変化した。酸素供給速度は供給ガス酸素濃度が約4.3%vol.以上であれば、ガス流量と供給ガス酸素濃度を包括した指標として利用可能であることが確認された。
メタン発酵システムによる豆腐おからのエネルギ資源化を目的として、液化豆腐おからの実験的処理を嫌気性接触型リアクタにより行った。実験の結果、pH緩衝プロセスの適用、リアクタ内反応環境(pH、攪拌)の改善、低有機物負荷の設定、液化プロセスにおける有機酸変換効率の向上等が、メタン発酵システムによる豆腐おからのエネルギ変換系成立の条件として明らかになった。
ロックウールを固定床としたメタン発酵槽のアンモニア(NH4+、NH3)の阻害および回復特性を調べた。その結果、発酵糟へのアンモニアの影響はアンモニア添加濃度、添加方式、水理滞留時間(HRT)および発酵槽の有機負荷によるものであることが判明した。
中温メタン菌を低温域に馴化し、栄養塩を包括した担体の表面にメタン菌を付着させてメタン薗の密度と活性を高く維持するメタン発酵槽により、廃水の処理能力を高める実験を行った。高分子を用いて栄養塩を包括し、その表面にメタン菌を付着させることで、メタン菌密度とメタン活性が増加した。栄養塩の濃度は1000倍で、担体の充填率は10%が最も適している。メタン活性は温度5~25℃の範囲で、懸濁培養の4.5~5.8倍となった。
本研究は前川・張らにより嫌気実験管で酢酸を基質とするメタン発酵への微量金属塩濃度の影響を研究した上に、3.7Lの嫌気性培養ジャーファーメンタリアクタを用いて従来の微量金属塩濃度(0.1mL/L)と15mL/Lの高微量金属塩濃度における酢酸分解系馴養メタン菌の半連続培養を行い、メタン生成量およびメタン細菌の増殖を比較し、微量金属塩濃度の最適化によって高効率畜産廃棄物からメタン発酵への効果を求めた。
酢酸馴養メタン菌とプロピオン酸馴養メタン菌を用いて、半連続式実験を行い、酢酸濃度による両種類馴養メタン菌のプロピオン酸消費速度への影響、プロピオン酸と酢酸を同時に存在した場合のメタン菌の挙動を検討し、酢酸とプロピオン酸のメタン生成に相互作用を究明した。
酢酸馴養メタン菌とプロピオン酸馴養メタン菌と言う異なる菌種を用いて、半連続投入式実験を行い、プロピオン酸濃度による両種類馴養メタン菌の酢酸消費速度への影響、プロピオン酸と酢酸を同時に存在した場合のメタン菌の挙動を検討し、それぞれのメタン菌に対する阻害濃度を求めた。
実用規模の精密ろ過膜を用いた水耕培養液除菌装置を試作し、トマトを水耕栽培しながら検討したところ、低コストでメンテナンスフリー、さらに十分に実用的な耐久性と操作性があることが明らかになり、養液をほぼ完全にクローズド化できる見通しも得られた。
単棟フェンロ型温室における風力換気時の気流性状について風洞模型実験により調べた。その結果、最も風上側の天窓では流入が卓越しており、開口部正面中央での気流速は、それ以外の天窓列の開閉条件が異なっても大きな違いはなかった。最も風下側の天窓の開口部正面では流入が卓越していたが、開口部側面では逆に流出している等、複雑な空気の流れも明らかとなった。
温度を一定に制御しながら液体試料の短波長域のスペクトルを透過法により測定する方法を確立した。牛乳成分分析に応用した結果、良好な結果が得られた。また、スペクトル測定の作業性を向上させるため、それぞれ別の試験管を用いる方法をも考案した。
かんきつ貯蔵庫の壁材として吸湿保持機能がある人工ゼオライト混入材容器を製作してイヨカンの貯蔵実験を行った。ボード(ゼオライト混入)はPoly板とほぼ同じ温度変化で、保温・断熱効果があると考えられた。ボードは平均97.5%の高湿度で安定していたが、Poly板は99%以上の過湿状態が続き、果実面に水滴が観られた。試作ボードは水分の吸着保持に効果があると共に、保温機能も有すると思われ、貯蔵庫壁材への利用が考えられる。
本研究では、畜舎建築物における屋根上積雪状況の観測調査を行った。その結果、屋根勾配を有する畜舎においては、滑落雪現象が発生するために屋根上積雪深が地上積雪深より小さな値となる。しかし、屋根勾配が緩やかな場合や暖房を行わない畜舎においては、滑落の発生に要する期間に数十日を要する事例が観測された。
- P-72
畜舎建築における屋根上積雪荷重評価に関する研究(2)-屋根雪の滑雪時における小屋裏温度状況-
- 高倉政寛(北海道工大)・小林敏道(日江金属)・千葉隆弘・苫米地司(北海道工大)・干場信司(酪農大)
本研究では、畜舎建築物で発生する滑落雪現象と温度との関係について検討した。その結果、滑落雪現象は、屋根葺材の裏面温度が0℃以上、もしくは外気温が0℃以上となった場合に発生することが明らかとなった。このことから、滑落雪現象の発生する畜舎建築物では、温度を指標として積雪荷重の評価が可能であると考える。
- P-73
畜舎建築における屋根上積雪荷重評価に関する研究(3)-外気温の推移状況からみた積雪荷重評価-
- 千葉隆弘(北海道工大)・小林敏道(日江金属)・高倉政寛・苫米地司(北海道工大)・干場信司(酪農大)
本報では、滑落雪現象を考慮した積雪荷重の評価方法を確立するために、外気温を指標として滑落雪現象の発生に要する期間、およびこの期間内の積雪荷重を算出した。その結果、算出した滑落雪現象の発生に要する期間はいずれの地点で7日を上回るものの、各観測地点で算出した滑落雪現象の発生に要する期間を考慮した積雪荷重を用いることで、滑落雪現象を考慮した積雪荷重の評価が可能であると考える。