発表要旨(1995年度大会)
本研究はニオイセンサの測定値と人間の官能試験の関係を調べた。結果として、この試験は危険率1%以上で有意な正の直線関係が得られた。しかし、1日に2回測定を行った場合、人間の嗅覚では2回目の反応が鈍くなる傾向が求められた。人間の嗅覚を基準とした臭気強度の測定には嗅覚の順応を考慮する必要があると思われる。
本研究では豚舎周辺における臭気の分布を人間の官能試験およびニオイセンサで調べた。人間の官能試験では臭気強度は豚舎からの距離が離れるに従い、べき乗の関係で減少することが示された。臭気強度の分布および人間の官能試験と距離の関係から、豚舎から約30m離れることにより臭気の強度は表示法の1以下になることが示された。
- E-3
鶏ふん発酵施設における除湿・除臭換気法の開発(1)-施設の概要と問題点の抽出-
- 干場信司(酪農大)・佐藤義和・小綿寿志・福本昌人・吉田孝司(北農試)・松田從三(北海道大)・岩松斉(北海スターチック)
冬季間の冷たい外気を利用して、鶏ふん堆肥化処理施設内で強制的に結露させ除湿するとともに、結露するときに臭気成分も結露水にとけ込むことを利用して、除臭をも行う換気法を開発することを目的とする。また、結露にともなって発生する潜熱の利用を試みる。
人工ゼオライト(アルカリ処理石炭灰)を濾過材にした脱臭装置で、アンモニア、トリメチルアミン、メルカプトエタノール、ブドウ状球菌培養液の臭気を脱臭試験した。ニオイ減少勾配は各試薬、同じ傾向(平均40~60Hz/h)を示した。本装置では風量約30m3/h、ゼオライト量0.40~0.45kg/100m2の時、脱臭率70~90%/hを得た。ゼオライトは乾燥すれば再生利用できる。
ミルキングパーラを導入している酪農家及びパイプラインミルカを導入している酪農家を対象に、搾乳時の作業分担状況、搾乳作業順序、乳頭清拭の方法、乳房の汚れ等の聞き取り調査を行い、ミルキングパーラシステムでは乳頭マッサージ、後搾り等が省略される一方で、乳房・乳頭の洗浄、プレディッピングの実施割合が高く、不適切な前搾りが実施されていることなどを明らかにした。
農業建築物に関する独自の基準を持つアメリカ、イギリスの2ヶ国と日本について、同一規模の畜舎の構造設計を行い、荷重基準の相違が荷重値、部材断面、部材数量でどれほどの比率となるかについて比較、検討し、建築物の重要度や用途に応じて荷重条件を緩和する意義について述べている。
昨年度報告した堆肥舎壁面構造に関する堆肥の物性試験、ならびに押圧実験の実験結果をもとに、長期荷重または短期荷重として擁壁や隔壁それぞれに作用する設計荷重を提案し、この荷重にもとづいて堆肥舎壁面構造を一般的な壁底部を固定支持と見なした片持壁として計算した場合の配筋方法、および計算方法の相違による安全率の見込み等の設計事例について報告している。
飼料成分や栄養成分の制約を有する配合飼料の設計問題に対しGAを適用した。配合設計条件を実用飼料のレベルまで拡張する一方、最適解を決定する配合コストの目的関数にLPでは解くことのできない非線形項を導入しGAによる設計を行った。シミュレーションの結果、GAによる実用配合設計の十分な可能性、ならびに非線形な制約条件に対するGAの柔軟性が検証された。
光切断法を動体に用いる方法を考案して、牛の起立横臥動作の3次元計測を試みた。カメラのシャッタの高速化により、動作の全過程で輝線が流れない画像を得ることができた。実験では、画像を分割し、閾値を変化させて2値化する必要があったが、黒毛部の少ない牛を用いれば、2値化処理は容易と考えられた。考案した方法は、動体の3次元計測に広く応用可能であると考えられる。
フリーストール牛舎内の水分制御を行うに当たって、ふん尿が貯留する通路床面の水分移動を定量化するため、対流物質伝達係数(水分伝達係数)を風洞実験により求めた。水分伝達係数は気流の関数として回帰された。また、無次元数を用いて自然対流と強制対流の共存対流物質伝達についても検討した。
メタン菌特有の自己蛍光性補酵素F420に着目し、励起光波長である420nmの光線を菌体の照射することによって得られる蛍光を、画像処理を用いて計測した。H2/CO2資化性メタン菌を回分培養したところ、メタン生成速度と、画面当たりの蛍光画素数の割合である蛍光画素濃度は相関を示したことから、蛍光画素濃度はメタン発酵槽の指標となり得る可能性は十分あるものと思われる。
藍藻Spirulinaを用いたリアクタによるCO2固定を物質移動係数KLaにより計測し、細胞の比表面積aの決定および粒径分布測定を行った。得られた値aを用いCO2移動係数kLを決定した。細胞の比表面積aは約5.0(m2/g-d.m.)であり、細胞を触媒とみなしたときのCO2移動係数kLは0.8~1.0(×10-4m/d)程度であった。
筆者らは試料をごく薄くスライス(0.1~5μm)するマイクロスライサを顕微鏡と組み合わせて、そのスライス断面を観察し、コンピュータ上の試料の3次元像を構築する3次元内部構造顕微鏡を開発し、種々の実験を行ってきた。今回、取り込んだ画像データより試料の体積や表面積を測定したので報告する。
でんぷん残渣の有効利用の一手段として、酵素糖化が挙げられる。本研究では、比較的解析が容易であると予想される生デンプンに対象を絞り研究を行った。その結果、膨潤及び湖化による平均デンプン粒子経の増大により、デンプン単位重量当たりの酵素吸着量増大し、酵素糖化率が大きく増大した。また、デンプン懸濁液液相への可溶性糖高分子の溶出が認められた。
本研究では家畜固有の腸内細菌に着目し、総菌数や糞便性大腸菌数の定量並びに糞便性連鎖球菌については菌類の同定を行った。糞便性連鎖球菌の菌類は合計8種が検出、同定された。これらの細菌のうち、調査河川の25地点中ウシに固有とされるS. uberisは18地点で検出されたので、家畜の中でもウシ糞便による汚染の指標細菌としてより適当であると考えられた。
前報までの均一乾燥のための制御法は、等時間間隔・定量張り込みの場合であったが、実際の施設では、農家の収穫状況により、非定量張り込みになることが多い。本報では、より実用性を高めるため、非定量張り込みの場合に、風量制御を加味し、その制御性をシミュレーションによって検証した。
角形ビンを使った貯蔵乾燥施設において、乾燥効率を高め、かつ高品質乾燥を実現するために、新しい乾燥操作法を提案し、その有効性をシミュレーションによって、含水率及び呼吸量により評価した。その結果、従来法と比較して水分の乾減率及び呼吸量の観点から、新しい操作法の方が良好な結果が得られた。
東大農場で同一条件で同一品種の水稲を毎年継続的に栽培した籾を冷蔵庫に直ちに収納貯蔵したものを試料とし、コメの貯蔵品質の経年変化を実証的に検討した。収穫年度ごとに外観・水分・発芽率・胚の活性度・脂肪酸度・アミロース・タンパク質・食味値を求めた。発芽率や胚の活性度・食味値は貯蔵年数とともに低下する。またミクロフローラの顕著な変遷傾向が見られる。
玄米の発根を抑制した発芽を発生させた発芽玄米を製造するため外部物理的環境による発芽特性について検討した。発芽における発芽機構、発根機構それぞれに影響すると考えられる温度、ガス環境、水環境などの外部環境因子について検討した結果、30℃前後の温度、完全浸漬、浸漬水の流動化についての制御条件が決定された。
表面含水率と物質伝達係数を導入した球乾燥モデルを構築し、穀物薄層乾燥への適応性が高いことを明らかにした。乾燥の相似則は、乾燥特性が風速の影響がない薄層の存在が成立要件であることから、風速と物質伝達係数の関係から、風速0.15m/s以上で乾燥の相似則の成立することがわかった。
農産物の乾燥に遠赤外線を利用する目的で、遠赤外線ヒータを用いた乾燥装置を試作し、2~3の農作物を乾燥して、汎用化、有効性及び乾燥能率等を検討した。サツマイモの乾燥では乾燥能率が高く、品質も市販品と同程度に乾燥できた。もみは乾燥能率を高くすることができたが、品質等の関係で今後検討しなければならない。焼き海苔の実験ではある条件で色、味ともに優れたものができることがわかった。
正月料理の食材として需要の高い丹波黒大豆の収穫後の乾燥について、裂皮や皺を生じることのなく同時に乾燥時間の短縮、熱効率の改善をはかるために、莢での間欠乾燥を提唱し、莢入り大豆、莢および大豆粒子の乾燥特性の解析を行った。その結果、2槽モデルによる乾燥過程の予測が可能であることを明らかにした。
米全体の普遍的な特徴である米飯のテクスチャによる品質評価法を構築する狙いのもと、本報では米飯の水分含量を変化させた試料を用いてその力学的特性に及ぼす試料温度の影響を調べた。その結果、温度が及ぼす米飯の見かけの弾性率の影響は水分含量の低下とともに増すこと、また米飯の粘着力は水分増加と試料温度低下によって増加したことから、米飯の表面の澱粉の水和度によって形成されるものと考えられた。
酪農生産しての中から購入飼料型と自給飼料型の2つを対象とし、それぞれについて単位生産量(産出エネルギー)当たりの使用(投入)化石エネルギーの比(総投入産出比と呼ぶ)を求め、比較を行った。その結果、総投入産出比は購入飼料型で3.7、自給飼料型で1.9であった。また、濃厚飼料の生産・輸送に要するエネルギーの割合は50%前後と極めて高かった。
水素発酵により生成した水素と二酸化炭素を一般家庭で利用可能なメタンに変換した。希釈率0.066h-1、NH4+濃度1.03g/Lの条件で連続的水素発酵により生成された。しかし水素発酵により生成した過剰な二酸化炭素によりメタン発酵槽のpHが低下し、メタン菌の増殖および水素のメタン変換率を阻害させた。
Clostidium acetobutylicumでホエーパーミエートを原料とした発酵を生産物阻害について動力学研究を行った。三角フラスコでの回分培養の結果、阻害定数αとβはそれぞれ1.27、2.91と決定し、PmとP'mはそれぞれ9.58(g/L)、8.67(g/L)と決定した。ブタノールは4.53(g/L)生産されトータルソルベント量は8.01(g/L)であった。
2相式簡易メタン発光装置を用いた中温メタン菌によるスタートアップは、メタン発酵槽内温度が11.5~15.0℃、外気温8.0℃においてもメタン発酵が可能であることが明らかとなった。地下3mまでの年間温度測定の結果地下1m以下において温度変化が少ないことから地下埋設型も可能である。
アイスポンド容量1200m3、バレイショ収容量約200tの標記システムについて、製氷COP(氷の潜熱蓄熱量/消費電力)、冷房COP(FCUの交換熱量/消費電力)、氷潜熱の有効利用率(FCUの交換熱量の累計/氷の潜熱蓄熱量)、1サイクル期間COP(FCUの交換熱量の総計/期間総消費電力)等を測定し、本システムが現行の電気冷房機と比べ省エネであることを示した。
硫酸源の存在系における硫酸還元菌とメタン生成菌の相互関係と両者の役割について調べた。硫酸塩は系内に共生している硫酸還元菌によって還元され、生成した硫化物はメタン菌のS源となる。硫酸還元菌が阻害されている場合、メタン菌増殖およびメタン生成は減少する。硫酸還元菌は硫酸塩を硫黄源とするCO2とH2資化性馴養メタン菌培養に必要不可欠な要素であると明確された。
本研究は、担体により発酵槽内のメタン菌を固定し、メタン発酵の効率化を図ることを目的に小型実験用発酵槽を用い担体材料の検討を行った。担体としてポリウレタンとポリエステルの2種類を用いた。有機物負荷10.09g/l·day以上でメタンガス生成量に差が見られ、発酵槽有効容積に占める担体の割合が高いほど、メタンガス生成量が増加した。これは担体によるメタン菌の固定の効果によりメタン発酵が良好に進行したものと考える。
北海道東部の湖から採取した汚泥から低温性メタン菌群の分離・培養を試みた。硫酸還元菌の優占的棲息と思われる理由により、低温性メタン菌群を種汚泥として培養できなかった。中温性メタン菌群の粒状汚泥は発酵温度30℃でウォッシュアウトを引き起こしたのに対して、懸濁汚泥は30℃と25℃に対して馴化され、発酵槽の見かけの処理能力は大きく低下しなかった。しかし20℃に馴化されずに、発酵は停止した。
泥の臭気の干渉を制限された培養アオコ含水を供試した官能試験にてアオコの臭気源の特定を試みた。官能試験に妥当であると判断したパネリストを用い、基本臭気試薬と培養アオコの臭気を対比させた結果、培養アオコ含水の臭気は「草っぽい」、「キャベツの腐った臭い」、「泥っぽい」の性格の異なった臭気を持つイソプロピルメルカプタン、メチルメルカプタン、ジメチルジサルファイドの臭気試薬のいずれかに属していると判断した。
「筑紫湖」(霞ヶ浦調整池)から採集したアオコ含有水1Lにジュースミキサーで処理した後、オゾンおよび紫外線を与え、アオコの活性阻止を試みた。ジュースミキサーによる1分間前処理後のオゾン(5%/空気体積)処理ではアオコの活性阻止に対し有効な効果を示さなかったが、紫外線処理では有意な阻止効果をもたらした。
ウォーターカーテンハウスの散水ノズルをフォグノズルとすることで、散水量の著しい節減がえられるが、保温性がなお不十分であった。そこで屋根面の散水ノズルの数を増やして散水量を増加させ、保温性の向上を計った。保温性を損なわない範囲の散水量削減は従来型の30%程度であった。
安価な夜冷育苗処理施設として、地下水を低温水源とした顕熱利用型の散水冷房方式を考案した。利用散水量を最小限に抑制する運転方法の構築を目指して、散水量の最適な制御方法を検討した結果、外気温に対して最適な散水量を推定して散水形態の制御を行うことにより散水量を削減できることを示した。
- G-3
Transplant Production System for Forest Nursery
- T. Katardjiev, K. Watanabe, S. Tojo(Tokyo Noko Univ.), F. Ai(Tokyo Univ.), M. Uchigasaki(Nippon Univ.), B. Huang(North Carolina State Univ.)
The study investigated seed germination and growth of eucalypt and pine plants in commercially available trays designed for vegetable nursery. Seedling growth was also studied after plants were transferred to bigger pots. It was found that root air-pruning improved plant growth.
空気膜構造温室(エアハウス)において、夏期及び冬期の内外の日射、気温、湿度等の測定を行い、環境特性を把握した。換気回数が4~5回/hと少なかったことから、夏期における昇温は30℃近くになっていたが、冬期の昇温は15℃程度であった。晴天時日中の熱収支試算によると、ハウス内の日射吸収熱量は夏が冬の約2倍であるが、放熱の割合は夏冬ともに同様で換気伝熱45%、貫流熱量35%、地中伝熱20%程度の割合であった。
本実験では、多孔質セラミックを使用した新栽培システムを開発し、ブロッコリーとホウレンソウの栽培実験を行い良好な生育結果を得た。特に物理的にはセラミックパイプに接する根圏域土層の土壌粒子が小さいほど効果的であることがわかった。さらに、94年度夏期栽培では、40度を越す猛暑の中、水耕区は水温上昇により作物が枯死したが、セラミック栽培区では、順調に花芽を分化し、気候変動にも耐久性があることも判明した。
火力発電所から排出される石炭灰を焼成したアッシュボールを新しい養液栽培用固形培地として応用した。アッシュボール栽培ベッド内の水分率分布の均一化のために、シルバーマルチの有無、ジフィーポットの有無及び給水量を条件にベッド内培地層の水分率変化について調査した。ベッド内の水分率の均一化の維持にはシルバーマルチおよびジフィーポットの使用が有効であった。
イチゴ(品種‘とよのか’)を供試材料として、輸送条件および貯蔵条件(温度、湿度及び振動)が品質にどのような影響を与えるのかを検討した。呼吸速度は品温が高くなるほど上昇し、振動が加わればさらに上昇した。これに伴い、糖度、ビタミンC含量の低下も著しくなった。しかし、0℃に近い低温では呼吸量の抑制効果が大きく、振動による呼吸上昇もよく抑制され、果実硬度、糖度、ビタミンC含量等の品質保持効果が大であった。
イチゴの収穫後の高品質保持技術の開発を目指し、環境ガスを制御するいわゆるCA条件下でのイチゴの品質変化を検討した。イチゴはCA条件下で呼吸速度が大きく減少し、酸素濃度、二酸化炭素濃度両方の影響を受けた。またCA条件下で果肉硬度が高く保持きれ、腐敗、損傷も抑制された。内部的にはアスコルビン酸の保持効果が認められた。
混合ガス発生装置で作成したガスを、青果物チャンバヘ導入し、チャンバから排出されるガスを自動ガスクロマトグラフで測定するガス代謝測定装置を開発した。測定用6チャンネル、通気ガス、標準ガス各1チャンネル、合計最大8系統を自動切替えし、連続分析を行う。装置の基本性能およびブロッコリー、スイートコーン、エダマメの酸素吸収速度、二酸化炭素排出速度を測定した。
前報に続いて、宮内イヨカンの長期貯蔵(1/上~4/中)を目的とした現地実験を行った。貯蔵庫の温度8~10℃、湿度80~95%は小型冷房機の導入と、ビニールシート保水マットの利用で維持し、果実減量が抑制できた。果皮色のa/b値は出荷可能な状態を示し、糖酸比(甘味比)は高くなった。冷房貯蔵区は、対照区(常温)に比べ品質の劣化が少なく、果実の新鮮度が保持できた。
温州ミカンの糖度・浮皮・果肉歩合など内部品質と非破壊測定可能な果実密度との関係を求めた。その結果、収穫時の果実密度が高い方が糖度が高く、浮皮空間率が小さくて果肉歩合が高いことが統計的に明かとなった。果実密度は浮皮・糖度・果肉歩合など温州ミカンの総合品質を表す指標として適切である。非破壊密度選果の意義が温州ミカンについて見い出され適用が期待できる。
メロンでは糖度と日持ちが極めて重要な内部品質であり、外観品質に加え、糖度と日持ちを考慮した選果が理想的である。メロンの果実密度と糖度・日持ちの関係を追究した結果、密度と糖度には高い相関があり、垂回帰分析により糖度が推定できた。低密度果は日持ちが良いのに対し、高密度果は発酵し易いことが明かとなり、日持ちの良否を相対評価する指標として密度が適切である。
本研究の目的は、イチゴの貯蔵・輸送条件の履歴を近赤外分光法により非破壊的に判別することである。OG、2G及び0.5G加振区を用いたイチゴ果汁の貯蔵温度の判別において、原及び2次微分スペクトルの全体の適中率は、それぞれ73.3%、56.5%であった。また、OG及び0.2G加振区との加振強度の判別において、原及び2次微分スペクトルの全体の判別率は、それぞれ67.4%、58.7%であった。
本研究においては、生育肥大中及び成熟ナシ果実の構成糖(蔗糖、ブドウ糖、ソルビトール)を近赤外分光法により測定し、ナシ果実の生育診断について検討した。生育段階の異なる果実の各構成糖を測定した結果、生育段階の速いによる構成糖含量の変化と、栽培年度の違いによる構成糖含量変化の違いが確認され、近赤外分光法により果実の生育診断が可能であることが示された。
モモ、リンゴ、スイカを用いて非破壊内部品質評価装置の性能の測定手法を検討した。いずれも、2社を比較したが非破壊と破壊検査で高い相関が認められた。精度を高めるには検量線の作成が重要であることも判明した。無作為抽出で供試果数を減らすと相関はやや低くなったが、低糖度、中糖度、高糖度に分けて抽出すると相関が高くなった。これをもとに、短時間で精度の高い検量線を得る方法を提言した。
栃木県下において、昨年度から試行されているイチゴの簡素化規格出荷形態と現行規格出荷形態を調査対象とし、イチゴの収穫調製作業の作業精度を作業別拘束時間、出荷量の観点から比較検討した。1日の摘取調製作業に係わる拘束時間は簡素化規格出荷農家の方が短縮され、単位時間1人当たりの摘取調製作業量も効率的な結果となり、調製作業負担が精神的にも軽減され、時間的余裕が出ていることが明らかになった。
静岡県の予冷施設14件を対象に施設の空間計画に関係する項目について調査した。施設の建設位置は幹線道路へのアクセスには有利な位置に建設された例が多かった。予冷方式は差圧式と真空式がほば半数ずつであった。施設内の事務員数は真空予冷の場合の方が多かった。また、出荷用のプラットホームを設置している例は少なかった。
複数等級を同一ラインで直列的に扱うトラッキング方式につき、ライン速度と作業員の能率、組作業を行う人数1人の作業員が担当する範囲などが選別機の操業度に及ぼす影響を検討した。本方式では工程を合理的に計画すれば、並列的に等級別ラインを設置する従来法に比ベ、等級比率や作業員1名が受け持つトレイの範囲の如何にかかわらず選別機をフル操業の状態に近く保つことが来るが、正しい利用法が大切なことが指摘される。