発表要旨(1994年度大会)
本研究は豚合の臭気強度の実測を行ったものである。冬期の臭気強度は清掃直後に最低となったが、夏期ではその傾向はなかった。臭気強度の最高地点の約70%は糞尿溝と通路の位置であった。また、重回帰分析から、豚舎内で臭気強度に最も影響を及ぼしている環境要因は絶対湿度で、豚舎外では気温であった。
本研究は豚舎における臭気成分とその濃度の実測を行ったものである。検出された成分はアンモニアとトリノナルアミンのみであった。臭気成分も臭気強度と同様に、清掃直後に最低値を示した。これは、第1報のアンケートの結果と同じである。24時間の重回帰分析で両成分に最も影響を及ぼしている環境要因は粉塵濃度であった。
和紙と黒色インクで採取した和牛鼻紋に大きさ13cm四方の基準枠を設定しCCDカメラにより鼻紋画像を撮影し、コンピュータで鼻溝を細線化した。この細線化鼻溝画像を基に日本短角種の成牛および育成牛合計10頭の個体識別を試みた。鼻溝画像の図心、分岐数、方向では2~3個体が識別できなかったが、総延長、あるいは図心・分岐数・方向を組合わせた方法では10個体すべて識別できた。
飼料成分や栄養成分の制約を有する配合飼料の設計問題こ対しGAを適用した。配合率を遺伝子コーディングした染色体をエリート戦略、一点交叉および突然変異といったオペレーションにより世代交代させるとともに、配合コストや配合率の制約条件により評価を行った。シミュレーションの結果、2万世代以降に全個体が最適点に進化し、GAによる配合設計の可能性を認めた。
系の持続性をエントロピーを用いて表すことを試みた。ある期間に系に蓄積されるエントロピーが系の寿命までに蓄積されるそれよも小さいことが、持続の条件となる。狭義に定常状態であれば系は維持される。鶏含の換気による舎内温度制御を例として、線形領域において、エントロピー生成速度の時間微分が負値である場合、系は定常状態に向かっていることが示された。
物質・エネルギー収支を主体として酪農生産システムの類型化を行い、それぞれについてモデル表示するとともに、単位生産量当たりの使用化石エネルギーを記号で表し、概念的に比較した。その結果自給飼料・放牧型、購入飼料・たれ流し型(海外飼料依存型を含める)および地域複合型等の経営類型における、環境負荷や化石エネルギー使用量過多等の問題点が明確化した。
フリーストール・ミルキングパーラ施設を導入している酪農家を対象に、畜産技術協会が実施した搾乳作業の実施状況などの聞き取り調査をもとに搾乳作業能率などを調査した。各種パーラの搾乳頭数と搾乳ユニット数との関係、各種パーラの搾乳作業能率、1ユニット当たりに搾乳作業能率、一人当たりの搾乳作業能率などについて搾乳ユニット数、一人当たりの搾乳ユニット数との関係を明らかにした。
1993年1月15日に発生した「平成5年釧路沖地震」は酪農関係にも大きな被害をもたらした。酪農管理作業に及ばす地震の直接・間接の被害実態を明らかにし、今後の防災対策のあり方を探る目的で調査研究を行った。この結果、建物、および設備・機械・器具の直接的損壊と、ライフライン障害(停電、断水)の相乗作用により、日常の管理作業に多大な影響を与えたことが明かとなった。
欧米諸国における畜舎等農業建築物に対する建築規制の実態についてアンケート調査を行い、6ヶ国から回答を得た。ほとんどの国で農業建築物に対する規制を緩和しているが、その理由として各国とも共通に、「農業建築物では滞在密度・時間が小さいので人間の健康と安全性における危険性が少ない」ことを指摘していた。我国においても、同様の規制緩和が望まれる。
堆肥舎の壁の設計資料を得るため、堆肥の物性と実際の堆肥舎での切り返し作業時に壁面に作用する圧力を測定した。堆肥は全般に軽量で僅かな粘着力があり、堆積によって璧面に作用する圧力は、通常の無機質土に比べ極めて小さなものと推定された。また切り返し作業時には、作業機の最大けん引力をバケットの前面面積で除した値にほば等しい圧力が最大値として計測された。
つなぎ飼い牛舎の4係留方法について、拘束条件の違いが乳牛の起立横臥動作におよほす影響を調査した。カムフォート係留は動作時に首を曲げる傾向があり、ません棒・上下2点支持タイ・スタンチョンよりき甲部が前方に移動した。係留具支持枠への動作時加力はスタンチョン係留が最も大きく200kgfを越える場合があった。
- A-12
エキスパンドメタルとジオテキスタイルによるパドックの泥ねい化防止
- 佐藤義和・干場信司・小綿寿志・福本昌人・落合一彦・池田哲也(北農試)・三田村強(東北農試)・原令幸・高橋圭二・稲野一郎(根釧農試)・中辻浩喜(北海道大)
エキスバンドメタルとジオテキスタイルの組み合わせによるパドックの長期的な泥ねい化防止効果を実証的に検討した。エキスパンドメタルは腐食防止のため溶融亜鉛メッキされたものを用いるべきであることと、ジオテキスタイルの耐用年数は数年であることを明らかにした。
豚舎廃水中のNH4-Nをストラバイト(MgNH4PO4·H2O)の結晶化による除去する方法と晶析後廃水を間欠曝気による硝化・脱窒実験を実施した。結果は反応温度、時間、NH4:PO4:Mgモル比及び反応温度とpHの交互作用がNH4-Nの除去率に大きな影響を与えた。間欠曝気法で結晶化処理液を24h回分処理した場合、NH4-N除去率は99%に達した。
乳牛糞尿スラリーのレオロジー特性値、すなわち、せん断速度とせん断応力の関係を決定するパラメターについて遠心分離法によりスラッジ体積を用いる方法について検討した。固形分濃度とスラッジ体積には高い相関が認められた。また、スラッジ体積と粘性係数、粘性指数についても高い相関が認められ、各せん断速度の見かけ粘度はスラッジ体積を求めれば高い確率で予測できることがわかった。
アオコ含有水1Lにオゾンと紫外線を与え、アオコの生物活性の阻止を試みた。5%オゾン発生装置ではアオコのクロロフィルa濃度で59μgL-1以下、44μwcm-2の紫外線では134μgL-1以下までは3分処理でアオコの生物活性を完全に阻止した。クロロフィルa濃度で423μgL-1以上のアオコ濃度の場合には15分以上の紫外線照射でもアオコ個体は消滅しなかった。
アオコを含む水に直流電流を通じ、電気凝析と水の電解により発生する微細気泡でフロックを浮上分離させ、水の清澄化を図ることを目的とする。アオコ濃度が大であると清澄効果が高いが、濃度が薄いとき電荷がある限度を越すと電解により生じたAl(OH)3の影響を受け原水よリ回収水のSSが大きくなることが知られた。太陽電池を電源とした装置の試作により実用化を進めている。
米の品質指標としての可能性を検討するため、含有率の栽培地による変動、形態的品質との関係、貯蔵中の変化などを調べた。①スクロースは米粒内で外層部ほど多い層状の分布形態を示した。②含有量は栽培条件によって変動し、形態的品質である整粒割合と正の相関を示した。③高水分籾の4℃、3ヶ月の貯蔵において含有量は顕著に減少した。これらの結果より、スクロース含有量が米の品質指標になり得る可能性が示唆された。
玄米をより食べやすくするために玄米を発芽させた発芽玄米の食品化を検討した。玄米成分の保持、外観性及び食味の維持を図るために発芽条件及び環境制御法を決定する基礎実験を行った。発芽玄米の成分は、通常の玄米成分と比較し、栄養学的価値は低下していなかった。実用規模発芽玄米製造装置を試作し、大量の発芽玄米を製造する条件を確認した。
米全体に通用可能な品質評価法の糸口の構築を目的として、米飯のテクスチャ測定法を確立するためにインディカ、ジャポニカを供試し、現在、米のねばり指標として認識きれている米飯付着力と米粉糊の機械的粘度は、炊飯液の糖質画分の質的性状との関係に基づいて検討した。その結果、米粉糊の機械的粘度は、米飯の付着力と同一指標と見なせないことが分かった。
水分13%の玄米ニホンマサリをポリ袋に密封、ダンボールに入れ5~7℃、70~80%RHで16年貯蔵したものを供試、Nutrient AgarとCzapek Agar平板培地で35℃、72h培養した。総菌数は1粒当たり104のオーダーで収穫直後の106に比し減少、新米では総菌数の90%を占めたChromogenic Ps.とFluorecent Ps.が併せて30%程度と減少したのに反し、Red Pseudomonasが約50%を占めた。
共乾施設の運営においては、多大な初期投資を要することと年間短い操業期間であることにより運営が厳しい状況にある。このため本研究では、共乾施設の導入時と稼働時の運営状況を分析するための支援システムを開発した。この支援システムは、損益分岐点の経営評価法を用いて、求められた年間荷受量と経営経費の収支関係から、共乾施設の経営状況について評価を行うものである。
前報では乾燥施設における荷受け部の稼働特性に影響を与える因子を荷受け要素として分析を行った。本研究では、計量機の稼働効率が向上が可能であるマルチタンク方式の荷受け工程をとらえ、その合理性を検討した。また、最適な荷受け方式は能率とコストの両面から総合的に考察する必要があるため、自由に各荷受け要素を設定して稼働特性をとらえることができるシミュレーションプログラムを開発した。
CEでのサイロによる長期貯蔵は、穀温の上昇を招き、品質の維持が困難となる。本研究では、穀物サイロにおける穀温変化の実態を知り、穀物に対する熱負荷の抑制方法を検討するために鋼板モデルサイロを製作し、経時的に穀温を計測した。サイロ表面を種々の材料で被覆した時の穀物の積算温度を計算で求め、脂肪酸度増加の推定により品質の変化過程を検討した。
東北のような冷涼な地域における除湿転燥の適合性について検証を試みた。除湿機効率の評価指標として定義した動作係数は、除湿量が多いと高い値を示した。また、空気の平衡含水率の降下量により乾燥能力を評価した。そのほか、部分風量比、粒間水分分布、乾燥むら等が品質に及ほす影響を検討し、施設運営にあたっての提言を行った。
吸引式貯蔵乾燥の室内実験と実機実験から次の結果が得られた。①制御式の修正により含水率の均一性が増した。②吸湿してしまった層の乾燥が困難である。③吸湿した層の品質が低下した。本報では、②、③の問題解決のためと制御法の確立のため、シミュレーションによって検討を加えた。
農産物の乾燥に遠赤外線を利用することを目的として、遠赤外線ヒータを持った乾燥装置を試作した。本装置の乾燥室の天井は放物線状で、その焦点に遠赤外線パイプヒータを設置し、ヒータと試料台との距離は変化させることができるようにした。実験結果から遠赤外線により農産物を乾燥する場合には、農産物表面近くの雰囲気温度より内部の温度が高くなることが認められた。
快適な作業環境を実現するためにブドウ棚がT~Y字形に可動する棚を開発し、従来の平棚との比較実験を行った。誘引・整房・摘粒・袋かけ・収穫・薬剤散布・せん定作業で、可動棚は総体的に高能率で、心柏数、酸素消費量も小さかった。各作業が立位、対面位の自然体で楽に行えたことが好結果を得たと考えられる。
農業施設内の作業省力化などの観点から、空気膜構造の利用可能性を検討するため、その特徴を整理した。また、エアバッグ式ビニルハウスの試作を行い、日射量、温度について通常型ビニルハウスとの比較を行った。この結果、試作ハウスの日射透過率は通常型ハウスより8%程度少なかった。夜間の温度低下は試作ハウスの方が少なく、外気温より下がることはなかった。
園芸用ガラス室が地震や風によって変形した場合を想定した屋根面の面内変形実験、壁面の面外変形実験及び、積雪や風の等分布荷重を想定した等分布荷重実験の3種について、合計10体の実験を行った。実験結果は、園芸用施設安全構造基準の耐力及び地震応答解析結果の変形角を満足する値であり、現状のクリップ部材、施工方法で支障の無いことを確認した。
容量1200m3のアイスポンドにおいて、貯水中の氷の融解の経過と熱収支を測定した。氷は6月末までに初期体積の2分の1に減少し、8月末に全て消失した。総熱負荷の内、氷の上表面の侵入熱量が49%と最大であり、次いでファンコイルユニットの交換熱量が43%であった。氷の融解潜熱量の24~39%が6月末までのバレイショ貯蔵庫冷房に利用され、以降は貯蔵庫を野菜の予冷に使用することで、最終的に41~47%が冷房に有効利用された。
対流熱伝達率と風向・風速の関係を、ビニールハウス構造体を対象に風洞模型実験をとおして検討した。その結果、対流熱伝達率を風速のみの関数として扱うのでは不十分であり、風速と風向の両者の関数として表すことが必要であることがわかった。
ハウス内の土壌水分変動を予測し、潅水の最適制御方法を検討した。セラミックス土壌水分センサの実用性の検証を行った後、土壌中に設置した。パソコン、電破弁、灌水装置により、1ヶ月間のフイードフォワード制御を行った紡架、珊水川電磁弁のON-OFFのタイミングを適切に制御することで、目標pF値2.0に対してpF1.9~2.1の範囲に抑えることができた。
市販家庭用小型ボイラーの蒸発面と燃焼面の両面に電場を付与した。蒸発面に付与した場合は熱効率で3.5%の増加で、燃焼面に付与した場合蒸発圧力一定下で燃焼が盛んになり、燃料消費量が少なくなった。結果熱効率は13.5%の上昇となった。全体で熱効率上昇は17.0%の増加であり使用ボイラーの通常運転時の熱効率は57.8%であり、AC15KV付与時運転の熱効率は67.6%となった。
等級選別の工程計画のため、複数等級を同一ラインで扱うトラッキング方式につき、ライン速度と作業員の能率、組作業を行う人数、1人の作業員が担当する範囲などが選別機の操業度に及ばす影響を検討した。本方式では、工程を合理的に計画すれば、選別時間が定時間サービスに近い場合、等級比率や作業員1名が受け持つトレイの範囲の如何ににかかわらず選別機をフル操業の状態に近く保つことが出来ることが検証された。
試作RGB値計測用2号装置によりリンゴの各4部位の値を計り、値から派生した各項目を作りこれらの値と各4部位の着色度、糖度や酸度などの内部品質について調べた。結果(1.)着色は果頂部で一番大なる相関関係を示し(2.)内部品質の糖度の場合は果頂部のa値などに相関関係が大になり酸度と各4部位との相関関係は無かった。
- C-4
選果施設のための新しい密度選果法(3)-電子密度選果機の性能とスイカの糖度選別-
- 加藤宏郎(京都大)・佐竹隆顕(筑波大)・岩澤秀朗・和田聡一・加藤宏冶(全農)・古賀治夫(ヤンマー農機)・北岸致・グエン ハオ(近江度量衡)
石川県志賀農協スイカ共同選果施設の稼働合同調査を行い電子密度選架ラインの試験で、空洞果・正常果とも判定正解率100%の極めて良好な判定結果を得た。スイカ75個の糖度について重回帰分析するとともに、低糖度果の除去試験を行い、糖度選別が可能なことを実証した。
果皮色によるリンゴ損傷果の判定では、光線を当てた際に発生する影と損傷果との区別がつきにくい。影が出来ないように光源を設置し、ニューラルネットワークで果皮色を判定した。入力層に[明度-彩度-色相]を用いることによって特秀、秀、優、格外(着色不良)、格外(腐敗損傷)での等級選別率は約89%となり、等級選別が可能となった。
収穫後1、8、15、22日日のリンゴを供試材料に、近赤外分析法を用いて、それぞれの糖度を表す重回帰式を作成した。最高で相関係数R=0.77となったが、異なる試験区への重回帰式の援用ではRが小さくなった。糖度11以上のリンゴを判別するのに、2σ法とσ法を用いる方法と、スペクトルデータをニューラルネットワークに入力する方法について、検討した。
宮内イヨカンの貯蔵後期(3月以降)の温度管理を適正にする目的で小型冷房機を導入し、現地試験を行った。貯蔵庫の温度8~10℃は維持できたが、湿度がやや低かったので、果実減量が多かった。果皮色(a値)は良く、出荷可能な状態で、糖酸比(甘味比)は高くなって甘さをを増す傾向にあった。試験的な低温貯蔵は、果実の新鮮さが維持できて、外観も良好で、食味評価も良かった。
回転ドラム型リアクタを用いたRhizopus japonicusの固体発酵によるバレイショ残渣からのグルコアミラーゼ生産を行った。固体発酵において微生物の発生する熱を除去するために試作した回転ドラム型リアクタは、リアクタ内の気相と基質の温度変化の自動計測によるフィードバック制御により安定した発酵が可能となった。
寒冷地におけるメタン発酵の実用化のために、35℃~15℃でのメタン菌の馴養実験及び2相式簡易メタン発酵装置を試作した。発酵層内に基質を供給する流動変化を観測し基質の供給方法を検討した。中温(35℃)から低温(15℃)への温度低下によるメタン菌の馴化は順調に行われ、低負荷では中温域の特性と殆ど変わらなかった。
6種類の硫黄化合物で馴養したCO2/H2系メタン菌への増殖とCH4生成に与える影響を調べた。SO3とS2O5によるメタンの生成は他の硫黄源の場合と比較してやや少ないが、菌体増殖は高い値を示した。SO4、S2O3、SおよびSO3はNa2Sよりも菌の増殖とメタンの生成に優れた効果を示した。本菌群はイオウ含有化合物の還元酵素を有すると考えられた。
市乳製造廃水等の有機物濃度の低い乳業廃水へのメタン発酵処理の適用性を、嫌気性接触型発酵槽を用いた実験により明らかにした。その結果、接触型発酵槽の菌体密度は在来型のものを上回ったが、HRTを良く取れば在来型でも乳業廃水を十分に処理できること、接触型発酵槽の導入は、処理時間の短縮や濃縮した原液の処理に対して有効であると考えられること、等が判明した。
従来熱分解反応の熱定数の同定は、図式に直線化させる方法で、精度も低く、反応次数も整数値を与えていた。筆者らは最小二乗法で熱定数を精度高く計算する方法を提案した。また、各種木質バイオマスを示差走査熱天秤で定率昇温熱分解実験をし、熱分解反応式の熱定数値を最小二乗法で求めた。反応次数は実数値として得られたが、計算範囲によって値は異なった。
二相式ファーメンタによる焼酎廃液の嫌気性発酵特性に関する研究を行った。本実験は、発酵速度の異なる酸発酵とメタン発酵のバランスを保ちながら、高速での焼酎廃液の分解、消化を目的としている。今回は、最適発酵速度を求めるため、焼酎廃液のメタン発酵について回分培養を行い、菌体増殖曲線から菌体増殖速度および基質消費速度などを求め、Monod式による発酵過程のシミュレーションを行った。
澱粉製造過程で生じる有機系廃棄物であるデンプン残渣中のデンプン粒子に対象を限定し、新鋭な前処理法として超音波照射の酵素糖化における効果の検討を試みている。この結果、処理サンプルの方が未処理のものより酵素糖化率が4.5倍増加した。また、電子顕微鏡写真観察の結果澱粉粒表面に微細な破損痕が認められ、酵素糖化率増加は表面積の増大によるものと考えられた。
本研究は藍藻Spirulinaの増殖が最大となるNH3-N濃度を回分培養により決定し、藻濃度管理法により連続培養を行った。10日間の連続培養では生物汚染はみられなかった。また約2ヶ月間、pH制御により培地中の溶存CO2濃度を一定とする自動連続培養を行った。安定性および合成廃水の窒素処理は良好であった。
炭酸ガス固定・食糧生産などの目的を持つスピルリナ培養装置の性能を向上するため、光の供給法について実験を行った。培養槽内部に供給される光の分布状況を2種のモデル式と比較し、またこれに藻体の比増殖速度を決める重要な要素である光強度を組み合わせることで、単純な平板型培養槽において投入光エネルギに対するより効率的な藻生産を目指した。