発表要旨(1993年度大会)
生鮮農産物の電気的特性による非破壊水分測定のための基礎的データを得ることを目的とした。今回は穀物電磁的質量特性を測定解析できる計測システムを作成し、インピーダンスと等価質量・等価抵抗およびリアクタンスを、700kHz~1MHZの周波数において非破壊で測定した。含水率の低下によりインピーダンス、直・並列等価質量、リアクタンスおよび直列等価抵抗は減少し、並列等価抵抗は増大する傾向がみられた。
マイクロ波は果実中では水中より早く伝搬する。回折波を除去し直進透過波のみによるCT像を得るため、伝搬時間ゲートを設け、このゲート内のデータをフーリエ交換し、直線経路の減衰量周波数特性を得た。投影データとして減衰量を用い周波数と時間ゲートを種々選択することにより、水中計測で果実の空洞CT像が得られた。
殻付落花生の等級選別工程を改善するため、光学的手法に着目し、可視、近赤外、赤外光域の光反射特性を測定し、機械化のための基礎的なデータ収集と解析を行い、非破壊での総合的な品質判定の可能性について検討した。可視光域では表皮色との関係を調べ、試作機による選別の可能性を示した。近赤外光域では二次微分スペクトル波長と水分、脂質など内部品質との関係を示し、赤外域では表面温度特性から内部状態の検出を可能にした。
近赤外分光法により、ナシ果実(品種:幸水)肥大成育中の糖度(Brix値)測定を試み、単年度産試料による検量線を作成した。これを用いて、次年度産試料及び温度の異なる試料に対する予測を行った結果、Bias補正或いは測定試料のデータを加えて検量線更新を行うことにより、検量線の測定精度を維持できることがわかった。
近赤外分光法により、肥大生育中のナシ果実(品質:幸水)の主要な糖である蔗糖、ブドウ糖、果糖、ソルビトールの測定を試みた。果汁による蔗糖の測定では良好な結果を得たが、他の糖では正確な測定ができなかった。これは、各糖の官能基や構造が共通し、吸収帯が重なる事及び各糖濃度の変化幅が小さいこと等があげられる。
マスクメロンを用いて、非破壊で糖度(BRIX値)を推測することを目的として実験を行った。特に検量線の第1波長を選択するときの方法について、コンピュータによる自動選択と蔗糖水溶液をもとに蔗糖に関係のある波長を指定した場合の比較を行った。その結果、水溶液をもとにと関係のある波長を確かめることにより検量線の第1波長を選択することの有効性が認められた。
横波超音波を用いてスイカの空洞果検出、マンゴの熟度判定およびビワの生理障害果の検出に関する実験を行った。その結果、スイカの空洞果は2点の測定値の5ms以前の最大振幅値によって、マンゴの熟度は最大振幅値とピークエネルギー値との積によって、ビワの生理障害果は最大振幅値によって、検出または判定できた。
パッシブ水耕方式により栽培したメロンの茎部に100kHzから1MHzの高周波数域の微弱音が計測可能なAEセンサーを取り付け、計測を行った。その結果、茎部からの音の発生を捉えることができた。熱パルス型ステムゲージによる茎内流量との比較から、音の発生は植物体内の水分ストレスと関係があると推察された。
等級(特・秀・優・可・良)選別された“ふじ”各クラス1箱(約30玉)のリンゴの準静的圧縮試験をおこなった。計測項目は17項目とし、各項目間の相関を調べた。機械選別に使用できる程、相関の高い項目は見つからなかったが糖度についての相関係数は赤道部の破断強度で-0.68などがあった。
筆者の考案した電気的な密度選果法が実用化し、平成4年7・8月、石川県羽昨郡志賀農協のスイカ共同選果施設で稼働した。空洞の大きさが定量化でき高い判別精度をもつため、高い評価を得た。さらに、スイカの果実密度と果肉糖度の関係について測定した結果、空洞果を含め低密度果の糖度は高く、高密度果の糖度は低い傾向が見られ、密度による糖度選別の見通しが得られた。
光線利用の非破壊選別に関し、選別の障害となる光のみを効率的に遮断または吸収して、選別を確実、容易、迅速に行える方式を基本原理とする非破壊大量選別方式を開発した。内容は対象物の特性に応じた光透過スペクトルと分光分布からみた光源適性、目視判定難易度に関する周囲照度と被判定物照度の関係、洩れ光線遮断充填物の大きさ並びに試作機の実証試験で構成されている。
従来のミカン選果施設の計量工程は、箱詰めと計量を同時に行っているので、さらに効率を上げる方法がない。ここでは、箱詰め工程と計量工程を分離するシステム-各サイズの平均重量と基準偏差から投入個数を算出する式から箱詰め時に投入個数を算出し、その後で計量し不足があれば不足分に対する個数を算出する式から個数を求め計量し、一定量を超えるまで繰り返す方法-を考案し、シミュレーションで確認した。
ラッキョウの分光反射特性を求め、光量電圧変換回路を作成してラッキョウの芽部方向の検出を試みた。ラッキョウの分光反射特性は芽部と尾部で異なった。静置した、また搬送した(15から50cm/s)ラッキョウのいずれの場合も、芽部方向がすべて正しく検出でき、光量電圧変換回路による姿勢制御が可能であることが示された。
リンゴの全周囲を一括して画像収集できるシステムを開発し、打撲等の破損果や白色葉形等の着色不良果の検出法と、等級判定法を検討した。垂直軸を中心に18°ずつ回転させ計20画面を一枚の展開図に合成し、その画像データを判別分析とニューラルネットワークにより等級判定した。その結果、両者とも正常果、打撲果、着色不良果を良好に判別できることがわかった。
収穫後予冷を行い、鉄道コンテナを利用して北海道から東京に出荷する場合の品温変化をレタス(段ボール箱詰め)とレッドチコリ(発泡スチロール箱詰め)について連続測定した。収穫後のレタス品温は約26℃、レッドチコリは16℃であったが、予冷庫では品温は指数関数的に低下した。市場到着時の品温は約6℃であった。容器の形態や位置が品温変化に及ぼす影響が検討された。
貯蔵庫(モデル:600×600×100)に微粒子の炭酸マグネシウムを粉霧したところへ、アルゴンレーザーライトシート光を照射し、気流にのった微粉の働きをビデオで撮影し、この映像に簡単な画像処理を施し貯蔵庫内の気流分布を明らかにした。特に、気流の吹き出し方法、ファンの取り付け位置および農産物の積み付け様式などによる気流分布の変化を調べた。
アイスポンドの冷水を熱交換し、180tの馬鈴しょを収容した貯蔵庫を3月末から6月末まで冷房した。その結果、5月末まで庫内は気温2℃、相対湿度93%以上に維持され、期間冷房成績係数は1.6であった。7か月間貯蔵した馬鈴しょは萌芽がなく、還元糖が大幅に増加した。
呼吸量が大きく鮮度低下の激しい生シイタケの最適鮮度保持条件を酸素、二酸化炭素の環境ガス組成を組み合わせて、呼吸特性の変化やポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性の変化より検討した。PPO活性は20%CO2区および1%O2区で経日的に低下し、かつ呼吸速度も抑制された。
酸素濃度を21%、3%及び1%未満に調節し、パパイヤとアボカドの貯蔵性について検討した。これらの処理区の中では、全体的には3%区が最も貯蔵性が優れていた。しかし酸素濃度を1%未満にすると高温では短期間で、また比較的低温でも長期間貯蔵すると、果実の味・香りの低下や内部褐変が起こり、品質の低下をもたらした。
予冷に使用中の強制通風式貯蔵庫内の経時変化、気流や温湿度の空間分布を現場測定した。庫内気温は空調装置がオフ時には最大5.4℃まで上昇した(設定は4℃)。庫内の気流速は0.1~0.9m/sで、中心部や吸気口近傍が高く、四隅とダクト直下が低かった。パレット側面を吸気口に向う主流が形成されている様子が示されてた。気温分布は気流に類似した分布となっており、気流速が小さいほど、また、吸入口に近づくに従って高かった。
カンキツ貯蔵庫における空気循環式除臭装置を考案試作し、その結果を実験的の検討した。除臭材は産業廃棄物の石炭灰から生成した人工ゼオライト(粒状)である。貯蔵庫にカンキツの腐敗臭を充満させて除臭装置を稼働させた場合、ニオイ指示値(ニオイセンサー、SF-105)80~90Hzは時間の経過と共に漸減し(11Hz/10h)、除臭効果がみられた。風量一定(110m3/h)では、ゼオライト量が多い時(2倍)に除臭効率が高く、平均14Hz/10hであった。
食味に加え、輸送性、日持ち性などを考慮したイチゴの鮮度保持技術開発の一環として、低温貯蔵、鮮度保持フィルムの利用、および品種による流通適性の差異について検討した。用いた品種は「女蜂」と「雷蜂」の2種で、鮮度保持フィルムとしてヒノキチオールの保鮮紙を供した。この結果、ポリエチレンフィルム包装に効果が認められ、品種的には雷蜂が硬度が高く維持されたが、糖度は女蜂の方が高く維持された。
従来の熱風乾燥機に代わりヒートポンプを使った大型乾燥施設が増大している。この常温除湿乾燥機は温度依存性の高い熱風乾燥理論では整合性が低い温度領域での乾燥が行われ、新たな理論解析が必要である。本研究では乾燥定数に温度、湿度及び温湿度項を加えた関数を提唱し、常温低湿での精密な乾燥実験を行った。その結果、常温付近での籾の乾燥速度と相対湿度の関係が明らかになり、乾燥速度の湿度依存性が示された。
カントリエレベータの荷受けは、高水分籾で土日に集中する傾向が強くなり、荷受け処理能力を超える入荷があり、乾燥不十分な状態で保管されることがしばしばである。この改善策の1つとして、既存のサイロを利用した冷却貯蔵の可能性について検討した。17.2%の籾(200t)を48hで13℃することができ、19.9%および22.4%の籾(100t)を9℃まで冷却すると1週間の貯蔵が可能であった。
第1報でシミュレーションによって、本乾燥システムの有効性を予測したが、本報では空気の平衡含水率に着目した制御法を提案し、シミュレーションと試作実験装置での実験結果と比較して有効性を検討し次の結果が得られた。①シミュレーションと実験結果吸湿以外はよく一致した。②平衡含水率による制御は均一乾燥に有効である。③製品の胴割れは同一材料を除湿乾燥機で乾燥したものより少ない良品質が得られた。
乾燥施設で処理、貯蔵された米の評価が相対的に低いことの原因として、長期間にわたるサイロ貯蔵中の穀温の上昇が考えられる。本報では、モデルサイロ中に温度センサを設置し、穀温の上昇を制御する方策の実証試験を行った。その結果、サイロ壁にアルミシートを貼付する方法及びサイロ壁を濡れ壁とする方法が、同程度に効果的であることが明らかとなった。
乾燥施設への入荷ピークが著しくなり、滞貨中の籾の変質、オペレータの長時間労働などが問題となっている。入荷量を計画的に調整することは最も重要であるが、本報では荷受けシステムの作業効率を荷受け要素を用いて数式化することにより分析した。さらに、その結果をもとに4ヶ所の乾燥施設における荷受け過程を計測し、それぞれの問題点を考察した。
常温除湿機を導入した大型乾燥施設では一台の送風機で多数の乾燥ビンの下方向から同時送風する方式が採用されている。各ビンの穀物充填量は不均一であるため、安全限界風量化を超える恐れがある。本研究は実際の施設が効率的に稼働する状況を把握するため、各ビンの予想充填量から風量日を予測し、適切な条件で多数ビン同時通風乾燥を行うための数値シミュレーションを行った。
大型乾燥施設での多数乾燥ビンの同時通風方式を実験的に検討するため、各ビンの充填量が異なる場合のチャンバ内静圧、空塔風速および風量比などを求め、測定値と第1報で導いた算定式による計算値を比較し、その適合性を示した。また、通風面積と全通風抵抗および送風機効率の関係を調べ、送風機が効率よく作動するための堆積状態および限界充填量の予測に関する解析を行った。
乾燥過程での品質低下を評価する指標として、呼吸特性の導入を試みた。加熱操作が籾の呼吸商および呼吸量に及ぼす影響をガスモニタ、ガスクロマトグラフで調べた。①呼吸商の値は概ね1で、加熱による呼吸基質の変化は生じない、②加熱による呼吸量の低下現象が認められたので、品質低下を評価する指標として呼吸量は有望であるが、20%以上の高水分域において比較的高い温度で測定を実施する必要があること等を示した。
3タイプ(Japomica/Indica/Javanica)4品種の米粒を供試して、精白プロセスにおける形状の変化を2次元画像計測装置で解析した。精白には円筒摩擦式・うすらせん式・研削式の各精米機を供試した。計測項目は面積・周長・最大長・最大幅・円形度・長幅比・粒重・精白歩合・破米率とした。まず表裏の影響を調べ、次に玄米を含めて各精白プロセスの形状変化を追跡した。
昭和52年度産ニホンマサリを水分13%に乾燥、γ線を0.30、300krad照射、0~5℃で玄米及び籾貯蔵した。15年半貯蔵時佐竹食味計の食味値は無照射玄米50、30krad籾45,300krad籾40で、パネルテストも良い一致を見た。無照射玄米の発芽率62%、脂肪酸度33mgKOH-100gである。
米粒の形態(籾、玄米、普通精白米、通称クリーン米)と貯蔵環境(温度、空気組成)との組み合わせによる貯蔵実験を行い、品質変化を脂肪酸度、NIR、RVA分析により評価した。結果は籾、クリーン米形態の貯蔵性が優れ、また脱酸素剤の使用も効果あることを示した。
乾燥前に米の品質を判定し、差別化乾燥等を可能にするため、乾燥前の高水分籾をインペラ籾すり機で脱ぷした玄米から光学的な外観品質判定および近赤外線分析計による内観品質分析を行うシステムを提案し、本システムの技術検討をした。その結果、外観品質は良質粒の判定はじゅうぶんな精度で可能であり、内観品質も、粉砕粒度を揃えれば可能と考えられる。ただし、アミロースの成分分析は現状ではかなり難しいことがわかった。
近年、省力化、規模拡大などへの期待からフリーストール牛舎を導入する酪農家が増加する傾向が見られる。本報ではアンケート調査によって、フリーストール牛舎の現状と導入時の問題点を把握することを目的とした。問題点として肢蹄病の増加、個体管理のしづらさ(餌管理など)、ふん尿処理が困難などが挙げられた。
フリーストール牛舎のアンケート調査から、ストールサイズ、床材、敷料、隔柵、ストール内の事故、隔柵の破損などストール構造に関する調査結果を報告した。ストール内の事故または隔柵の破損は、回答農家の71%が経験しており、隔柵の適正な配置や取付部分の必要強度の解明が必要であると考えられた。
ここ4年ほど、北海道で42~56基/年、都府県で55~62基/年のパーラ建設が行われ、現在では800基以上のパーラ稼働が予測された。最近のパーラ規模の平均は11ストール/基で、8、12ストール規模のパーラではヘリンボンパーラの採用が多い。15ストール以上の大規模パーラではパラレルパーラ、6ストール以下の小規模パーラではタンデムパーラの比率が高い傾向が見られる。
ストール寸法と隔柵形状の違いがストール内の乳牛の動作行動に及ぼす影響をVTR画像の解析から調査した。ミシガン型隔柵は、他の隔柵に比較して横臥時のき甲部がストール中心線に近づき、横臥角度(き甲部と十字部を結ぶ線がストール中心線となす角度)が大きく振れる特徴があった。そのため、尾端部は他の隔柵より10cm程度牛床内側に位置した。左横臥と右横臥では横臥位置に系統的な差がみられた。
ストール隔柵の合理的な強度設計、また隔柵の形状を牛にとっての快適性の面から評価することを目的として、U字型、ミシガン型、支柱付標準型の3種の隔柵に対する牛加力の測定を行い、加力の大きさや作用位置等の結果を報告した。ミシガン型隔柵は他の隔柵に比べて、大加力の発生が少ない傾向があった。
日本と中国では畜舎を建築する場合、住宅と同じ建築基準によって構造強度等が決められているが、カナダではその独自の基準が適用されている。そこで本研究では、まず農業建築物に対する法規制について日本とカナダとの比較を行い、これに基づいて、同じ規模の畜舎を日本とカナダの法規制の下で建てた場合の使用部材重量を比較した。
実験から得られた融雪効率の推定式を用いて、条件を想定した畜舎の融雪可能量を推定した。岩見沢の成雌豚舎では融雪を行えば除雪の必要はないという結果だった。排気の湿度が融雪量に及ぼす影響について検討し、湿度の高い排気の方が融雪量が大きいという結果を得た。
火力乾燥による糞尿処理を含めた系の地域別、鶏舎型別のエントロピー収支の計算を行い、特にエントロピー生成と熱源の温度変化との関係について検討した。生成は低温熱源(外気温度)の変化に追従した。また、エントロピー生成は温暖地域と比較し、寒冷地域のほうが小さく、閉鎖型より開放型の方が小さくなった。鶏卵生産より糞尿処理系による生成は寒冷地域における開放型で大きかった。
鶏舎では、糞からの有害ガスの発生があり、糞の除去(糞棚からの掻き落し)の必要性は高い。無人走行を主な改良点とする除糞機を試作し、除糞作業時の心拍数変化を測定した。安静、作業、回復の過程が明確になり作業負荷に応じた数値を示した。心拍数増加率は改良機が110%で従来機(141%)に比して小さかった。また、前者は単位時間当たり作業量で約1.4倍大きかった。
無作為に選んだ畜産農家に悪臭問題に関するアンケート調査を依頼し、回収できた129件について集計整理した。牛舎内の臭気は、六段階臭気強度表示法で2の段階、豚舎および鶏舎は4と5の段階に集中している。全畜種において、糞臭とアンモニア臭が特に多く回答され、豚は両方とも80%を超えている。全畜舎において雨天時、無風時、6月から8月までの3ヶ月および11時から15時までの4時間に最も臭気が強く感じると回答している。
北海道の河川の汚染の顕在化に伴い、本研究は酪農地帯の水質調査及び農家の意識調査を行い対策の提案をした。河川の汚染源は、野積みの家畜糞尿堆肥盤からの直接流出、牧草地へ撒いた糞尿の地下浸透、畑地暗渠からの流出であった。対策として糞尿処理と土壌浸透法の実施が考えられた。意識調査の環境保全では、経営者の意識は高いが主婦には系統的な教育が必要と考えられた。
本研究では、水耕栽培に於て基本となる水に着目し、水道水、創生源水、セラミックフィルタ処理水、磁化水の4種の処理培養液でレタスを栽培した。水道水及び電子水の葉面散布区、固形培地としてはロックウール培地区も設定した。播種後3ヶ月では、セラミックフィルタ処理水区、創生源水区が他区より好成績の傾向が見られた。しかしASA濃度に関しては最も生育の悪かった水道水区が最も大きく、葉色も濃い結果となった。
ロックウールを用いた水耕栽培を行い、養液中の各イオン濃度、EC、pH、養液消費量などの測定を行った。栽培には232株の『とよのか』を用いた。11月3日より収穫を始めた。硝酸態窒素イオンの吸収は頂花の開花期から終了まで大きな変化を示した。また養液消費量は結実量が多くなるにつれて急激に増えた。このための給液の予測には日射量等の環境要因のほかに結実量等の要因を加味する必要がある。
本研究は、農地を人間が移動し、農作業を行うという伝統的な形態から脱却し、圃場が移動し、人間が室内で作業ロボットと共に農作業を行うという発想の未来型農業として位置づけられ、地下温室や太陽集光装置の導入など農業生産にFAの発想を取り入れた自動化への概念設計およびトータルシステムの構築を行うものである。
温室で周年栽培を行うには、冬季の暖房、夏季の冷房が必要である。しかし、地下は年間を通じて比較的温度変動が少ない。この地下エネルギを直接的に栽培温室に利用する目的で、地下温室の熱収支を求め、冷暖房費の算定を行い、地上温室と比較した。その結果、地下温室は温度も安定し、環境調節が容易であることが示された。
迅速測定に適したノイズFFTインピーダンス法のハードウエアの構築とデータ処理法の検討を試みた。供試した装置構成と処理アルゴリズムにより、ダミーセルについては従来と同程度のボード線図、Cole-coleプロットが得られ、迅速な測定が可能であることが確認された。アンチエリアジングフィルタ、移動平均、積算平均化等がノイズの抑制に大きく寄与することもわかった。
本研究は植物体表面に現れる電位現象に注目し、それを新たな植物活性指標とするための基礎的実験である。発芽直後のカイワレダイコンの根系を測定対象に絞り測定を行った結果、光合成の開始及び終了に対応した各測定部の電位の上昇下降傾向が測定された。これは、根系の吸水に関するプロトンポンプ由来の電位発生という仮説を支持するものと思われる。
成長中のコマツナの栄養成分の蓄積に影響を与える光質、特に紫外線の消長について季節的変動、成長部位別の測定を加え検討した。アスコルビン酸含量は着葉により成長段階の若い葉ほど蓄積量が大きい。単位葉重当たりのアスコルビン酸含量は紫外線透過区の方が大きいが、生長量は紫外線除去区の方が大きい。また夏期は冬期に比べアスコルビン酸の蓄積が少なかった。
イチゴの花芽分化促進用の夜冷育苗施設として井水の顕熱利用型のウォータカーテン細霧冷房方式を考案し、ハウス内気温に及ぼす環境条件とその熱収支について調べた。日没後、散水開始して約20分で定常状態に達した。熱貫流負荷は屋根面からがほとんどを占め、その結果、ハウス内気温は外気温の影響を最も受けた。
本装置は、温度が上昇すると収縮する一方向形状記憶合金コイルバネの特性を利用したもので、作動原理は、コイルバネの収縮運動をプーリによって回転運動に変換し、プーリに連結した裾引き上げ用のアームを上下させるもので、開閉幅は最大46cmである。装置設置トンネル内におけるゴボウの規格品収量は、20m間2台設置区105.5kg/a、3台設置区96.6kg/a、観光区100.3kg/aと大差なく、装置の性能は良好である。
実験用ハウス内環境の制御にファジィ理論を応用し、温度、湿度の変化率に応じて、目標値に対するスレッシュホールドを変化させて、制御特性を検討した。換気のよる温度制御では、ファジィ制御はON/OFF制御より天窓の動作時間回数が多いものの、目標温度に対する誤差が少なかった。温度湿度複合制御では、目標湿度に対するオーバーシュートや累計誤差が低くおさえられた。
耐用年数が5~10年のフッ素系フィルムとポリエステル系フィルム、及び1~2年の農ビの3種フィルムについて、平面載荷の金具留め方式(ビニペット留め、タッピング留め)と局面載荷のテープ留め方式(マイカ線他)の展張実験を行い、正・負荷重方向における破壊強度や留め方式による損傷の特徴を報告した。
常温煙霧方式の温室用農薬無人散布システムを開発し、その性能・効力試験を行ったところ、目づまり無く水和剤を微粒子化噴霧でき、かつ、薬剤の空間分布状態はほぼ均一であった。防除効力は動力噴霧器と同等で、1回の散布薬量を減らし散布頻度を増せば防除効果が高くなることがわかった。
システム化による農地管理の可能静模索の一例として、霜害茶畑の特定を衛星リモートセンシングを用いて試みた。教師付き分類法により茶畑を抽出した結果を土地利用図と比較すると90%以上の抽出精度が確かめられ、この結果に霜害の有無を人工的に作成した茶葉の分光特性を考慮して得た画像演算指標を適用すると、霜害茶畑の検出が可能であることが示された。
有機系廃棄物であるバレイショ残渣を利用して、微生物により付加価値の高い乳酸を生産する。乳酸菌は一般に、セロビオースよりもグルコースを先に代謝するため、セロビオースとグルコースとの混合培地での乳酸発酵はセロビオースが残る結果となる。本研究では、セロビオースを優先的にまた同時に乳酸に変換させることを試みた。
スタンチョン牛舎脇に有効容積4m3の嫌気発酵槽を設置し、無希釈糞尿スラリを用いた高負荷運転によるランニングテストを行った。本報はこれらの結果をまとめ、原料の性状とバイオガス生成量の関係について報告した。
光合成細菌による水素生産はアンモニア態窒素により阻害される。従って、廃水処理を兼ねた水素生産を考えた場合、アンモニア態窒素濃度による水素生産速度の阻害を調べることは重大な課題となる。人工光源及び合成培地を用いて各NH4Cl濃度における水素生産速度を調べた結果、NH4Cl濃度が0mM、1mM、3mM、5mMの時の水素生産速度はそれぞれ760、83.3、12.5、0.00μl/hr/gcellとなった。
麦焼酎廃液はC/N比が5程度でメタン発酵させる場合低く、アンモニア阻害を生じ易い。水希釈による阻害防止に代わって、本研究では300Lの中間規模メタンリアクタを試作し、消化ガスのリアクタ内気相部の分圧を上昇させ、発生するアンモニアを炭酸アンモニウムとして中和する方法を試みた。この無希釈処理によって有機物負荷は4kg/m3/dでメタン収率0.72m3/kg-vsが得られた。
麦焼酎の蒸留廃液を処理するメタン発酵装置に、菌体濃縮と処理水排出を同時に行うための限外ろ過膜分離装置を組み込んだ。その結果、メタン菌をウォッシュアウトさせずに、水で希釈した焼酎廃液の連続投入が可能となり、原料の低C/N比に由来するNH4+の蓄積を回避することができた。また、菌体濃度の増加により有機酸除去率や消化ガス・メタンの生成速度、収率といったパラメータを向上させることができた。
有機物濃度が高く、廃棄の難しい麦焼酎蒸留廃液の嫌気性発酵実験を行い、廃液処理効率、バイオガス発生効率について検討した。廃液処理では、有機物の分解消化をCOD除去速度、COD除去率、BOD除去率、および発酵阻害物質から論じ、その最適な発酵条件を示した。発生するバイオガスについては、ガス発生速度、ガス化率およびメタン濃度からガス発生効率を論じ、二相式ファーメンタの有効性を示した。
二相式ファーメンタは酸生成菌とメタン生成菌を分離し、相分離によって発酵速度の異なる酸発酵とメタン発酵のバランスを保ちながら、高速で廃液の分離消化を目的としている。本研究では最適発酵速度を求めるため、焼酎廃液の酸発酵について回分培養実験を行い、菌体増殖曲線から菌体増殖速度および基質消費速度などを求め、Monod式による発酵過程のシミュレーションを行った。
農村部における自然循環システムの試みとして、製材所や建築現場から発生する木くず等木質廃棄物と家畜ふんを主材料とするコンポスト化の実験を行い、難分解性の木質の混入にもかかわらず良好な分解反応を検出した。材料の有効熱伝導率測定の結果、その理由が材料の断熱性に起因することを明らかにした。