バックナンバー要旨

56巻1号(2025.03)

  • ノート
  • 冬季の堆肥化を支援する堆肥加温システムの開発
  • 宮竹史仁・倉富彩南・岡本壮一

 本研究は,寒冷地域における冬季の堆肥化プロセスの効率改善を目指し,新たに開発した「堆肥加温システム」の効果と運用コストを評価した。厳冬期に実施された試験では,氷点下20 °C以下の過酷な環境下においても,本システムの導入により堆肥化が円滑に進行し,冬季特有の堆肥化の遅延や停滞が解消された。また,システムを導入していないエリアへの切り返し後でも堆肥温度は同様に上昇し,堆肥加温システムが堆肥化プロセス全体の進行にも寄与することが示された。さらに,運用コストは1日1台あたり1402円と算出され,従来の通気配管から加温空気を送風する方式と比較しても,大幅な運用コストの削減が示唆された。これらの結果から,堆肥加温システムは,厳冬期の堆肥化促進において高い実用性と効果を有し,寒冷地域における堆肥化施設の管理において有望な手段であると考えられる。

キーワード:堆肥化,冬季,加温システム

ページトップへ