バックナンバー要旨
44巻1号(2013.03)
ナタネのマイクロ波連続過熱を行うために矩形導波管型マイクロ波アプリケータを試作してナタネの連続加熱試験と搾油試験を行い、小型搾油機での搾油の前処理方としての検討を行った。
矩形導波管を利用したマイクロ波アプリケータにて短絡板を管内波長の1/4の距離を0.5 Hzの間隔で断続的に移動させながらマイクロ波を照射することで、アプリケータ内に強い電界を形成し、ナタネを効率よく加熱することが可能であった。この原理を応用した矩形導波管型マイクロ波アプリケータでは、ナタネを35 kg/hの処理量で115±4℃に連続加熱することが可能であった。マイクロ波加熱後に行った搾油試験では、搾油機の出口開度を7.5 mmとした場合、非加熱の搾油率22.6 %に比べ5.8 %向上し28.4 %となった。搾油後のろ過油の品質では、マイクロ波加熱による酸価や酸化安定性への大きな影響は無く、クロロフィル含量は高くなる傾向にあった。結果、矩形導波管型マイクロ波アプリケータによるナタネの連続加熱処理は小型搾油機の前処理方として有効であった。
キーワード:ナタネ、矩形導波管型マイクロ波アプリケータ、連続加熱、搾油機
全農飼料畜産中央研究所で実施した406頭の3元交雑肉豚の肉質試験を取りまとめ、飼料中のリノール酸等の栄養成分摂取量が豚の背脂肪の脂肪酸組成への影響について検討した。肥育試験は生体重65 kgから112 kgまでとした。肥育試験データの取りまとめは5~6頭群飼育の平均値とし、データ解析の母数は77である。1日当りの栄養成分摂取量は、可消化養分総量(TDN)が2249 g/日、粗蛋白質が399 g/日、粗脂肪が111 g/日、可溶無窒素物(NFE)が1794 g/日であった。各脂肪酸の摂取量はパルミチン酸が18.3 g/日、ステアリン酸が5.2 g/日、オレイン酸が37.9 g/日、リノール酸が43.7 g/日、内因性脂肪酸が61.4 g/日であった。NFE、粗脂肪、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸の栄養成分摂取量は体脂肪の脂肪酸組成との間に有意な相関が認められた。特にリノール酸の摂取量は体脂肪の脂肪酸組成に大きく関係していた。飼料中のリノール酸摂取量が増加すると体脂肪のリノール酸が連動して増加し、逆に内因性脂肪酸は減少した。リノール酸摂取量が45 g/日以下であれば、C18:2/C18:0が変わらず、脂肪の硬さに大きく影響しないことを示した。飼料中のリノール酸を減少させても必須脂肪酸であるリノール酸は体脂肪中には一定割合(約7 %)で蓄積することが明らかになった。一方、TDNおよび粗蛋白摂取量は体脂肪の脂肪酸組成との間に相関が認められなかった。
キーワード:肉豚、栄養成分摂取量、背脂肪、脂肪酸組成、リノール酸
酪農業において搾乳施設廃水とともに排出される廃棄乳の処理が大きな課題となっている。メタン発酵による廃棄乳からのバイオガス回収が望ましいが、含有する乳脂肪や高級脂肪酸が発酵阻害を引き起こす。本研究では、廃棄乳を含む酪農廃棄物を対象としたメタン発酵の前処理として電解酸化法を検討した。消化液を種汚泥として乳牛糞尿を投入した37℃でのバッチ式メタン発酵において、牛乳を発酵汚泥の全量に対して15%投入したところ阻害が確認された。陽極材料にDSA(Dimensionally Stable Anode)を用いて電解酸化処理した牛乳を投入すると、未処理牛乳と比較してメタン生成量は増加した。これはオレイン酸などの難分解性物質が、電気化学的に易分解性物質へと転換されたためと考えられる。しかしながら、メタン生成までの遅延も観察された。Ti/PbO2電極を用いた電解酸化法で前処理した牛乳を投入したところ、メタン生成量が減少するなど、DSAを用いた場合よりも強い阻害強度が観察された。これは牛乳中のラクトースなどの電気化学的酸化により生じたギ酸が、消化液や乳牛糞尿における菌叢のメタン生成菌では資化できないためと考えられた。本研究の結果から、DSAのような活性電極を陽極に用いた電解酸化法による前処理により、廃棄乳のメタン発酵性能を向上できることが示唆された。
キーワード:メタン発酵、電解酸化法、廃棄乳、乳脂肪、高級脂肪酸、前処理
循環式乾燥機による省エネ乾燥実現に向け、ヒートポンプを用いた穀物乾燥システムを設計した。本システムは最大張込量500 kgの循環式乾燥機を対象に、CO2冷媒ヒートポンプ給湯器で生成した温水と常温空気を熱交換して、穀物乾燥用の熱風を生成する構造とした。さらに、システム内に温水を貯める貯湯ユニットを設け、温水を蓄熱媒体として利用することで、低温条件下で懸念されるヒートポンプの除霜運転作動時にも継続的な穀物乾燥が行えるため、着霜の発生と除霜運転の作動の頻発による穀物乾燥への悪影響を回避可能な構造とした。
本システムによる籾乾燥試験の結果、乾燥速度は1.0 %w.b./hと循環式熱風乾燥機と遜色無い値であった。品質面では、胴割れの多発は認められなかった。比エネルギ消費量は、2.6 MJ/kg・H2O、穀物水分1 kgの乾減に要したCO2排出量は3.1×10-4t・CO2/kg・H2Oであった。一般的な循環式熱風乾燥機の値と比較して、比エネルギ消費量は54 %、CO2排出量は23 %の低減効果となった。乾燥期間中の平均外気温は15.4℃であり、ヒートポンプユニットの成績係数(COP)は3.2であった。
これより、設計した穀物乾燥システムは、循環式乾燥機における慣行の作業能率を維持しつつ、ヒートポンプの性能を発揮することで、穀物乾燥の省エネ化およびCO2排出量の低減が可能であることを確認した。
キーワード:循環式乾燥機、ヒートポンプ、比エネルギ消費量、CO2排出量、蓄熱、着霜、除霜運転
44巻2号(2013.06)
異なる双子葉原料(サツマイモ、ジャガイモ、シュガービート)に由来するバイオエタノール蒸留廃液について、肥料成分や窒素無機化特性、ポット試験による作物の生育や養分吸収に及ぼす影響などを明らかにするとともに、ジャガイモを原料とするバイオエタノール蒸留廃液を用いた圃場試験による化学肥料代替効果を明らかにした。双子葉原料に由来する蒸留廃液には、作物生育に利用可能な肥料成分が多く含まれること、原料により窒素の無機化特性が異なること、蒸留廃液に含まれる肥料成分が化学肥料と同等以上の効果を有し、とくにリン酸とカリの利用率が著しく高いことなどが明らかとなった。また、生食用ジャガイモを栽培した圃場試験において、化学肥料の一部を蒸留廃液に含まれる肥料成分で代替した場合に、化学肥料を標準量施用した区と同等の規格内収量が得られたことから、蒸留廃液を圃場還元利用することは十分に可能であり、今後は経済性などを考慮した技術を確立することが重要である。
キーワード:バイオエタノール、蒸留廃液、双子葉原料、肥料成分、窒素無機化特性、栽培試験、ジャガイモ収量
外観等では判別することが不可能なセイヨウナシル・レクチェの渋味果を非破壊判定ならびに品質保証を目的として、可視・近赤外分光法とニューラルネットワークの組み合わせによる判定法について検討した。供試果実97果の吸光度一次微分値を入力データとして、leave-one-out法によるクロスバリデーションを用いて、ニューラルネットワークの学習と検証を繰り返し、判別率を求めた。最終認知誤差0.11かつ中間層ユニット数15個の場合は、正常果の判別率は80.0%であり、渋味果の判別率は82.3%、総合判別率は81.1%であった。本研究成果は、ル・レクチェの渋味果の非破壊判定技術として有効であると考えられる。
キーワード:可視・近赤外分光法、吸光度一次微分値、クロスバリデーション、渋味果、濁度、ニューラルネットワーク、非破壊
大規模施設を利用したトマト(Solanum lycopersicum L. cv. Elegance)周年栽培における安定多収生産を目的とし、着果制限が長期多段穫りトマトの生育と収量に及ぼす影響について調査を行った。1果房内の着果数の違いで、無摘果区、6果区、4果区の3処理区を設けた。
摘果処理は草丈、着果段数に影響を及ぼさなかった。葉数に差はみられなかったが、葉面積は4果区が最も大きく、次いで6果区、無摘果区の順であった。開花間隔および果実生育期間は温度と高い相関があり、摘果の影響は認められなかった。果実はシンク能が大きく、着果数が増加すると、葉、茎、根の重量が減少し、特に根の生長が抑制された。総収量は6果区が最も高く、無摘果区と4果区には差はみられず、果実乾物重も同様の結果であった。しかし平均果実重は、4果区が最も重く、次いで6果区、無摘果区の順であった。摘果処理は果実のBrixに影響を及ぼさなかった。
総乾物重と果実乾物重、栄養器官乾物重と果実乾物重の間には高い相関が認められた。そのため、高い収量を得るためには高い総乾物重が重要な要素になることが明らかになり、本試験の条件下における1果房当たりの最適な着果数は6果であると考えられる。
キーワード:トマト、着果制限、周年栽培、乾物生産、太陽光利用型植物工場
多層保温資材とハウス内に設置した水蓄熱体がパイプハウスの暖房負荷に及ぼす影響を検討した。無加温時のハウス内温度は、慣行ハウスと多層保温資材を用いたハウス(開発ハウス)でそれぞれ2.4℃と7.1℃(外気温0℃時)であり、開発ハウスの方が高く維持された。加温時、水蓄熱がない場合の開発ハウスにおける暖房負荷係数は1.43 W∙m-2∙℃-1であり、慣行ハウスの2.39 W∙m-2∙℃-1に対して40 %以上小さかった。また、暖房燃料使用量についても開発ハウスでは慣行ハウスに対して約40 %小さく、多層保温資材には暖房負荷を軽減する効果が認められた。多層保温資材に加えて水蓄熱体を設置した開発ハウスの放熱係数は開発ハウス(水蓄熱なし)の場合と変わらないものの、暖房負荷係数は開発ハウス(水蓄熱なし)の1.43 W∙m-2∙℃-1に対して0.91 W∙m-2∙℃-1と小さくなった。また、暖房燃料使用量は慣行ハウスの36 %であり、水蓄熱体が暖房負荷をさらに軽減する効果が認められた。
キーワード:パイプハウス、保温カーテン、水蓄熱、放熱係数、暖房負荷、省エネルギー
44巻3号(2013.09)
材料へ塩化マグネシウム(MgCl2)を添加することにより、struvite(リン酸マグネシウムアンモニウム;MgNH4PO4∙6H2O)の生成を促進させて堆肥化早期のアンモニア揮散を低減する方法を評価するために、肥育牛排せつ物を材料として小型反応槽を用いた15日間の堆肥化実験により検討を行った。MgCl2添加により初期材料のpHの低下とECの上昇が生じ、その添加量が排せつ物乾燥質量当たり0.4 mol(mol kgDM-1)のときの有機物分解率は、無添加である対照区の63 %にとどまった。無添加に対する添加区のstruvite-N増加量は、実験終了時において材料初期乾燥質量当たり0.03 mol kgDM-1(MgCl2添加:0.1 mol kgDM0-1)~0.07 mol kgDM-1(MgCl2添加:0.4 mol kgDM0-1)であり、添加したMgCl2がstruvite-N生成に利用された割合は34~16 %と計算された。このため、MgCl2添加が0.4 mol kgDM-1のときのアンモニア揮散は対照区の70 %に抑制されたが、struvite-N生成による抑制効果よりも材料pHの低下による抑制効果が大きかったものと考えられる。
キーワード:struvite、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)、化学添加剤、アンモニア揮散、堆肥化
本研究では、園芸用パイプハウスを対象とし、妻面や側壁面に存在する隙間位置での外圧を1/40縮尺模型を用いた風洞実験で測定し、その時刻歴データを用いて内圧をシミュレーションした。その結果、内圧係数は風向によって大きく変化し、最も大きな正および負の内圧係数を与えるのは、風向が妻面および側壁面に正対する場合であることが示された。また、構造骨組および外装材に対して最大荷重効果がもたらされる2構面における外圧も同時に測定し、外圧と内圧の相関、およびそれらによる荷重効果の相関はいずれも低いことを明らかにした。
筆者らは、既往の研究において構造骨組用外圧係数並びに外装材用ピーク外圧係数を提案したが、本論ではそれらと組み合わせることで設計用風荷重を合理的に評価できるような構造骨組用内圧係数並びに外装材用ピーク内圧係数を提案する。そして、それらを用いて算定される荷重効果は、外圧および内圧の時刻歴データを用いた動的解析から得られる最大ピーク値を概ねカバーしていることより、提案したモデルが設計用の値として妥当であることを示す。
キーワード:園芸用パイプハウス、内圧係数、風洞実験、数値シミュレーション、荷重効果
近年、空気熱源式ヒートポンプの温室における利用が注目されてきている。ヒートポンプの性能を表す指標としてCOP(成績係数)が使われている。しかし、JIS規格で規定されているCOP測定の環境条件と温室内の温熱環境は大きく異なっていることから、温室におけるCOPの測定が求められている。本研究では、温室内にヒートポンプを設置し、空気エンタルピー法による暖房時のCOPの測定を試みた。最初に、COP値に大きな影響を与えるヒートポンプ吹出し口の風速・風量と空気温度を検討した。風速は中央部と左端部で、約2.7 m/sの差があり、空気温度は約2.5℃の差があった。そこで、均一な空気温度と平均化した風量の測定ができるように、集風フードとダクトを設け、その後方にピトー管方式の風量測定器を設置し、ダクトの最後尾にインバータ制御機能を持つ吸引ファンを持つCOP測定装置を開発した。その結果、空気温度のばらつきは0.3℃以下、風量はメーカー値との差が5 %以内となった。最後に、JIS規格で示されている環境条件に近い条件の断熱室や実際の温室におけるCOPの測定から、風量を特定することで、今回示した方法によってCOPを正確に測れる可能性が示された。
キーワード:ヒートポンプ、COP、温室、空気エンタルピー、暖房
2012年に実施した福島県での玄米全袋の放射性物質検査において、ごく一部の米袋から規制値(100 Bq/kg)を超える放射性セシウムが検出され、その原因として「籾摺機内での交差汚染の可能性」が報告された。
本報告を受け、筆者らは福島県内にある籾摺機を用いて交差汚染の実態調査を行った。籾摺中に排出された玄米を採取の上、放射性セシウム濃度(134Cs+137Cs)を測定した結果、玄米排出初期の回収袋から、汚染されていない籾摺機で調製した玄米(基準玄米)より高い濃度が検出されること、その濃度は籾摺が進むにつれて、基準玄米と同水準まで徐々に低下する傾向を確認した。また、籾摺後に機内を分解清掃の上、回収した機内残留物の放射性セシウム濃度を測定した結果、回収した玄米より極めて高い値が検出された。さらに、放射性セシウム濃度と玄米回収袋内の機内残留物混入割合に正比例関係が認められた。
これより、籾摺機を使用する前に十分な清掃を行わない場合、高濃度の放射性セシウムを含む機内残留物の混入による、玄米の放射性物質交差汚染の発生が明らかとなった。交差汚染を回避するには、機内に残っているホコリ等の残留物を籾摺前に取り除くことが有効と考えられた。
キーワード:放射性セシウム、交差汚染、米、籾摺機
44巻4号(2013.12)
ヒートポンプシステム導入による暖房経費の節減が報告されているが、ヒートポンプシステムは従来の燃油式温風暖房機と温風送風方式が異なる。そこで、温風送風方式が異なる施設園芸用暖房機を設置した2つのハウスを用いて、暖房負荷や地中伝熱量等を測定した。その結果、送風ダクトをハウス内に配置して温風送風を行う従来の燃油式温風暖房機が設置されたハウスに比べて、ハウス妻面側に設置した室内機(送風ユニット)から直接温風送風を行うヒートポンプシステムが設置されたハウスは、80 %の暖房負荷でハウス内気温を同水準に維持することができた。
ヒートポンプシステムが設置されたハウスの地中伝熱量は、燃油式温風暖房機が設置されたハウスの地中伝熱量に比べて小さかった。また、両者の地中伝熱量の差が大きくなるほど、暖房負荷の差が大きくなった。
キーワード:燃油式温風暖房機、地中伝熱負荷、ヒートポンプシステム、暖房負荷、温風送風ダクト
本研究では、我が国で一般的な園芸用パイプハウスを対象とし、それらが複数棟並列配置された場合について、内圧係数を風洞実験並びに数値シミュレーションに基づき検討した。風洞実験では、妻面内の出入り用扉(2枚の引き違い戸)の周囲、並びに、側面のサイド巻き上げ換気装置におけるフィルム重なり部に隙間があるとし、それらの位置での外圧を境界層乱流中で1/40縮尺模型を用いて測定した。次に、その時刻歴データを用いて内圧を数値的にシミュレーションした。模型は2ないし3棟が並列配置されているものとし、隣棟間隔を(0.25~1.0)Hの範囲で変化させた(Hは棟高さを表す)。シミュレーション結果より、内圧はハウスの相対的位置、隣棟間隔、風向によって大きく変化することが示された。筆者らは既往の研究において、単体モデルに対する風洞実験並びに時刻歴応答解析の結果に基づき、パイプハウスの構造骨組用外圧係数並びに外装材用ピーク外圧係数を提案した。次に、外圧係数と適切に組み合わせることで設計用風荷重を合理的に評価できるような構造骨組用内圧係数並びに外装材用ピーク内圧係数を提案した。本論文では、そこで提案された外圧・内圧係数が並列配置された複数のパイプハウスにも適用できるかどうかを検討する。
キーワード:園芸用パイプハウス、並列配置、内圧係数、風洞実験、数値シミュレーション
農業用ハウスの外張りとして使用するUVカットETFEフィルムの開発を目的に、UVカットフィラーと、そのフィラーをETFEに分散させるための表面処理方法が、フィルムの耐候性およびフィルム外観に与える影響について検討した。その結果、ETFEフィルムのための新規UVカットフィラー(CeO2:SiO2=40:60)が開発でき、そのフィラーを分散させるための表面疎水化処理剤および処理方法が確立された。本研究で開発したUVカットETFEフィルムは透明性が高く、UVカット機能の低下は12年経過後でも最大で4 %に留まった。また、農業用フィルムとして要求される機械的強度もほとんど変化せず、耐候性にも優れていることが確認された。これは、新規開発フィラー作成での透明性に関わる微粒子酸化セリウムの合成プロセス、および耐候性に関係するシリカ被覆のプロセスを液層中で完結させたこと、また、ETFEへのフィラー分散処理技術の開発によるところが大きい。
キーワード:ETFE、UVカット、耐候性、農業用フィルム、フィラー
籾摺機での玄米への放射性物質交差汚染を低減させるために、籾を使って籾摺機を循環運転し内部の清掃と残留物の排出を行ういわゆるとも洗いと籾摺機の分解清掃の2方式を実施し、それらの効果を検証した。
旧警戒区域にあって、被災後2年間使用していない現地の籾摺機を供試し試験を行った結果、籾摺機の分解清掃を行えば、玄米中への放射性セシウム(Cs)交差汚染は低減すると推定されたものの、籾摺機の汚染程度が低減効果に影響をおよぼすことが確認され、分解清掃したにもかかわらず籾摺り初期の玄米に基準値(100 Bq/kg)を上回る事例を4件中1件確認した。
一方、とも洗い(40 kgの籾を使って3分間循環運転し、全量排出後あらためて籾摺りする作業)を実施した籾摺機では、玄米の放射性Cs濃度が籾摺り初期でも基準値を大きく下回った。また、籾摺機の汚染程度にかかわらず同様な結果となり、とも洗いは簡単で有効な手段であることが確認された。しかしながら、とも洗い後の機内残留物については依然として放射性Cs濃度が高いため、とも洗い後に通常の清掃もあわせて行い残留物を取り除くことで、交差汚染の低減につながることが確認された。
キーワード:とも洗い、分解清掃、放射性セシウム、交差汚染、籾、籾摺機、除染