学会長挨拶

農業施設学会会長

 このたび2017年度から2年間、本学会長を務めさせていただくこととなりました。非力ではございますが、皆様からのご支援・ご協力をいただきながら、2020年度の学会創立50周年を無事に迎えることができますよう、精一杯務めさせていただく所存にございます。
 さて、会長就任を機に改めて本学会の目的や理念、研究活動範囲などを精読し、その広大さ、奥深さ、そして意義や役割などを再確認いたしました。しかしこれらの特徴や魅力が十分に伝わっていないためか、近年の会勢の推移は400名のラインに留まっております。学会は、会員≒研究者の利益を第一義に活動を行っておりますので、どうしてもクローズな場に見られがちです。しかし当学会が従来から提唱している「現場主義」をこれからも標榜し、多くの関係者とこれを実現していこうとするならば、本学会を今まで以上に外に対してアピールすることが必要だと思います。
 そのための方策としてまず挙げられるのが学会の国際化です。大学をはじめとする高等教育機関ではすでに18万人を超える海外からの留学生(2014年度)を受け入れて教育研究を行っています。また農業の現場でも2.2万人(2014年度)に及ぶ外国人研修生・技能実習生がその経営に必要不可欠な存在となっております。さらに彼らの出身国に出かけてみれば、当学会の研究成果を活かせる農林業の現場を数多く目にすることができます。従いまして、彼ら外国人が入会しやすい、また帰国後もその資格維持が容易であるような柔軟かつ魅力ある国際メンバーシップの創設が急がれます。
 国際化といえば、世界的規模で懸念される異常気象に対する研究強化が第二の方策です。ICPPのシナリオシミュレーションによれば、更なる深刻な事態を避けるためには2050年までに2010年比で40~70 %の温室効果ガス(GHG)排出量の削減が求められています。農業の現場でもこれに対応することが喫緊の課題ですので、例えばGHG削減&温暖化影響の緩和という一点集中型のテーマで学会内にプロジェクトを立ち上げるのはどうでしょうか? また中国やインド、ロシアなどGHG排出大国の関連学会に特別会員になっていただくなどして、この分野の研究交流を強化するのも一案です。
 第三の方策として少子高齢化を見据えた学会の門戸開放も提案させてください。農業高校などで温室や畜舎、米麦施設を勉強している生徒が相当数いると思われます。また近年ではその半数近くが女子(2015年度)であるとの報告もあり、女子生徒の農業系高校への進学人気が高まっているとのことです。これらの生徒が農業施設学に関連する学習に興味を持ってもらえるよう、学会活動に参加する枠組みを作れないものでしょうか? またこれについてはシルバー世代(小生も予備軍です)会員にもご協力をいただければ、諸先達方の知見が確実に継承され、学会発展の更なる基盤になると確信しております。
 以上、当方の勝手な提案にて紙面を空費してしまった感もございますが、農業施設学会をさらにアピールする三つの方策のキーワードが、「国際化」「地球温暖化」「少子高齢化」です。当学会の運営につきましては、先日の学会大会の折、参与の皆様から貴重なご助言をいただいたところではございますが、今後は一般会員等の皆様からも学会発展のためのアイデアやご意見をお寄せいただけましたら幸甚でございます。当方、学生会員として入会して以来34年に及ぶ長い付き合いですが、本学会には比較的自由に失敗覚悟で何でもチャレンジできる「機能空間」があるように感じております。日本学術会議が定義する農業工学のミッション達成にも寄与できる学会として存在価値を高められるよう、今後ともどうぞよろしくお願いします。
 なお、小職近影は山口智治会員のご息女畠山薫デザイナーよりご提供いただきました。記して謝意を表します。

2017年11月 農業施設学会会長 北村 豊

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