発表要旨(2018年学生・若手研究発表会)

  • P-01
  • 液状食品の品質評価に適した圧電粘度計の設計
  • ○安立隆陽・水谷孝一・若槻尚斗・海老原格(筑波大)

 液状食品の品質を評価する指標の一つとして粘度が利用されている。振動式粘度計では10 mL程度の少量の試料を測定可能であるが針状や薄板状のプローブを使用することから破損しやすい。そこで、針状や薄板状のプローブを使わない振動式粘度計として、容器底面に圧電振動子を埋め込み、圧電振動子の振動特性を解析することで粘度を推定する新しい粘度計を提案している。提案する粘度計の測定精度を検証するために、とろみ調整剤を水と混合した試料を用意し、粘度の測定精度を検証した。その結果、168-917 (mPa・s) の範囲で精度よく測定することができた。

ページトップへ

  • P-02
  • ホップ添加タイミングの違いが麦汁の香気および苦味に与える影響
  • ○田中都・齋藤高弘・田村匡嗣・井上大悟(宇都宮大)

 ビールの風味はホップの苦味と香りに由来する。ホップは醸造工程中の煮沸、ワールプール、発酵、貯酒段階で複数回添加され、その添加タイミングは醸造家の経験則に依存する。そのため、現場では醸造家が想定したビールの風味と醸造後のビールの風味に相違が生じ易く、問題視されている。そこで本研究では煮沸およびワールプール工程におけるホップ添加タイミングの違いが香気および苦味成分に与える影響を解明することを目的とした。4.0 g/Lのホップを添加した麦汁を150分間煮沸させ、ホップを煮沸開始後60、90、140分に添加した。麦汁に付与された香気では、煮沸開始後140分にホップを添加したものがホップ香の指標であるLinaloolを最も多く含んだ。

ページトップへ

  • P-03
  • 外果皮を含めた温州ミカン加工の検討
  • ○小野綾美・北村豊・粉川美踏(筑波大)

 温州ミカンの外果皮には抗酸化作用や抗がん作用を持つβ-クリプトキサンチンやクマリン化合物等の機能性成分が果肉以上に多く含まれている。しかし、栽培・加工段階において外果皮は残渣として廃棄され、その活用例はあまり見当たらない。湿式石臼粉砕機及び減圧噴霧乾燥機による加工は、熱ストレスの影響が少ないことから、熱感受性の高い成分を保持した外果皮の食材化を可能にすると期待される。そこで本研究では、温州ミカンを外果皮ごとスラリ化・粉末化し、その物理化学特性や機能性成分への影響を明らかにすることで、低利用資源の有効活用の可能性を探ることを目的とした。

ページトップへ

  • P-04
  • 音響・映像信号処理を用いるコナジラミ類の位置推定に関する検討
  • ○有働隼人・中林大樹・西島也寸彦・水谷孝一・海老原格・若槻尚斗(筑波大)・宇賀博之(埼玉県農技研セ)・久保田健嗣(農研機構 中央農研)

 コナジラミ類は大きさ1~2 (mm) 程度の農業害虫で、トマト黄化葉巻病をはじめとするウイルス性の植物病を媒介することで知られている。コナジラミは他の個体と、音を用いたコミュニケーションを取ることが知られているが、コナジラミ類の音響活動に関する詳しい生態は、その大きさから未だ解明されていない。コナジラミ類の生態に関する更なる知見を得るためには、コナジラミの発する音と、コナジラミ類の行動の両方をモニタリングし、その生態を定量的に評価することが求められる。本研究では画像処理と音響信号処理の両方から得られる位置情報を用いて、音を発しているコナジラミ個体の位置を同定するシステムを提案し、その精度の検証を行った。

ページトップへ

  • P-05
  • 永久磁石を用いた畜産廃水からのテトラサイクリン系抗生物質の磁気濃縮分離
  • ○石堂一樹・井原一高・吉田弦・豊田淨彦(神戸大)・酒井保藏(宇都宮大)・梅津一孝(帯畜大)

 畜産業において家畜の疾病治療・成長促進を目的として抗生物質が使用されている。投与後、代謝分解されなかった抗生物質は家畜糞尿に残留し、水環境から畜産業由来と推定される抗生物質が検出されている。本研究では、永久磁石を用いて畜産廃水からの抗生物質除去のために磁気濃縮分離を検討した。電気化学磁気シーディング法によって磁性を付与したテトラサイクリン系抗生物質の分離を試みた。磁気フィルタとして直径2.38 mmのSUS440C球を使用し、0.6 Tの磁場を印加した場合に、最も高い抗生物質の除去が得られた。SUS440C球は飽和磁化が高いことから磁場勾配が拡大し、濃縮性能を向上させたと考えられる。

ページトップへ

  • P-06
  • 米粉の特性が米粉と米ゲルのパンに与える影響
  • ○宮永史香・粉川美踏・北村豊(筑波大)

 本研究では、粒状の高アミロース米に水を加えて炊飯・糊化させた後、高速せん断攪拌によりゲル状にした米ゲルを用い、米粉と合わせてグルテンフリーパンを作製した。米粉の物理・化学特性が米粉と米ゲルのパンの特性に与える影響を解明することを目的とし、原料米(玄米、精白米、もち米)や製粉方法(気流式粉砕、胴搗式粉砕)が異なる7種類の米粉を使用した。米粉のアミロース含量、デンプン損傷度、粒度分布とパンの比容積、硬さとの相関を調べた結果、デンプン損傷度と比容積、d90径と硬さに相関があることが分かった。デンプン損傷度が低く、大きな粒が少ない米粉を使用することで、膨らみがよく柔らかいパンができると考えられる。

ページトップへ

  • P-07
  • タバココナジラミの発生音を利用したバイオタイプ識別に関する基礎的検討
  • ○中林大樹・水谷孝一・海老原格・若槻尚斗(筑波大)・宇賀博之(埼玉県農技研セ)・久保田健嗣(農研機構 中央農研)・石井雅久(農研機構 農村工学部門)

 農業害虫であるタバココナジラミは、バイオタイプ(遺伝子型)に応じて、有効な化学農薬が異なる。従って、タバココナジラミを効果的に防除するためには、バイオタイプの迅速な識別が必要である。本発表では、タバココナジラミが、バイオタイプ毎に異なる発生音を有している事実に着目し、発生音を利用した音響的なバイオタイプ識別手法を提案し、その性能を評価する。世界各国に分布しているバイオタイプBおよびQ2について、その発生音データを取得するとともに、音響信号処理に基づき、バイオタイプの識別を行った。その結果、提案手法は、5分間の録音データがあれば、92 %の精度でバイオタイプの識別が可能であることが明らかになった。

ページトップへ

  • P-08
  • 蛍光指紋によるコーヒー未熟豆の選別
  • ○高橋怜・粉川美踏・北村豊(筑波大)

 市場に出回るコーヒー豆には、正常豆中に約20 %の欠点豆(虫食い豆、カビ豆、発酵豆、未熟豆等)が混在しているといわれている。中でも未熟豆は、渋みや苦み、生臭さの原因となり、コーヒー飲料の品質低下を及ぼす。本研究では、手選別やカラーソーターに代わる新たな選別方法として、試料の蛍光特性を網羅的に計測できる蛍光指紋技術を利用した。コーヒー豆には、クロロゲン酸、カフェイン、カフェ酸、トリプトファン等の蛍光物質が含まれており、これらの成分の含量の違いが蛍光指紋のパターンに表れる。蛍光指紋データに対して主成分分析やPLS判別分析等の多変量解析を用いることにより、未熟豆と正常豆の非破壊的選別が可能となった。

ページトップへ

  • P-09
  • 米ゲルと米粉によるグルテンフリーパンの開発及び特性解明
  • ○中野明日香・粉川美踏・北村豊(筑波大)

 小麦由来のタンパク質であるグルテンは製パン時の膨化機構の要となっている。グルテンを添加せずに米粉パンを作製すると膨らみや食感が劣る。そこで、グルテンの代替として「米ゲル」を用いた米由来のパンを作製した。「米ゲル」とは、炊飯米を高速せん断撹拌したゲル状食素材であり、パン生地に加えることによって適度な粘弾性を付与できる。本研究では、米ゲルの物性と製パン時に添加する水分量を変え、異なる条件の生地を作製した。各生地が発酵・焼成での温度変化においてどのような物性を示すのかを検討するために生地の動的粘弾性を測定した。生地状態とパンの出来上がりの関係性を探り、最適な製造条件を解明することを目標としている。

ページトップへ

  • P-10
  • pH制御電気化学磁気シーディングによる畜産廃水からの抗生物質の磁気分離
  • ○岩崎光一郎・井原一高・吉田弦・豊田淨彦(神戸大)・梅津一孝(帯畜大)

 畜産業において、抗生物質は家畜の疾病治療および成長促進を目的として使用されている。投与後の抗生物質は畜産廃水を通じて水環境に拡散し、薬剤耐性菌の出現の原因となり得ることから、抗生物質の除去技術が必要である。そこで、除去技術として磁気分離に着目した。抗生物質は非磁性のため、磁気分離前に磁性を付与する必要がある。本研究では、電気化学凝集反応を用いた磁気シーディング法を適用した。電気化学凝集は、反応中において溶液pHが上昇することから、抗生物質除去率向上のために溶液pHの制御を試みた。電気化学磁気シーディングにおいて溶液pHを制御したところ、テトラサイクリン系抗生物質の除去率が大幅に改善された。

ページトップへ

  • P-11
  • in vitro人工消化過程におけるカンキツ果皮粉末浸漬液の抗酸化性変化
  • ○蔡一鏑・小川幸春(千葉大)

 植物性食品の糖質消化性は、細胞壁など植物細胞の構造と関係することが判明している。同様に、植物に含まれる抗酸化物質の消化性も細胞構造に関係することが類推される。本研究では、カンキツ果皮のフラベド層を切削、凍結乾燥、粉砕して得られた異なる粒度分布の粉末を構造の異なる植物組織モデルとみなし、in vitroでの人工消化過程における抗酸化性変化を測定した。その結果、粉末粒子径の増加とともに消化中の浸漬溶媒の抗酸化性は減少した。したがって消化中の抗酸化挙動も植物組織の構造と関係することが明らかとなった。

ページトップへ

  • P-12
  • 豚インフルエンザに感染した豚群において観測された音響イベント
  • ○味藤未冴来・川岸卓司・門井悠・水谷孝一・善甫啓一・若槻尚斗(筑波大)・竹前喜洋・西藤岳彦(農研機構 動物衛生部門)

 豚の呼吸器感染症は、ひとたび感染が発覚すると、全頭処分など、養豚農家に甚大な被害を与える。豚は呼吸器感染症に感染すると、くしゃみ回数が増加することが報告されている。しかしながら、くしゃみ音判別のためには実験環境においてどのような音響イベントがあるか調査する必要がある。本稿では、(国研)農研機構 動物衛生研究部門において、呼吸器感染症のひとつである豚インフルエンザに感染した豚群の動画像を測定し、その内容を解析した。その結果、くしゃみや鳴き声、金属製の餌箱をゆする音、実験環境に張られたビニールを剥がす音などが観測された。

ページトップへ

  • P-13
  • 動画像を用いた豚の飲水及び食餌行動のモニタリングに関する基礎的検討
  • ○佐藤拓弥・味藤未冴来・川岸卓司・水谷孝一・善甫啓一・若槻尚斗(筑波大)・竹前喜洋・西藤岳彦(農研機構 動物衛生部門)

 豚の呼吸器感染症は豚呼吸器複合病の要因の一つとされ、症状指標として元気消失、食欲不振、発熱などが報告されている。そこで、作業者による健康診断及び直接的な行動観察が行われているが、連続的、継続的な観察は容易ではないことから、動画像情報に基づく自動的な健康管理が必要である。そこで、本稿では、画像処理を用いて、動画像から豚の飲水及び食餌行動を検出するモニタリングシステムを構築した。(国研)農研機構動物衛生研究部門において、豚インフルエンザの感染実験を行い、本システムを用いたモニタリングを実施した結果、飲水及び食餌行動の検出に成功した。一方、頭部と尻尾の誤判別など、改善すべき点も明らかになった。

ページトップへ

  • P-14
  • コーヒー滓のペレット化に関する研究
  • ○知名孝明・北村豊・粉川美踏(筑波大)

 我々にとって、身近な嗜好品の一つにコーヒーがあげられる。コーヒー豆は石油に次ぐ世界第二位の貿易額があり、日本でも年間45万トン以上が消費されている。抽出後のコーヒー滓には特に利用法もなく、ほとんど廃棄されているのが現状である。また、コーヒー豆由来の油脂分も含めて考えると、その発熱量は23.0 MJ/kg以上と、市販の木質ペレットの1.2倍から1.4倍ともいわれており、バイオマス燃料としての利用価値は高いと考えられる。しかし、排出された形態のままでは、燃料としての有効利用は望めない。そこで、コーヒー滓を原料とするペレットの作製方法を考案し、その成型条件を模索することを目的とする。

ページトップへ

  • P-15
  • 自動セグメンテーションによる植物の葉面積、葉傾斜角の推定
  • ○板倉健太・細井文樹(東京大)

 施設園芸における生育モニタリング過程では、葉面積や角度、草丈などの植物の形態情報を取得する必要があるが、それらの取得は多大な労力を要する。そこで近年、3次元センサーや立体写真測量の技術を用いた植物の計測が行われてきた。しかし、それらのデータから形態情報を自動で取得することが必要だが、3次元画像上で植物を構成する数十万点もの点群の自動認識・解析は非常に困難とされてきた。そこで本研究では3次元画像上の植物の葉を自動で分け、それぞれの葉の面積・角度の自動予測を行った。その結果、植物の各葉を自動で分離することができ、葉の重要な形態情報である葉面積、葉傾斜角を高精度に予測することができた。

ページトップへ

  • P-16
  • 近赤外線の照射処理がカット野菜の保蔵性に及ぼす影響
  • ○小林航汰・滝口祥春・小川幸春(千葉大)

 少人数世帯や共働き世帯の増加といった家族構成、ライフスタイルの変化から、より手軽なカット野菜の需要が拡大している。カット野菜に対する消費者の購入意識は、価格や安全性のみならず品質なども重視される。このため、高品質化に対する要求は継続的に高まると考えられる。最近、近赤外線の照射による収穫後野菜の蒸散作用抑制効果が報告された。原理的に不明な点が多いものの、近赤外線の照射処理による野菜の品質保持効果は確認されている。カット野菜に対しても同様の効果を見出すことができれば、品質を維持したまま保蔵性を高めることを期待できる。本研究では、近赤外線の照射処理がカット野菜の品質に及ぼす影響について報告する。

ページトップへ

  • P-17
  • 製茶工程が茶葉の特性に及ぼす影響
  • ○Qin WEI(千葉大)・山田龍太郎・荒木琢也(農研機構 果樹茶業部門)・小川幸春(千葉大)

 茶は日常的に飲用されている飲料の一つであるが、歴史的には薬用として利用されてきた。実際、茶葉にはビタミン類、ミネラル、カテキン類、カフェインなど機能性の栄養成分が多く含まれる。それら成分は、煎じた後の飲料中にも溶出して健康機能に関わる様々な効能を有する。日本茶(緑茶)の場合、乾燥茶葉を得るために蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥の6段階の製造工程を経る。その間の処理条件によっては茶葉組織に損傷を生じ、茶葉製品としての品質に影響を及ぼす。同時に各種成分の溶出性にも関係する。本研究では、各製造工程における茶葉原料の微細構造変化や健康機能性に関わる成分の溶出程度などについて報告する。

ページトップへ

  • P-18
  • コナジラミの音響交信を阻害する制震ダンパーに関する基礎的検討
  • ○西島也寸彦・水谷孝一・海老原格・若槻尚斗(筑波大)・宇賀博之(埼玉県農技研セ)・久保田健嗣(農研機構 中央農研)・石井雅久(農研機構 農村工学部門)

 コナジラミ類は、ウリ科やナス科の植物に対してウイルスを媒介する、難防除害虫である。コナジラミ類による被害を抑制するためには、園芸施設内に侵入したコナジラミ類が交尾活動を通じて個体数を増殖させることを防ぐ必要がある。そして、コナジラミ類は、交尾前に音を用いて活発に交信を行っていることが報告されている。そこで、本稿では、コナジラミ類の交信を阻害する仕組みとして、コナジラミ類が寄生している植物の葉に、葉の震動を積極的に抑制する制震ダンパーを提案する。提案した制震ダンパーを利用したところ、コナジラミ類の音響交信を効果的に抑制できることが明らかになった。

ページトップへ

  • P-19
  • 自励発振型気柱プローブを用いる食パンの含水率推定
  • ○重野健太・水谷孝一・若槻尚斗・海老原格(筑波大)・安藤泰雅(農研機構 食品部門)

 食パンにおける食感は、味や香りと同様、食品のおいしさを決定づける重要な要素である。中でも食パンの食感を代表する「しっとりさ」は、含水率に関係があることが知られている。一方、既存の含水率計測手法は、試料の加熱乾燥が必要なため、商品自体の含水率のモニタリングには適さない。そこで、本研究では、食パンの含水率に応じて音波の反射・透過特性が異なるという仮説の下、自励発振型気柱プローブを用いて食パンの含水率を非破壊に計測する手法を検討した。実験の結果、食パンの含水率に応じて、気柱振動プローブの発振周波数が小さくなることを明らかにし、気柱プローブを用いて食パンの含水率が非破壊に推定できる可能性を見出した。

ページトップへ

  • P-20
  • 離乳豚舎におけるエアロゾル濃度と豚サペロウイルスを含めた空気中微生物濃度の関係
  • ○名出貴紀(東京農工大)・池口厚男(宇都宮大)・中久保亮(農研機構 畜産部門)・勝田賢・川嶌健司・宮崎綾子(農研機構 動物衛生部門)

 家畜のウイルス感染症は感染動物や汚染媒介物を介して農場に侵入するほか、エアロゾルを介して空気伝播する場合も指摘されている。ウイルスを含む微生物を媒介し、かつリアルタイムな測定が可能であるエアロゾル濃度を指標とした空気中ウイルスのリアルタイム濃度推定法の開発を目指し、エアロゾル濃度とウイルスを含む空気中微生物濃度の関係を調査した。粒径5.0-10.0 μmのエアロゾル濃度と一般生菌濃度に最も強い相関が見られた。一方、対象ウイルスとした豚サペロウイルス濃度とエアロゾル濃度には相関が見られなかった。しかし、粒径1.0-5.0 μmのエアロゾル濃度が106(個数/m3)以上の場合、豚サペロウイルスの検出率が高かった。

ページトップへ

  • P-21
  • ユーザー指向型建築物エネルギーモデルEnergyPlusの園芸施設への活用に向けて
  • ○土屋遼太・奥島里美・山口智治(農研機構 農村工学部門)

 園芸施設の熱環境予測は省エネ性と生産性の最適化のため重要である。これまで様々な熱環境予測モデルが開発されてきたが、一般建築物向けに開発された汎用的なモデルであるEnergyPlusを園芸施設の消費エネルギー評価に利用した事例が報告されている。本モデルは建築物のエネルギー消費と空調の最適化を目的とし、高い操作性やユーザー間でのデータ共有を特徴とする。しかし、園芸施設は本来このモデルが対象とする一般建築物とは構造的に大きく異なり、予測の信頼性については十分な検討が必要である。本研究では、単棟無加温パイプハウスにおいて、温湿度や各熱収支項目についてEnergyPlusでの予測値を観測値と比較し、本モデルの信頼性評価を行った。

ページトップへ

  • P-22
  • Rice Milk Fermentation for Lactic Acid Production as Paneer Coagulant
  • ○Rasool Khan AMINI, Mito KOKAWA and Yutaka KITAMURA (Univ. of Tsukuba)

 In this study fermented rice milk was used as a coagulant for a special kind of soft cheese (Paneer). Rice milk was produced by MWM (Micro wet milling) system. Prepared rice milk was gelatinized and pasteurized followed by saccharification and fermentation process. The fermented rice milk was used in different ratios at 10 %, 20 % and 30 % for paneer coagulant. Dairy whole milk was heated to 88 ℃ and cooled to 85 ℃ and then fermented rice milk was added as coagulant by different ratios. After coagulation, milk was rested for 10 minutes and the whey was drained with a muslin cloth. Paneer sample were cut in cubic shapes and were packaged in zip lock plastic bags and stored at refrigeration temperature for further analysis. The results showed fermented rice milk can be used successfully in Paneer making as coagulant. Key words: Fermented rice milk, Saccharification, MWM, Paneer

ページトップへ

    • P-23
    • 体積指標に基づくコーヒー豆焙煎過程のモニタリング
    • ○佐野祐士・大高佑介・水谷孝一・若槻尚斗・海老原格(筑波大)・安藤泰雅(農研機構 食品部門)

     コーヒー豆の焙煎は熟練者が焙煎時間や火力などを調整する方法が一般的である。この焙煎過程を自動化するためには、焙煎状態を定量的にモニタリングする手法の確立が望まれている。そこで、本研究ではコーヒー豆の体積を指標とする焙煎状態のモニタリングに挑戦する。焙煎時のコーヒー豆の体積と焙煎の深さとの関係を明らかにするため、コーヒー豆単粒を徐々に加熱しながら、体積および焙煎度を表す明度Lの関係を計測する実験を行った。その結果、明度Lは焙煎時のコーヒー豆の体積と相関を有しており、コーヒー豆の焙煎状態を豆の体積から計測できる可能性を見いだした。

    ページトップへ

    • P-24
    • 揚げ物調理中に発生する音の解析
    • ○寺部瑠維・水谷孝一・若槻尚斗・海老原格(筑波大)・安藤泰雅(農研機構 食品部門)

     高温の油の中で食材を加熱する揚げ物調理では、色、音などの状態を観察しながら最適なタイミングで調理を完了する必要がある。しかし、このタイミングの判断は人間の経験などに基づくものであり、定量的な指標が存在しているとは言いがたい。そこで、本研究では、揚げ物調理中に発生する音に着目し、音響的指標を用いて最適な調理完了タイミングを決定することを試みる。そこで、ジャガイモを試料とした揚げ物調理(加熱温度:140-180 ℃)を繰り返し行い、調理中に発生する音を収録し、解析を行った。その結果、調理中に発生する音は、調理時間・加熱温度に関わらず、周波数がヒトの可聴域上限付近(15-25 kHz)に分布していることを明らかにした。

    ページトップへ

    • P-25
    • 交信音と行動を同時に収録するコナジラミモニタリングシステムの構築
    • ○宮本隆典・西島也寸彦・中林大樹・水谷孝一・海老原格・若槻尚斗(筑波大)・宇賀博之(埼玉県農技研セ)・久保田健嗣(農研機構 中央農研)

     コナジラミ類は、幅広い種類の作物に対してウイルスを媒介する、世界的な重要害虫である。これまでにコナジラミ類が、音を用いて交信を行っていることが報告されているが、その交信音と行動の関係は十分に解明されたとは言いがたい。そこで、コナジラミ類をモニタリングする手段として、高感度マイクロホンとビデオカメラを用いて、コナジラミ類の発生音と行動を同時に収録するシステムを構築し、その有効性を実験により検証した。その結果、四種類の音響信号が収録され、ビデオカメラ情報との比較により、そのうちの一つはコナジラミ類の飛翔音であることが明らかとなった。

    ページトップへ