発表要旨(2001年度大会)

  • A-1
  • 酪農施設における中高齢者の作業負担に関する研究-藤沢市つなぎ飼い式牛舎を事例として-
  • 奥村隆志・川西啓文(日本大)・福重直輝(畜草研)・伊東一(日本大)

 つなぎ飼い式牛舎で働いている中高齢者の心拍数、呼吸量を測定した。その結果、糞を積んだ一輪車運搬、餌箱運搬のような動的筋作業、牛乳をバケットからバケツヘ、バケツからパルククーラーへ移す静的筋作業において心拍数が変化、呼吸量が増加していることから労働負担がかかっていると推測できた。

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  • A-2
  • 古電柱をリユースした畜舎施設の耐力確認実験
  • 小川秀雄(神奈川大)

 コンクリート古電柱及びスチール古電柱を畜舎柱材に利用した場合の古電柱への影響、方杖の取り付け方等を検討するために模擬フレーム実験を行った。水平力を載荷した実験結果をもとに、方杖と電柱の止め方は電柱の貫通穴にボルト止めした方法が最も確実であること、電柱のステップ用ネジを利用する方法も簡易な施工方法であること、巻きバンドで方杖を電柱に止め方を方法は移動が生じて確実性が無いこと等について考察している。

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  • A-3
  • 拡散天井面を有するウインドレス畜舎の舎内気流特性
  • 星典宏・山口智治(筑波大)

 拡散型天井およびスロット床を有するウインドレス畜舎を対象に、解析上困難なスロット床面・天井面の小孔の形状を境界条件として定義せず、実在しない仮想的なものとして扱う手法で数値シミュレーションを行った。これにより実際の施設形状に則した形で流れを三次元的に示すことを可能とした。また、流れの軌跡から換気ファンの出力、天井の小孔の配置など再考すべき点を明確にした。

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  • A-4
  • PIVを用いた無窓採卵鶏舎の換気構造の評価
  • 池口厚男(農研機構)・In-Bok Lee(農工研)・長谷川三喜・本田善文(畜草研)・奥島里美(農工研)・市来秀之(畜草研)

 無窓鶏舎内の浮遊粉塵・細菌を抑制する換気構造を見いだすため、PIVを用いた模型実験を行った。ケージ前面の渦度、ダウンフローを評価指標とすると、天井スロットでケージの通路側前面に吹き出しがあり、通路面中央に排気口が位置する場合が最も適切な気流分布を与えた。

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  • A-5
  • 簡易糞尿堆積法によるれき汁処理技術の開発
  • 吉田邦彦・木村義彰・高橋圭二(根釧農試)

 野積み糞尿からのれき汁流出による周辺環境汚染を防止するため、ブルーシートを土壌の下に埋設した簡易、低コストな堆肥盤を製作し、糞尿堆積試験を行った。排出されるれき汁は時間が経つにつれ色、臭いに変化が起こり、土壌中である程度分解が進行していることが示唆された。但し試験終了後、ブルーシート下の土壌で硝酸態窒素の著しい増加が見られたことから、埋設用シートには他の資材を用いる必要性が示された。

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  • A-6
  • 堆肥化実験装置の開発
  • 向弘之(北農研)

 側面を断熱した筒状の発酵槽を備えた堆肥化実験装置を開発した。装置の発酵槽は、実際の堆肥化での材料堆積高さと同等の高さで、上端が開放されている。底面からは外気が供給される。このため、材料の自重による下層部の圧縮、重力による水移動、通気空気の材料との熱や水分の交換や酸素消費、材料の温度分布や放熱条件が実際と同等になり、従来の実験装置に比べて、より実際の堆肥化に近い条件で、堆肥化実験を行うことができる。

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  • A-7
  • 低温下の堆肥化発酵促進のための通気制御と加熱
  • 向弘之(北農研)

 寒冷地の冬期間のような低温条件下での堆肥化では、材料の初期温度が0℃以上であれば、通気量を標準量より減ずることで、材料温度を昇温させることができる。凍結材料は、通気量の調節だけで材料を昇温させることはできず、材料への加熱が必要になる。無加熱、加熱条件とも、通気の供給側になる下層部は昇温しにくいが、上層部が高温の時に通気方向を吐出から吸気に反転することで、全層の材料を十分な高温に曝すことができる。

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  • A-8
  • 開放型吸引通気式堆肥発酵処理システムの開発-大気中への環境負荷物質揮散低減の可能性-
  • 福重直輝・阿部佳之・伊藤信雄(畜草研)

 吸引通気式堆肥発酵の大気中への環境負荷物質揮散低減の可能性について検討した。堆肥の水分、分解程度、窒素といった品質については堆肥化期間に切り返しを行うことで吸引通気式と圧送通気式の間に実用面での差異はなかった。吸引通気式は大気中への環境負荷物質の揮散を低減することができ、排気を硫酸などでトラップすることにより圧送通気式では大気中に放出していた環境負荷物質を捕集、資源化する可能性が示された。

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  • A-9
  • コンポストガスの生態系再利用システムに関する研究(第3報)-アンモニアの発生特性とその利用-
  • 加藤仁・東城清秀・渡邉兼五(東京農工大)

 本研究ではコンポスト化システムにおけるゼロエミッションの達成を目的としている。本報はコンポスト化プロセスでのアンモニアの発生特性とその利用に関して報告するものである。実験の結果、アンモニア発生特性は二酸化炭素の発生と関係しており、そのアンモニアを硝酸態窒素へ変換することにより、トマトの水耕栽培養液として有効利用できることが確認された。

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  • A-10
  • 家畜ふん尿スラリーの好気性処理
  • 青山英明(北海道大)・岡本英竜(酪農大)・松田從三(北海道大)

 間欠曝気法による乳牛糞尿スラリの分解特性を、8時間通風(通風量2m3/h·800Lスラリ)、12時間通風(2m3/h)、8時間通風(6m3/h)、連続通風(2m3/h)で比較した。連続1週間(曝気時間144時間)のスラリと12時間通風(2m3/h)9日間(108時間)のスラリはCOD、BOD、VS等の除去率が同程度であり、通風時間短縮の可能性が見られた。また両実験区のアンモニア挿散量は等しかった。

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  • A-11
  • スラリー処理の低コスト化に関する研究-吊り下げ式散気装置による好気性処理の提案-
  • 松本光司(O&R技研)・猫本健司(酪農大)

 2種類の散気装置(エアレーターとディフューザー)を用い、ブロアポンプにて家畜糞尿スラリーの好気性処理を行った。散気装置を「吊り下げ式」としたことにより、目詰まり時のメンテナンスが容易となった。これにより、従来の方法(エジェクターポンプ)に比べて、より低コストなスラリー処理が実現した。

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  • A-12
  • UASB発酵法による畜舎排水処理
  • 梅津一孝・大山卓英(帯畜大)

 本研究は、UASB発酵法による畜舎排水処理の有効性についてグラニュール量、排水濃度とCOD除去率の関係についてOleszkiewiczとSanchezらのモデルを援用し検討を行った。COD負荷が増加するに従い、分解COD当たりのメタンガス生成量は増加した。COD除去率はCOD負荷と投入COD濃度に依存し、分解COD当たりのメタンガス生成量とCOD除去率はグラニュール量の依存性が高いことが明らかとなった。

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  • A-13
  • 小型肥育牛舎の臭気について
  • 東城清秀(東京農工大)・安藤達男(神鋼アクテック)・中川信次・渡邉兼五・黒川勇三・鈴木創三・鎌田寿彦(東京農工大)

 農村集落内に位置する畜舎では、小規模でも臭気への対応が求められるようになってきた。臭気の発生源としては牛舎や糞尿処理施設があるが、発生源ごとに対策を講ずることは非効率で経済的負担も大きいので、家畜糞尿の処理施設を畜舎と併設して施設の共有化を図るとともに、施設から発生する臭気を集めて脱臭する方式について検討した。

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  • A-14
  • 寒冷地型ロックウール脱臭装置の開発
  • 道宗直昭・福森功・古山隆司・石川稔(生研機構)・上原喜四郎(松下環境空調エンジニアリング)・井上門明(ニチアス)

 寒冷地型ロックウール脱臭装置において、脱臭材料の乾燥防止のため水分補給として脱臭槽上部表面に1日に16~20L/m2程度の散水を行っている。排水には多量の窒素が含まれ外部へ流出していたが、その排水を散水用として循環使用することで外部への流出はほとんどなくなり、脱臭性能も良好に維持することできた。

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  • A-15
  • 牛床資材の種類と乳牛の利用状況
  • 高橋圭二・堂腰顕・吉田邦彦・木村義彰・大越安吾(根釧農試)

 牛床構造の違いが運動器疾患に及ぼす影響を明らかにするため、4種類の牛床資材について搾乳牛10頭とフリーストール牛床10床を用いて利用性を検討した。供試した牛床資材はオガクズのみ(8kg/床)の場合とゴムチップマットレス、厚手ゴムマット、およびウォータベッドである。牛床の利用性として乳牛行動解析と牛床横臥率について検討した。

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  • A-16
  • フリーストール牛舎でのふん尿搬出法の検討
  • 長谷川三喜・本田善文(畜草研)・池口厚男(農研機構本部)

 牛舎内でのふんと尿の滞留時間を短くしこれらの混合が起こらないように舎外に搬出することは、舎内環境の改善と堆肥化施設等のふん尿処理施設の効率的利用に資すと考えられる。本年度は、多回搾乳と多回給飼を行い、搾乳ロボットを併設したフリーストール牛舎での搾乳牛の排糞行動について調査した。給与回数増加による時間あたり排糞量の平準化傾向は見られなかった。

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  • A-17
  • 畑作と酪農の生産システムに関する総合的比較-十勝管内S町における予備調査結果について-
  • 田村悠子・干場信司・河上博美・森田茂・猫本健司(酪農大)・野田哲治(JA浜中町)

 畑酪混合型地帯の十勝管内S町の畑作農家5軒を対象にし、経済性、エネルギー、窒素負荷、人間の満足感の4指標で評価を行い、同町の酪農家と比較した。その結果、畑作農家と酪農家問における堆肥と麦稈の相互利用が両農家の窒素負荷に大きく影響していた。

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  • A-18
  • 資源循環を基本とする乳牛の群飼養管理における物質循環の解明
  • 張建国・加茂幹男・河本英憲・青木康浩(畜草研)

 フリーストール実験牛舎と糞尿還元専用圃場を用い、酪農生産における窒素(N)循環の実態を調査した。年間平均34頭の搾乳牛群の摂取した5623kgNのうち53.4%が糞尿として排泄され、23.2%が生乳として生産された。排泄した糞尿Nの81.5%が11.6haの飼料畑に還元され、飼料Nとして1818kgが生産された。

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  • A-19
  • 三次元豚体形状に基づいた肥育豚の全方位放射伝熱形態係数
  • 蓑輪雅好(香川大)

 天井面、側面壁および床面に対して豚がその場で1回転したときの形態係数を全方位形態係数と称し、体重が27、65、88kgである豚の立位におけるサーフェスモデルを用いて数理解析的に解明した。豚体中心から1.5m以上離れた側面壁と0.5m以上離れた天井面に対する全方位形態係数は豚体の大きさによる差異が小さく、球要素形態係数と大差なかった。

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  • A-20
  • 畜舎施設における設計用積雪荷重について その1
  • 中村祐一郎(北海道工大)・小林敏道(日江金属)・干場信司(酪農大)・千葉隆弘(日江金属)・苫米地司(北海道工大)

 本研究は、畜舎施設における設計用積雪荷重の評価方法の確立と建設コストの緩和を目的に、屋根葺材の滑雪特性と設計用積雪荷重との関係について検討したものである。その結果、多雪地域において畜舎施設を建設する場合は、屋根葺材の滑雪特性と屋根勾配を指標とした設計用積雪荷重の評価方法も建設コストの緩和に有効であることが明らかとなった。

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  • A-21
  • 畜舎施設における設計用積雪荷重について その2
  • 小林敏道(日江金属)・中村祐一郎(北海道工大)・干場信司(酪農大)・千葉隆弘(日江金属)・苫米地司(北海道工大)

 畜舎施設に用いられる塗装鋼板の劣化に起因する滑雪性の低下を考慮した積雪荷重評価を検討するため、既存畜舎に劣化を想定した塗装鋼板を施工して滑雪状況を観測した。屋根葺材に塗装鋼板を用いる場合は、安定した滑雪性を確保するため、屋根葺材をメンテナンスする必要があることが明らかとなった。

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  • A-22
  • 畜舎施設における屋根雪の滑落特性について
  • 内藤恵(北海道工大)・小林敏道(日江金属)・干場信司(酪農大)・千葉隆弘(日江金属)・苫米地司(北海道工大)

 畜舎建築物の滑落雪現象と温度指標との関わりを明らかにするため、ビデオ観察と同時に畜舎各部温度を測定したものである。その結果、滑落雪現象は、外気温もしくは屋根葺材裏面温度が0℃以上の場合で顕著に発生していることが観測できた。このことから、外気温または屋根葺材裏面温度を指標とすることで、屋根雪の滑落雪現象の発生に要する期間を予測することが可能である。

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  • A-23
  • 積雪地域における鋼製堆肥舎の提案
  • 千葉隆弘・小林敏道(日江金属)・干場信司(酪農大)・苫米地司(北海道工大)

 本研究は、積雪地域に建設可能な低コスト堆肥舎を確立することを目的に行った。厚さ1.2mmの折板を門型に加工し、この試験体を対象に鉛直・水平載荷実験を行った。その結果、折板を門型に加工した構造物は、間口6,000mm高さ4,000mmの場合で積雪荷重3.5kN/m2に耐え、北海道で規定されている積雪荷重に十分対応できることが明らかとなった。

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  • A-24
  • 酪農飼育施設における蓄冷熱システムの利用
  • 長谷川三喜・本田善文(畜草研)・池口厚男(農研機構)・村野實・加川征宏(シオン電機)・吉野蔵弘(ピュアライン)

 畜舎ストール牛床に配管を行い、畜冷熱システムで生成した冷水を循環させて乳牛周辺環境を改善することに着目した。床面冷却装置とファンコイルを用いた局所冷(温)風装置を試作し、この利用条件を検討するとともに、乳牛を使用してその利用性を把握する。冷水循環により床マット表面温度は気温に対して4-6℃低温となった。

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  • A-25
  • 個別酪農家用バイオガスプラントのエネルギー的評価
  • 菱沼竜男・干場信司・森田茂・岡本全弘(酪農大)・塚田芳久(竹中工務店)・天野徹(グリーンプラン)

 個別農家用バイオガスプラントの建設から運転までのエネルギー収支を総合的に比較検討した。総投入化石エネルギーと総産出エネルギーが釣り合うには、電気、熱のみの場合は7年間、消化液の肥料としての有効利用も考慮した場合は3年間の運転年数が必要であった。

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  • A-26
  • 個別酪農家用バイオガスプラントの経済的評価
  • 干場信司・菱沼竜男・森田茂・岡本全弘(酪農大)・塚田芳久(竹中工務店)・天野徹(グリーンプラン)

 個別農家用バイオガスプラントの建設から運転における総合的経済収支を推定し、経済的設立要件を検討した。消化液の肥料としての有効利用が行えるという前提条件の下で、初期投資金額、売電単価に改善措置が考慮された場合にのみ経済的に成立することがわかった。

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  • A-27
  • 畜舎内粉塵からのアンモニアの離脱
  • 猫本健司(酪農大)・高井久光・P. J. Dahl(DanishInst. Agri. Sci.)・平田園恵・岡本英竜・森田茂・干場信司(酪農大)

 鶏舎・豚舎および牛舎において粉塵を採取し、粉塵に含まれるアンモニア量と、その離脱速度を調査した。畜舎内の浮遊粉塵は呼吸を介してアンモニアを生体内に運び、悪影響を及ぼす可能性があることが示唆された。畜舎において粉塵の発生を抑制し、除去することは、臭気軽減や空気環境の向上に重要な要素である。

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  • B-1
  • 籾殻混合乾燥の乾燥特性
  • 西山喜雄・星光二郎(岩手大)

 籾殻混合乾燥法は籾殻乾燥が高温小風量で行えるので、原理的に高効率乾燥法であるが、実際には乾燥効率は高くない。この原因を調べるため、籾、小麦の籾殻混合乾燥モデル実験を行い、混合乾燥特性を求めた。また、球乾燥モデルで混合乾燥特性を計算し、よい適合性が得られた。この乾燥モデルなどを使ったシミュレーションによって、籾殻乾燥を交差流乾燥から向流乾燥に変えると70%近く乾繰効率が向上できることがわかった。

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  • B-2
  • Estimation and Analysis of Grain Intermittent Drying by the Sphere Drying Model
  • Cao Wei, Yoshio Nishiyama(Iwate Univ.)

 小麦(東北206)、籾(L201、長粒種)を使って間断乾燥実験を行い、休止中の穀物温度を変えてリフレッシ効果への影響を調べ、同時に球乾燥モデルで休止温度の乾燥定数を使って計算した。休止中の温度が高い程水分移動定数(乾妓定数)が大きく、リフレッシ効果が大きくなった。また、計算値と実験値は非常によく一致した。

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  • B-3
  • Thermodynamic Analysis of Condensation and Dewformation in Rough Rice during Storage
  • Atungulu Griffiths, Yoshio Nishiyama(Iwate Univ.)

 長粒種籾(L201)を使い穀粒初期温度および周囲空気状態(温度・湿度)を変えて、穀粒への凝縮量(吸着および結露)を測定した。この結果と湿り空気と穀粒間の熱力学的関係からの計算結果と比較しよい一致を得た。この計算法により凝縮量を推定することが可能である。

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  • B-4
  • 特徴点抽出画像処理による玄米の品種判別と異種穀粒などの判別
  • 森嶋博・冨田節雄(日本大)・坂井直樹(筑波大)・武田恭明(日本大)・郭康権(西北農科技大)

 専用画像処理装置により周縁画像を等価円半径で割り正規化位置決めの後、Arc Distance Ratioや曲率なとで全周を変換写像し特徴あるパタンを得た。基本画像を複数枚重ね品種内変動を消去し上記方法で変換写像し、比較的少ない粒数で品種固有のパタンに収束させ品種の識別を可能とした。被害粒・異種穀粒の判別は容易である。

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  • B-5
  • 顕微近赤外分光分析法による穀物の内部成分情報の可視化
  • 小山良・工藤謙一・樋口俊郎(東京大)

 玄米の三次元内部成分情報を得るために、これを薄切しXYステージを用いて透過型近赤外分光でマッピング分析した。適当な厚さの連続する薄切片を作製し、その全てより2次元成分分布像を得、それを元に三次元像を構築した。

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  • B-6
  • 穀物表面の赤外線瞬間殺菌に関する研究
  • 濱中大介・内野敏剛・胡文忠・安永円理子(九州大)

 原料穀物付着微生物の殺菌を目的として、生理食塩水に懸濁したカビ胞子及び細菌胞子に対して赤外線照射行った。カビ胞子に対して有効な殺菌効果を示したものの、細菌胞子に対しては、ほとんど殺菌効果は認められなかった。生理食塩水が保護剤として働き、赤外線の直接加熱効果を妨げたことにより、致死温度の高い耐熱性細菌胞子の殺菌率が低下したと考えられた。

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  • B-7
  • 中国産米の理化学特性および食味に関する研究
  • 劉建偉(四川工業学院)・三輪精博・後藤清和(岐阜大)

 主に中国・四川省産ハイブリッド米について理化学特性、官能評価および食味計による食味評価の試験を行い、日本の食味検査方法の中国産米への適合性を検討した。食味計による水分と粗蛋白質含量の測定精度は高く、アミロースと脂肪酸度は低いことがわかった。また炊飯型食味計による食味評価値は、官能試験の値とよく一致する結果を得た。理化学特性と食味との関連も検討した。

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  • B-8
  • 米の貯蔵条件と糊化特性の関係について
  • Nguyen Quoc Tuan・後藤清和・三輪精博(岐阜大)

 Using RVA Amylograph Viscosity properties of Hatsushimo rice stored in different conditions of temp. and MC are measured during storage. Analysis of data shows that “Aging” is very complex process and influenced by individual storage parameters as well as their interactions.

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  • B-9
  • インペラ籾すり機の脱ぷ機構に関する研究
  • 三輪精博・後藤清和・林丈樹(岐阜大)

 乾繰エネルギや容積効率の高い玄米乾燥を実用化するためには高水分籾の脱ぷが不可欠である。本研究では、一般的に普及しているロール式籾すり機では不可能な高水分籾の脱ぷが可能であるインペラ式籾すり機について、水分別、脱ぷファンの回転速度別に脱ぷ率、脱ぷ後の玄米の品質について調査した。また、圧力測定フィルム、高速度ビデオカメラを用いて、脱ぷ室内における籾粒の挙動を解析した。

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  • B-10
  • ポット栽培用鉢上げシステム開発-鉢上げ機について-
  • 金承煕・李公仁(韓国農業機械化研)

 ポット栽培での移植作業の省力化を目的に鉢上げ機を試作し、ポット供給、養土充填、移植の一貫システムについて性能試験を行った。その結果、1時間当りの作業性能は1,200株となり、手作業に比べて79%の努力節減の効果があった。また、全体の移植率は96%となり、高い精度の試作機が得ることができた。

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  • B-11
  • ポット栽培用鉢上げシステム開発-ポット供給及び養土充填装置について-
  • 李公仁・金承煕(韓国農業機械化研)

 ポット栽培での重労働からの解放と生産量の増加等を目的にポット供給及び養土充填装置を開発し、その性能を検討した結果、ポットの供給率においては把持式が吸引式に比べ約18%も高くなることが明らかとなった。また、ポットの大きさ別養土充填量では変動係数が1.0~3.4%となってその差は大きくなかった。一貫作業性能は1,200個/時間となり、慣行作業と比ベ4.8倍の努力節減の効果が得られた。

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  • B-12
  • 養液栽培における備長炭等が葉菜の生育に及ぼす影響
  • 武永順次(前・東京農工大FSC)・浦田光雅(国際炭焼き協力会)

 養液栽培で備長炭等の白炭を養液タンクに約45日間浸漬して養液(EC値2.0ms/cm・液温20℃・7~8回/h)を循環すると水分子のクラスターが対照の水道水に比べて約17.5~24.5%に細分化することが認められた。養水分吸収の高まりでビタミン菜の草丈、実数および総生体重等の生育要素が対照に比べて増加する傾向が認められた。

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  • B-13
  • ハウス内メロン栽培における土壌水分制御に関する研究-篤農家の灌水ノウハウの抽出とファジィルール化-
  • 中野和弘・前田敏之・三河英明・元永佳孝(新潟大)

 ハウスメロン栽培をしている篤農家の灌水作業から灌水ノウハウを抽出し、生育ステージ別の土壌水分値の制御目標範囲を設定した。それに基づき、ファジィ推論による自動灌水システムの提案を行った。また、メロン果皮色の分光反射率データを用いて、糖度を推定する重回帰式モデルを作成した。

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  • B-14
  • 地中加温方式を利用した寒地ハウスの厳冬期におけるメロン栽培について
  • 後藤眞宏(北農研)・我妻正迪

 コジェネシステムからの排熱と電力を利用し、地中加温と補光による厳冬期間中のメロン栽培を試みた。排熱を利用した地中加温で、地表下10~20cmの安定した地温維持と加温に要する消費エネルギーの削減が可能であること、さらに電力による補光を加えることで、寡日照期間である1月からの栽培への可能性が示された。

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  • B-15
  • 音響的手法による温室内温度の非接触測定
  • 水谷孝一・内田智英・赤上晃通・永井啓之亮(筑波大)・奥島里美・佐瀬勘紀(農工研)

 音速が気温に比例することを利用する超音波温度計を作製し、自然換気時における約900m2のガラス温室の1/4領域の非接触温度測定を試みた。音の伝搬路に沿って設置した8個の熱電対による測定値と比較検討した結果、空気温度のみを測定できていることが確認できた。

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  • B-16
  • 積雪地帯における連棟ハウスの消雪法の開発(第1報)-連棟ハウス用消雪システムの熱利用効率-
  • 古野伸典(山形県園試)・川村啓造(山形県庁)・阿部清(農業研究研修センタ)

 温風吹き付け方式の消雪システムを試作し、その燃料消費量と熱利用効率を調査した。消雪システムで消費される燃料は全消費量の0.189であった。消雪システムの燃料消費量と降雪量から、消雪に関する熱利用効率を試算したところ、期間により0.42~1.19まで差が見られた。気象条件や降雪条件が関与していると思われる。

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  • B-17
  • 積雪地帯における連棟ハウスの消雪法の開発(第2報)-連棟ハウス用消雪システムにおける送風方式の比較評価-
  • 古野伸典(山形県立園試)・阿部清(農業研究研修センタ)

 温風吹き付け方式の消雪システムを試作し、屋根面への送風方式について比較評価を行った。1100mmと300mmのダクトを組合せ、温度勾配を抑えた改良ダブル区では送風方向に対して消雪能力の差が少なく良好だった。しかし、300mmのダクトで送風したダクト区に比較し消雪能力が低く、フィルムが2重になるため熱伝導率が低くなることが原因と思われた。

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  • B-18
  • 果樹用ハウスの柱-梁接合部が有する耐風強度の解析-
  • 森山英樹(農工研)

 果樹周ハウスの柱-梁接合部に使用されている接合金物をモデル化し、脆弱であると推測される部位について強度解析を行った。また接合部の模型に関する曲げ試験を行い、実際の破壊挙動を確認した。さらに骨組構造解析を行い、接合部に生じる曲げモーメントを求めた。以上の解析および試験から接合金物の変形・破壊部位を明らかにし、それらに対する簡易な改良方法を提案した。

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  • B-19
  • 平張型傾斜ハウス構造の力学的特性
  • 長﨑裕司・川嶋浩樹・野中瑞生・的場和弘・田中宏明・角川修・猪之奥康治・岡戸敦史(近中四農研)

 平張型傾斜ハウスの使用部材の強度試験や実物大のハウスを利用したけん引試験を行い、耐風性の観点で構造強化対策を検討した。自在クランプによる支柱と棟パイプの接合部分には方づえ補強が必要である。また、側面特に等高線方向については強風時の筋交い補強が不可欠であることが数値的に明らかになった。

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  • B-20
  • 農業施設内外における空気イオン(マイナスイオン)濃度の実態に関する研究
  • 鶴崎孝・Sunate Mongpraneet(愛媛大)・宮下佳生(松山赤十字病院)

 農業施設周辺の空気イオン(マイナス)濃度を測定した。マイナスイオンは「快適イオン」と言われ、人体に効用がある。マイナスイオンは夏期に多く、冬期に少なかった。園芸ハウス内では平均6000ions/cm3、外気に比べて約10倍多かった。カントリーエレベータでは500~1400ions/cm3、事務・操作室で比較的多かった。

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  • B-21
  • 近赤外線分光分析による水環境汚染因子の評価法
  • 杉浦則夫・張燕生・張振亜・前川孝昭(筑波大)

 水環境の栄養評価指数(TSI)を用いて霞ケ浦の観測データを基に栄養状態の定量化を行った。栄養状態に対応する藻類などの生物の変化をchl-aおよびShannon指数によって評価した。またNIR法を用いたアオコ現存量の分析方法を試みた。対象とする実際の池水のクロロフィル-a濃度範囲では重相関係数R=0.99、検量の標準偏差SEC=0.115、予測標準偏差SEP=0.13の結果が得られた。

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  • B-22
  • 近赤外分光法を用いた細胞アポトーシスの検出
  • 江村耕司・磯田博子(筑波大)・Roumiana Tsenkova(神戸大)・前川孝昭(筑波大)

 アポトーシスによるDNA断片化の検出を試み、アポトーシス誘導したヒト乳がん細胞のDNAを近赤外分光法により測定した。得られたスペクトルデータを主成分分析した結果、アポトーシス誘導した細胞のDNAを検出することができた。この結果より、DNAの挙動解析についてもNIR法が適用できる可能性が示された。

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  • B-23
  • 近赤外分光法を用いた食用担子菌由来β-グルカンの分析
  • 尹海清・磯田博子・杉浦則夫・前川孝昭(筑波大)

 近赤外分光法を用いてアガリクスの菌糸体の培養液中のβ-グルカンを測定することを検討した。β-グルカンの特異的吸収波長は、元スペクトル:1672、2094、2226、2284nmであった。この波長による検量線を作成した。その重相関係数はR=0.99、RMSEP=0.68であった。

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  • B-24
  • 食用担子菌類の液体培養による機能性食品の開発-菌糸収量に及ぼすバガス抽出液添加-
  • 院多本華夫・古山貴士・赤沢うた・磯田博子・杉浦則夫・前川孝昭(筑波大)

 ペプトン、酵母エキストラクト、マルトエキストラクト、ショ糖で作られた培養液に砂糖キビのバガス水抽出液を添加し、担子菌類菌糸を培養した。ATCC株、農林1号のAgaricus blazei Murill.キノコ、Chaetomium elatumとも25~29%の増収が認められた。

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  • B-25
  • バガスを添加した澱粉質生分解性プラスチックの試作
  • 陳野・張振亜・石川豊・前川孝昭(筑波大)

 バガスは苛性処理され、これをアセチル化澱粉とPCLに混合して、押出成形した。成形品の引張強度はバガスの添加量が15%までは増加に伴い高くなったが、水分吸収率は減少した。15%バガスを添加した試作品は汎用プラスチック容の代替として、生分解性食品容器や植木鉢、育苗ポット等を作製することが可能であることが示唆された。

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  • B-26
  • Modification Properties of Mungbean and Soy Protein Films
  • Wimolrat Cheappimolchai・院多本華夫・石川豊・前川孝昭(筑波大)

 緑豆及び大豆のタンパク質を基礎機材に澱粉を添加して作られたフィルムは引張強度及び耐水性が改善されたが、弾力性は低下した。一方、可望剤ではグリセロール系と比べてソルビトールの添加はフィルムの引張強度及び耐水性を強化させた。

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  • C-1
  • 夏期高温期における屋根開放型温室の温熱環境特性
  • 石井雅久・佐瀬勘紀・奥島里美・In-Bok Lee(農工研)・丸尾達・伊東正(千葉大)

 本実験には屋根開放型温室を3棟使用した。各温室の屋根は全開にし、遮光カーテンの閉じる割合を3水準設けた。温室内の日射量は、構造材や被覆材の影によって変化した。また、屋根を開放すると温室内の高温を抑制することができたが、遮光カーテンを閉じると高温を助長した。以上より、屋根開放型温室は従来の温室と比べて気象因子の変動が大きいことが示唆された。

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  • C-2
  • 省エネルギー型日光温室の熱環境形成機構に関する研究-熱環境予測モデルの開発とその検証-
  • 畔柳武司・山口智治(筑波大)

 中国在来の省エネルギー型作物栽培施設である日光温室について、作物栽培が行われていない状態の熱環境予測数学モデルを開発し、2000年3月の実測データを用いて壁熱流、室内気温などの検証を行った。室内気温の予測値と実測値は比較的良く一致したが、室内湿度の予測値は実測値より低めの数値を示しており、蒸発散量の算定法について改善の余地があることが判った。

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  • C-3
  • 省エネルギー型日光温室の熱環境形成機構に関する研究-厳寒期における現地測定結果-
  • 今井和美・畔柳武司・山口智治(筑波大)・陳青雲(中国農業大)

 冬季厳寒期、北京および長春において日光温室の環境計測を行った。北京温室では、夜間無加温で内外気温差約12℃を維持することを示した。一方、夜間外気温度-20℃の長春温室では、暖房炉が断続的に稼動しており、完全な無加温栽培を可能とするには、在来施設の構造改良の再検討が必要であることが示唆きれた。

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  • C-4
  • 中国の農業施設におけるパッドアンドファン冷房システムに関する研究-中国における利用事例について-
  • 趙淑梅・山口智治(筑波大)・馬承偉・李保明(中国農業大)

 水の蒸発冷却原理による気化冷房法の一つであるパッドアンドファンシステムは、1980年代に中国へ導入され、現在、中国の農業施設の主な冷房方式となっている。中国における導入事例を紹介し、2001年夏季、北京・上海市で実施した本システムに関する実験結果を報告する。

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  • C-5
  • キュウリの低温障害の早期検出について
  • 中村宣貴(食総研)・D. V. Sudhakar Rao(Indian Inst. of Hort. Res.)・石田信昭(食総研)・狩野広美(生物研)・椎名武夫(食総研)

 本研究ではキュウリの低温降雪の早期検出について検討を行った。その結果、呼吸速度および果実浸漬水の電気伝導率を測定することは低温障害の早期検出に有効であることが分かった。また、MRIによるイメージの測定は、貯蔵後の果肉には温度によって異なる変化が起こることを示した。

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  • C-6
  • 収穫後経過時間が青果物の呼吸反応特性に及ぼす影響
  • 前澤重禮・佐藤宏美・中野浩平(岐阜大)

 キュウリ、エダマメを用いて、呼吸速度の温度依存性、呼吸商の点から収穫後経過時間が呼吸反応機作に及ぼす影響を検討した。その結果、キュウリでは時間経過に関わらずアレニウスプロットに直線性が見られ、エダマメでは収穫直後に屈曲点が見られた。また、収穫後経過時間によって呼吸商はそれそれ異なる値を示した。以上より、収穫後経過時間は青果物の呼吸反応特性に影響を与えることが示唆された。

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  • C-7
  • 修正ガス環境下における貯蔵ブロッコリーの品質変化予測
  • 中野浩平・前澤重禮(岐阜大)

 収穫後経過時間、温度、および酸素濃度の関数とした、収穫後のブロッコリーのアスコルビン酸含量と色調を予測する重回帰モデルを構築した。実測値と予測値の相関係数は、それそれ0.910、0.858となり良好な予測が可能となった。本モデルを用いることにより、流通の様態に応じて要求される品質保持対策を検討することが可能となった。

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  • C-8
  • 貯蔵中におけるホウレンソウ組織内ガス環境の変動
  • 水上裕造(東京農工大)・齋藤高弘・志賀徹(宇都宮大)

 貯蔵ホウレンソウの組織内ガス環境を測定し、品質持効果を検討した。CO23%、O22%のCA貯蔵により組織内CO2濃度は2.6%、O2濃度は19%となり、アスコルビン酸の保持、呼吸の抑制に対し効果が認められた。しかし不適切なガス制御により組織内CO2濃度及びO2濃度の急激な増加、減少を招き、呼吸の異常および品質劣化を引き起こすことが明らかになった。

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  • C-9
  • Effects of Fluctuating Storage Temperatures on Quality of Kiwifruit in Modified Atmosphere Puckages
  • A. Addo, T. Satake, H. Hashimoto(Tsukuba Univ.)

 Kiwifruits were sealed in low-density polyethylene film and stored at 1℃ for 3 weeks and later stored at different fluctuating temperatures (1-15℃). Temperature fluctuation did not lead to anoxic atmospheres within the packages but affected quality parameters.

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  • C-10
  • 光情報による干しブドウの等級選別-デジタルカラー判別センサとカラー画像センサによる判別-
  • 常勝威(筑波大)・藤岡修・大森定夫(生研機構)・佐竹隆顕(筑波大)

 2種類の光学センサを用いて搬送コンベヤ上の中国産干しブドウの果皮色の計測を行った。カラー画像センサはコンベヤの搬送速度を変化させても、ほば同様な判定精度が得られる一方、デジタルカラー判別センサは、測定値が搬送速度の増加とともに減少する傾向が認められ、出力の速度依存性が明らかとなった。

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  • C-11
  • イチゴの模擬輸送実験における振動伝達特性
  • 小島孝之・劉蛟艶・田中宗浩・稲葉繁樹(佐賀大)

 箱詰めしたイチゴの多段積載状態における模擬輸送振動実験を行い、果実の振動挙動を測定し、それらの振動伝達特性についての知見を得た。13段積載時における振動台及び各積載段位の果実振動を測定し、解析した。その解析、高い周波数域での伝達比は積載段位が上部にいくほど小さくなり、低い周波数域で大きくなった。

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  • C-12
  • ペルチェコンテナの試作と性能評価
  • 椎名武夫・中村宣貴(食総研)・福嶌信秀・関尚行・岩城邦明(東京冷熱)

 1.8m×1.8m×2.2mHのコンテナ天井面に公称冷却能力150Wのペルチェユニットを10台設置した、フロンフリーの低温コンテナを試作した。庫内温度を0℃まで冷却できるコンテナ周囲温度は、標準状態で約22℃、吸熱面積が2倍では約24℃、4倍では25℃程度であった。また、吸熱面積の拡大で冷却速度が増加し、吸熱面の伝熱改善によって冷却性能が向上することがわかった。

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  • C-13
  • 中国の農作物卸売市場における流通の現状と分析
  • 古在由春・石川豊・杉浦則夫・前川孝昭(筑波大)

 中国の農作物卸売市場の変遷と現状を紹介し、現状を特徴付けるひとつの鍵である農民経紀人の存在に触れつつ、農作物流通の課題として中間流通組織の欠如などを指摘した。また農作物卸売価格の推移が健全な状況だとは言えない背景を、投資の必要な農業の台頭によって農家収入増が農家経営コスト増に追いつかず、また農家と非農家の収入較差が生じていること等から指摘した。

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  • C-14
  • 輸入農産物の食品衛生法に基づく検査体制の問題点の抽出とその対策について
  • 石垣学・魏斌・石川豊・杉浦則夫・前川孝昭(筑波大)

 食品衛生法による輸入農産物の命令検査に該当する品目の輸入状況及び検査結果から、アフラトキシンの検出事例を定性的および定量的に分析した。生産国、検査月により、その発生率に変動があることを認めた。検査命令の適用には、過去の詳しい輸入事例に沿った検査を実施することが適切であると考えられる。

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  • C-15
  • 大気放射冷却を利用したハイブリッド蓄冷式冷蔵システムの集熱・冷却性能
  • 小綿寿志・奥山武彦(農工研)

 スカイラジエータを用いた大気放射冷却の集蓄熱性能並びに水蓄熱式および氷蓄熱式冷房システムによる冷蔵庫の冷却性能を実験で明らかにした。1夜でスカイラジエータの放熱面1m2当り1.1~3.8MJが蓄熱され、集熱COPは0.9~1.9であった。夕方から翌朝まで約18時間かけて野菜を冷却する場合、中温室では約15℃まで、低温室では約5℃までの冷却が可能であった。

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  • C-16
  • Development of Dry Methane Fermentation System (Ⅲ) - Performances of Acidification by Rotational Dram Fermentation System (RDFS) -
  • Wei Zhong Jiang, Yutaka Kitamura, Noriaki Ishizuka (Shimane Univ.)

 The effects of hydraulic retention time (HRT) on the acidification process characteristics were determined via system parameters. Soybean meal with a higher TS content (approximately 20%) was used as substrate in this study.

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  • C-17
  • 嫌気消化における有機酸濃度によるメタン生成速度の変動予測
  • 井原一高(都立大)・杉浦則夫・前川孝昭(筑波大)

 嫌気消化において、メタン生成菌の阻害物質であるプロピオン酸濃度、微生物代謝に関与しているNAD(P)Hの変化速度そしてメタン生成速度の三者の時間差を相互相関関数を用いて計算した。メタン生成が安定しているHRT=10日の運転において、プロピオン酸濃度と約13.5日後のメタン生成速度との間にやや高い相関が得られた。

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  • C-18
  • 農業バイオマスを原料とした乾式メタン発酵システムの構築
  • 坂田悦朗・織田敦・笈田昭(京都大)

 本研究では、フスマを原料とした乾式メタン発酵システムを考案、設計、構築した。このシステムから得られるデータとこれまで継続して行ってきた湿式メタン発酵のデータを比較することで、乾式メタン発酵では、より高い有機物負荷での運転が可能であり、より多いガス発生量が得られることが確かめられた。

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  • C-19
  • フスマを原料としたメタン発酵の特性解析
  • 織田敦・坂田悦朗・笈田昭(京都大)

 農業バイオマスであるフスマをメタン発酵によってエネルギ変換することを目的として、可溶化処理を施した混合フスマを原料としたメタン発酵実験を行い、メタン発酵モデルの1つであるChen-Hashimotoモデルを適用してその発酵特性を検討した。その結果、発酵槽容積あたり最大メタン発生量や最適有機物濃度などの発酵条件と今後の実用化に向けての方向性が明らかになった。

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  • C-20
  • A Simple NIR Instrument for Liquid Type Samples
  • S. N. Jha, T. Matsuoka, S. Kawano (Kochi Univ.)

 A simple and low cost NIR spectrometer was used to determine the Brix of orange juice and the results were compared with that of NIR System. Partial least squares regression of spectral data in wavelength region from 700 to 11OO nm was performed. The standard errors of calibration and validation were found to be reasonably low (about O.47 Brix).

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  • C-21
  • 電解処理および磁気分離を用いた廃水処理
  • 井原一高・金森伊織・加藤誠志・伊藤大佐・渡辺恒雄(都立大)

 鉄電極を用いた電解処理と超伝導マグネットを用いた磁気分離を併用した廃水処理法を埋立浸出水処理に適用した。電解処理によって生成した常磁性の水酸化鉄に廃水中の有機成分が吸着と考えられ、高勾配磁気分離フィルタを装着した超伝導マグネットで水酸化鉄を回収したところ、廃水中の全有機炭素濃度が減少した。

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  • C-22
  • GAによる生物生産物資の最適輸送経路の決定
  • 佐竹隆顕(筑波大)・小高和博(新日鉄情報通信システム)・阪田治(茨城県立医療大)

 県内に仮想的に複数設定した農業プラントへの生産物資の最適輸送経路の決定問題に関して、遺伝的アルゴリズムを援用した基本的な探索シミュレータを開発した。同域内に湖沼などの通行障害がある場合には迂回地点を経由する一方、プラントが立地する都市間の標高差や輸送車両の積載重量等の条件を加味した上で燃料コストを最小とする最適経路の探索が可能であることを示した。

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  • C-23
  • 電解酸性水の貯留方法および施用装置による濃度低下の調査
  • 本田善文・長谷川三喜(畜草研)

 中酸性水では遊離塩素濃度は安定している。強酸性水は貯留中に濃度が低下し易く容器を腐蝕する性質があるため、低濃度の場合は生成直後の利用に限られ、高濃度でも使用直前に濃度を測定する必要がある。また、高圧洗浄機等で施用すると散布距離が遠くなるほど濃度が低下するが、強酸性水の方がその傾向が顕著となる。

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  • C-24
  • 電気インピーダンス・トモグラフィの異物検出への応用
  • 豊田淨彦・Tsenkova Roumiana・小川学(神戸大)

 寒天やKCl溶液のモデル食品中に銅管、空孔及びプラスチック円柱を設置し、電気インピーダンス・トモグラフィ手法により、試料の抵抗分布を二次元イメージとして求めた。それにより、イメージから異物や空孔が検出可能なことを明らかにした。データ収集にはNeighboring法を、画像再構成には有限要素法ほかによる逆解析法を用た。

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  • C-25
  • ニューラルネットワークによる障害バレイショの非破壊検出に関する研究
  • 中野和弘・宮浦裕也(新潟大)・滝沢憲一(前川製作所)・鬼島透・元永佳孝(新潟大)

 マルチスペクトルカメラにより取得した画像データをもとに、ニューラルネットワークにより内部障害バレイショの非破壊検出に関する検討を行った。その結果、ラディアル・ベース・ネットワークによる判別率は88.2%となり、内部障害バレイショの非破壊検出にニューラルネットワークが有効であることが示唆された。

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  • C-26
  • ニューラルネットワークを活用した汚濁湖沼の事前評価
  • 魏斌・森岡理紀・杉浦則夫・前川孝昭(筑波大)

 霞ヶ浦の栄養状態の変化を調査し評価するために、植物プランクトンについての生態学的指標の判別分析と組み合わせたニューラルネットワーク技術が閲発された。霞ヶ浦のデータの基づいた結果からは、植物プランクトン細胞数の対数値の数度によって十分に研究対象湖沼における異なった富栄養化レベルを区別することができたことが示された。

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  • P-1
  • ボールミルによる汚粒大豆のクリーニング効果-ミルの回転数と研磨剤の粒径が与える影響-
  • 内田進・藤木徳実(佐賀大)・緒方英郎(JA佐賀経済連)

 収穫時に生じる大豆表面に付着する土や草汁などの汚れを除去する方法としてボールミルを用いてその効果を調べた。今回はボールミルの容器サイズ(大中小)を変えてミルの回転数(2段階)、研磨剤(ジルコニアボール1mmφと2mmφにアルミナボール15mmφを混合したもの)による汚粒大豆の除去効果について測定した。

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  • P-2
  • 農産物の生産・流通におけるHACCP支援システムの構築-微生物成長環境評価エミュレータの開発-
  • 豊田淨彦・Tsenkova Roumiana・大崎伸明・小川学(神戸大)

 環境条件に基づいて危害発生の危険性を予測するソフトウェアの開発を目指し、拡張アメダス気象データに基づく温湿度環境グラフ化ツールと微生物成長予測シミュレータを作成開発した。更に、両者の統合により、実際の環境条件下で微生物危害の発生を精度良く予測する危害予測シミュレータを作成した。Listeria Monocytogenesを対象菌とした。

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  • P-3
  • 酪農施設内における細菌数の調査
  • 本田善文・長谷川三喜(畜草研)

 搾乳施設と周辺の好気性細菌数を調査した結果、固形物が多く残存する床面では104~106CFU/cm2と多くなる傾向がある。なお、コンクリート床面では固形物が無くても菌数が多いが、乾燥すれば低減できると推測される。また、牛床マットとウォーターカップ直下は洗浄直後でも菌数が多いので、高圧水による洗浄に他の方法を組み合わせた殺菌が必要であると考えられる。

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  • P-4
  • 積雪寒冷地における家畜ふん尿のバイオエネルギー化実験施設の建設について
  • 宮川真・秀島好昭・大深正徳(開土研)・舘山留夫(ドーコン)

 北海道湧別町に家畜ふん尿の適正処理を目指したバイオエネルギー化実験施設を建設した。200頭規模を対象に、メタン発酵施設と回収エネルギーを利用した堆肥化施設からなる複合施設とした。積雪寒冷環軋地域の酪農飼養形態及び共同利用等を考慮し、固液分離機・ふん尿融解槽等の周辺設備を設置した。

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  • P-5
  • 膜分離活性汚泥法によるパーラー・パドック排水の浄化処理-施設の概要と技術的課題-
  • 佐藤義和・中村正斗・矢用健一(北農研)・原宏一・西原良一(オリオン機械)

 北海道農業研究センターでは膜分離活性汚泥法による汚水の処理・放流に関する実証研究を行っている。処理水のBOD、SS、大腸菌群数は安定的に良好な数値が得られている。合理的で簡便なMLSS・BOD-SS負荷の制御、安定的な脱窒・脱リン、尿や堆肥れき汁などのプラントへの受け入れ、施設の簡素化などが課題である。

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  • P-6
  • コンポスト化プロセスの不安定性についてのランダムウォーク法による検討
  • 関平和(金沢大)

 状態変数のバラツキがコンポスト化の進行に及ぼす影響を確率論的に取り扱う方法を検討した。コンポスト化を均相系における化学反応に見立て、反応を確率論的に解釈して最終的にFokker-Planck方程式を得、数値解析は、地下水中の物質移動現象の解析に実績のあるランダムウォーク法によった。そして、バラツキの程度とプロセスの不安定性の関係を調べた。

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  • P-7
  • 平張型傾斜ハウスの設計及び施工技術
  • 長﨑裕司・川嶋浩樹・野中瑞生・的場和弘(近中四農研)

 傾斜地域の多様な閻壕条件にフレキシブルに対応できる平張型傾斜ハウスについて、各種圃場条件に対応した設計・施工方針を明らかにする必要がある。ここでは、平均傾斜18度の傾斜畑での施工事例を中心に施工に必要な材料及び手順を整理した。3a規模のハウスで30人日で施工できることが明らかになった。

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  • P-8
  • 温室における空気質の実態調査-粉塵およびカビの測定-
  • 奥島里美・石井雅久・佐瀬勘紀(農工研)・池口厚男(農研機構)・駒場謙一(栃木県芳賀農振事務所)

 フェンロ型温室と切妻型連棟ハウス(土耕栽培および水耕栽培)にて、粉塵量とカビのコロニー数の測定を行った。それぞれの測定は、パーティクルカウンタと吸引サンプリングにより行った。その結果、温室内は外気とほば同程度であり、粒径1μm以上の粉塵は1000個/lのオーダーであった。カビのコロニー数は約200/m3であった。

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  • P-9
  • 大気放射冷却のパッシブ利用による青果物の冷却・冷蔵
  • 小綿寿志・奥山武彦(農工研)

 夜間の大気放射冷却を利用した冷凍機によらない青果物の冷却・冷蔵の効果を明らかにするため、農ポリフィルムとアルミ蒸着フィルムの開閉が可能な二重パイプハウスを用いて実験を行った。秋季の晴天の夜間には、外気にさらした野菜は1夜の冷却で通常の予冷に近い品温低下が得られること、黒球温度計を用いて放射冷却の強度を簡易的に推定できること、冬季には2~4か月間野菜の品質保持が可能であること等を明らかにした。

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  • P-10
  • バイオマス燃料のエネルギー分析
  • 川上聡士・木谷収(日本大)

 バイオマス燃料は、有機物であるバイオマスをエネルギーとして利用するものであり、エタノール、メタンガス、植物油メチルエステル等に変換し、石油代替燃料として活用する方法がある。本研究では、バイオマスとして農作物を、エタノール、メタンガス、植物油メチルエステルの3種の燃料に変換する際、それそれの農作物がどのような効率でバイオマスエネルギーに変換・利用することが出来るのか分析を行った。

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  • P-11
  • 北海道の酪農地域におけるエネルギー需要とバイオガスエネルギーの特徴
  • 大深正徳・秀島好昭・宮川真・中村和正(開土研)

 北海道におけるバイオマスエネルギー資源の賦存量等調査を行った。北海道には利用可能なバイオマス資源が豊富に存在し、特に家畜ふん尿や食品産業汚泥が各地域に存在することがわかった。需要特性として、水稲、畑作の耕種農業では消費に明確なピークを有し、軽油の消費に特化していたり、酪農では年間を通して時期的な需要量に変化がなく生活系との類似が認められた。

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  • P-12
  • 機器測定パラメータ変換モデルによる感性評価システムの開発
  • 山田員弘・都甲洙・相良泰行・池田岳郎(東京大)

 リンゴを供試材料として、機器計測パラメータからその官能評価結果を予測可能なモデルを開発することにある。機器計測としてクリープメータを用いた破断試験とクリープ試験および糖酸度計測を行い、これらの結果から重回帰モデルおよびニューラルネットワークモデルを利用して官能評価結果の予測を行った。

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  • P-13
  • 強酸性電解水による種籾の消毒処理-もみ枯病細菌への効果-
  • 吉田恭一郎・鈴木鐵也(北海道大)・五十部誠一郎(食総研)

 もみ枯細菌を植菌したモデル系を用いて強酸性電解水、農薬などいくつかの処理による消毒効果と試料表面での微生物挙動観察を検討した結果、強酸性電解水処理で高い殺菌効果が得られた。発芽試験においては、発芽率には差はなかったが、農薬処理にくらべて根の量や長さに違いが認められた。

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  • P-14
  • 連続切片の仮想再構成による米粒の三次元解析
  • 小川幸春(食総研)

 農産物中の成分分布や内部形状を立体で計測する手法を米粒に適用して、立体的な内部形状の解析を行った。可視化目的の成分や構造に応じた染色等の着色手法と立体計測手法を組合わせることで、米粒の内部形状などを計測した。その結果、種籾の立体構造、特に水分・養分の通路である維管束の立体形状、および玄米粒中のデンプン含有、非含有部位の分離による胚と果皮の形状などが、立体の状態で解析可能であった。

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  • P-15
  • 生体材料内氷結晶構造に及ぼす凍結速度の影響
  • 都甲洙・相良泰行・工藤謙一・樋口俊郎(東京大)

 本研究は凍結において生体材料内に形成される氷結晶の立体構造、サイズ、分布等を定量的に計測する方法を開発することにある。供試材料に生牛肉を選びその組織を蛍光染色することによって氷結晶と組繊を識別し、マイクロスライサ画像解析システムにより生体材料内氷結晶を三次元的に観察する方法を確立した。本方法により凍結条件と氷結晶性状の関係を定量的に明らかにした。

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  • P-16
  • 海水濃縮技術開発に関する基礎研究-濃縮海水の物理特性-
  • 陳介余・松永隆司(秋田県立大)

 地域の自然条件を活用して効率よく海水を濃縮する技術を開発するため、濃縮段階での海水物理特性を調べた。その結果、濃縮海水の蒸気圧は、温度にだけではなく濃度にも非常に関係していることを示し、時間ことの蒸発水量は、濃縮海水と空気の蒸気庄差に比例していることを示した。

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  • P-17
  • 有機保水材の水分環境調節
  • 小林沙代・木谷収(日本大)

 作物生産において降水量の比較的少ない地域では、土壌の水分保持カが重要となってくる。本研究では、身近で大量かつ安価な有機廃棄物を保水剤として用いることを検討するため、新聞紙、籾殻、藁を選定した。これらの有機廃棄物は粉砕処理を施し間隙や表面積を増やし水分保持力を高める。有機廃棄物が保水剤として利用できるなら、土壌に混入することで土壌水を有効利用し、作物生産の向上が図れると考えられる。

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  • P-18
  • ジャージー酪農と稲作による複合経営に関する総合的評価
  • 河上博美・田村悠子・干場信司・森田茂・佐藤俊弥(酪農大)・池口厚男(農研機構)

 5つの評価指数を用いて、秋田県Y町の酪農家群を対象とし、地域的特徴、畜種、経営形態および糞尿処理方式の違いを評価するとともに、北海道内2町村との比較を行った。窒素負荷量の低さの原因は、水稲を加えた内部循環の成立と共同堆肥化センターの利用があげられた。

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