バックナンバー要旨

53巻1号(2022.03)

  • 技術論文
  • 家畜排せつ物堆肥材料のかさ密度の推定(第1報)―豚ふんと副資材の混合材料における検討―
  • 前田武己・齋藤雅貴・小島陽一郎・阿部佳之

 豚ふんに副資材としておが粉,籾殻,戻し堆肥をそれぞれ混合した材料についてかさ密度の値を検討した。小容積容器を用いた荷重試験を行い,その初期かさ密度と沈下量の回帰式から,堆積高さが2 mまでの単位面積当たりの質量とかさ密度を推定した。本研究の混合材料の初期かさ密度は,既往研究よりもおが粉混合では小さく,逆に戻し堆肥混合では大きかった。沈下量は,おが粉混合では水分が高いものほど大きかったが,籾殻混合と戻し堆肥混合では水分との関係は不明瞭であり,また副資材による違いも小さかった。得られたかさ密度の値は既往値と比較して,おが粉混合では約6~7割,籾殻混合では8~9割,戻し堆肥混合では1.1~1.2倍の値となった。こうした違いが生じた原因は,豚ふんと副資材との乾燥質量比が異なることと副資材個々の性状が異なるためと考えられ,豚ふん性状の変化による影響は小さいと考えられる。

キーワード:かさ密度,豚ふん,副資材,堆肥化,堆積状態,水分

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  • 技術論文
  • 家畜排せつ物堆肥材料のかさ密度の推定(第2報)―乳牛ふんと副資材の混合材料における検討―
  • 前田武己・齋藤雅貴・小島陽一郎・阿部佳之

 乳牛ふんに副資材としておが粉,籾殻,戻し堆肥をそれぞれ混合した堆肥材料について,かさ密度の値を検討した。小容積容器を用いた荷重試験の初期かさ密度と沈下量の回帰式から,堆積高さが3 mまでの単位面積当たりの質量とかさ密度を推定した。乳牛ふん材料の初期かさ密度の値は,おが粉混合や籾殻混合では豚ふん材料の6~7割であり,戻し堆肥混合では4割となった。沈下量は水分が高い材料ほど大きい傾向があったが,最大荷重のときの沈下量はおおむね戻し堆肥混合,籾殻混合,おが粉混合の順に大きかった。本研究により得られた乳牛ふん材料のかさ密度の推定値は豚ふん材料より小さく,また同種材料を用いた既往値に対してもおが粉混合とでは籾殻混合ではともに7割~8割程度に,戻し堆肥混合では5割~6割となった。これらは,ふんと副資材の乾燥質量比の違いと,実験操作の違いによるものと考えられる。

キーワード:かさ密度,乳牛ふん,副資材,堆肥化,堆積状態,水分

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53巻2号(2022.06)

  • 研究論文
  • 二重染色法を用いた牛ふんにおける生分解性プラスチック蓄積細菌数の割合
  • 島田光一・池口厚男・菱沼竜男

 家畜排せつ物は有用なバイオマス資源である。その発生量の9割以上が堆肥化処理される一方,近年では,堆肥の余剰等の課題から,堆肥化以外の新たなマテリアル利用法が検討されている。本研究では,家畜排せつ物の新たなマテリアル利用として生分解性プラスチックであるPHA(Polyhydroxyalkanoate)に着目し,家畜の中で排せつ物の発生量が最も多いウシを対象に,牛ふん中PHA蓄積細菌の存在確認,全菌数とPHA蓄積細菌数および全菌数に対するPHA蓄積細菌存在割合の定量評価を行った。試料は栃木県大田原市のA農場と那賀川町のB農場からホルスタイン,黒毛和種それぞれ3頭ずつの計12頭のウシから採取した。手法にはNile blue AとDAPIによる二重染色法を用い,直接計測法で細菌数の計測を行った。その結果,牛ふん中にPHA蓄積細菌の存在が確認され,牛ふんにおいてPHAが蓄積されることが明らかとなった。PHA蓄積細菌数と全菌数はそれぞれ1.0 ~ 11.0 × 107 cells/g-wet basis,5.4 ~ 50.4 × 107 cells/g-wet basisであり,全菌数に対するPHA蓄積細菌存在割合は 18.5 ~ 20.9 % であった。全菌数,PHA蓄積細菌数に関して牛種間で有意差は認められなかったが,全菌数は両牛種,PHA蓄積細菌数はホルスタインでのみ農場間で有意差が認められた。PHA蓄積細菌存在割合は牛種間,農場間いずれも有意差は認められなかった。

キーワード:家畜排せつ物,バイオマス,マテリアル利用,二重染色法,PHA

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53巻3号(2022.09)

  • 技術論文
  • 時間変動型ON/OFF制御による間欠通気式の堆肥化技術の開発(第1報)―乳牛ふん堆肥化の初期過程における温度変化とメタン,一酸化二窒素,アンモニア排出に及ぼす影響―
  • 宮竹史仁

 本研究の目的は,堆肥の温度帯に応じて通気と無通気の時間を任意に設定することが可能な時間変動型の間欠通気式の堆肥化を用いて,乳牛ふんの堆肥化初期過程における温度およびCH4,N2O,NH3排出量を明らかにすることである。小型堆肥化試験装置を用いて6種類のON/OFF設定による時間変動型の間欠通気式堆肥化を行い,慣行の連続通気と間欠通気の堆肥化と比較した。その結果,時間変動型の間欠通気システムは,慣行の堆肥化に比べて堆肥温度が55 ℃を超える高温期を持続させ,同時に最高温度を最大5.0 ℃上昇させた。システムの設定条件にもよるが,通気(ON)時間の割合を約80 %削減させたとしても,慣行の連続通気や単純な間欠通気の堆肥化よりも温室効果ガスの排出量を最大58 %減少させた。さらに,本システムは堆肥化の高温期で発生するNH3排出量を最大93 %減少させた。環境負荷ガスの抑制には,慣行の通気法よりも時間変動型の間欠通気を利用することが効果的である可能性があり,より衛生的な堆肥の生産にも寄与すると思われる。

キーワード:堆肥化,間欠通気,温度,温室効果ガス,アンモニアガス

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  • 技術論文
  • 軒高が異なる 3 連棟温室の風圧係数:風洞実験
  • 森山英樹・石井雅久・土屋遼太・大橋雄太

 軒高の増加が連棟温室の耐風設計に及ぼす影響を明らかにするために,軒高の異なる 3 連棟温室の風圧係数 Cp を求めた。 実寸で 2 m,4 m および 6 m の軒高を有する 3 種類の 3 連棟温室について,1:20 縮尺模型を使用した風洞実験を行った。実 験では,風向θ= 0 °(間口方向)からθ= 90 °(桁行方向)まで,5 °間隔で風向を設定した。θ= 0 °の時,温室中央断 面の Cp は複雑な分布を示した。風上側の屋根面では,軒高の増加に伴って Cp が減少した。風上側軒近傍では極値が出現し, 軒高の低い順に,Cp の数値は- 0.23,- 0.82,- 1.43 となった。一方,風下側では,Cp に及ぼす軒高の影響は小さくなった。 軒高 4 m の模型では,θ= 30 °の時,妻面に近い領域で Cp の最小値である- 3.02 が現れた。同様に,軒高 2 m および 6 m で は Cp は- 2.62(θ= 20 °)および- 3.56(θ= 30 °)が求められた。軒高の増加に伴って,Cp の最小値も減少することが明ら かとなった。設計風力に対する妻面近傍の Cp の極値の適用は,温室の合理的設計に寄与する。

キーワード:気流の剥離,高軒高,尖頭アーチ型,耐風設計,負圧,風向

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