バックナンバー要旨

49巻1号(2018.03)

  • 技術論文
  • スギ切削チップの静置通風乾燥
  • 竹倉憲弘・薬師堂謙一

 ハウス暖房の加温ボイラーの燃料の重油を地域資源である木質チップで代替するため、バイオガス発電の余剰排熱等を利用してチップを燃焼利用前に効率的に乾燥することを想定し、スギ生木切削チップの静置通風乾燥する基礎試験および実規模試験を行った。
 0.1 m3規模の基礎試験では、堆積高さ30 cm、送風量14.2 L/s、送風温度95 ℃の条件で210 minで乾燥でき、送風量および送風温度が一定の条件では乾燥に要する時間は堆積高さに比例することが明らかになった。1 m3の実規模試験からは、送風温度100 ℃で乾燥時間は580 minであった。自作した乾燥ベースと簡易堆肥器を組み合わせて木チップの乾燥が実用的に行えることが明らかとなったことから、乾燥ベースと組み合わせて使用する市販の簡易堆肥器を改良した送風乾燥用耐熱フレコンを試作した。この耐熱フレコンでの乾燥時間は、送風温度100 ℃で14.5 hになると推定する。

キーワード:バイオマス、固形燃料、エネルギー変換、切削チップ、静置乾燥

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  • 技術論文
  • バイオマスボイラーによるハウス暖房システムの開発
  • 竹倉憲弘・山下善道・金井源太・薬師堂謙一・安東赫

 施設園芸におけるハウス暖房に使用される化石燃料を木質バイオマスで代替するとともに、地域資源である木質バイオマスの利活用を促進することを目的として、ロータリーキルン式バーナーを核としたバイオマスボイラーにより燃焼熱を温水に変換して温風暖房するハウス暖房システムの実証実験を行った。
 ロータリーキルン式バーナーの熱風温度は700 ℃前後で、キルン内での溶融の問題は発生せず、5時間15分の燃焼で使用したペレットは65.6 kgであった。定格50 %の燃料供給で5.5時間で約80 ℃の温水を製造でき、熱交換器で燃焼熱から温水に交換された熱量は935 MJで、熱効率は84 %であった。17時半前から翌朝9時半ごろまでハウスの暖房を行って、ハウス内気温は暖房設定値の±1 ℃以内の精度で制御することができ、総放熱量は840 MJであった。本システムは温水タンクを備えたバイオマスボイラーによる暖房システムで、小型のバーナーでハウス暖房が可能である。本システムの設備単価は、kW当たり7万円程度である。木質バイオマスの燃焼による熱量をできるだけ無駄にしないために、今後はより適切な燃焼や温水循環の制御方法を確立していく必要がある。

キーワード:木質チップ、木質ペレット、ハウス暖房、温風暖房、バイオマスボイラー、ロータリーキルン式バーナー、ラジエーター、熱交換

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49巻2号(2018.06)

  • 研究論文
  • 園芸用パイプハウスの風荷重による崩壊過程と補強効果の三次元解析による検討
  • 高橋和也・植松康

 我が国で一般に用いられている園芸用パイプハウスを対象として、風荷重を受けた際、崩壊に至るまでの過程を幾何学的および材料非線形性を考慮した有限要素解析によって明らかにし、より合理的な耐風設計法を確立するための基礎的知見を得た。二次元解析に加えて三次元解析を実施し、両者の比較により妻面や桁行直管による拘束効果および三次元的な風力分布による三次元効果を明らかにした。また、種々の補強方法の効果について検討し、風荷重に対して効果的な補強方法を示した。
 パイプハウスは風荷重を受けると変形しやすい。変形に伴って風力係数分布も大きく変化するため、その変化が崩壊過程に大きく影響すると考えられる。したがって本研究では、風速を徐々に増大させ、変形に応じた平均外圧係数分布を数値流体解析で求め、その結果を新たな荷重として用いるという繰り返し計算を行った。なお、風荷重による崩壊はアーチパイプが桁行直交方向に押し倒されるようなものが多いことから、風向は妻面に並行な場合のみを想定し、平均変位のみを対象とした。
 本解析結果より台風等強風による実際のパイプハウスの崩壊状態を概ね妥当に再現することが示された。また、本解析結果に基づき、現在一般的に行われている設計法の妥当性並びに安全余裕度についても検討した。さらに、風荷重に対して特に有効となる補強方針を示した。

キーワード:園芸用パイプハウス、閉鎖型、崩壊過程、風荷重、三次元、弾塑性、流体・構造連成解析

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  • 技術論文
  • トウモロコシ子実の循環式乾燥機による乾燥試行および市販水分計による水分測定
  • 金井源太・篠遠善哉・山下善道

 近年、水稲農家が飼料としてトウモロコシ子実を生産する事例が散見される。そこで、トウモロコシ子実を生産する際に参考となる情報を提示することを目的として、米麦大豆用の循環式乾燥機での乾燥試験と市販水分計による測定値と絶乾法の比較を行い、以下の知見を得た。
 循環式乾燥機でトウモロコシ子実は乾燥可能であった。大豆設定では、仕様上、しわ粒防止機能で点火しない場合があるため、その際には、水分計は取外し、小麦設定でタイマー運転を行うことで乾燥作業が可能である。通風温度が高いと乾減率が大きい傾向が確認され、小麦設定での乾減率は1~2 %/hの範囲であった。除水量あたりの消費熱量は、5.5~6.0 MJ/kgで文献値と同等であった。
 静電容量式トウモロコシ用水分計として、国内製、米国製の2機種を供試した。両者とも実用上十分な性能と判断されたが、国内製のほうが、ばらつきも少なく絶乾法に近い値となった。
 静電容量式水分計の大豆設定、大豆用の乾燥機付属水分計については、両者ともトウモロコシ用でないため、表示水分はトウモロコシ用よりも絶乾法との差は大きく、利用する場合には近似式による換算が必要であった。乾燥機付属の水分計のほうが静電容量式よりも近似直線からのばらつきが少なかった。

キーワード:トウモロコシ子実、循環式乾燥機、水分、水分計

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49巻3号(2018.09)

  • 研究論文
  • 多層保温被覆資材の内張と水蓄熱体を導入したハウスにおける内張開閉タイミングの検討
  • 松田周・吉越恆・川嶋浩樹・千葉彩香・山田修・太田祐樹・鈴木朋代・有馬宏・安武大輔・北野雅治

 多層保温被覆資材の内張と水蓄熱体を導入したパイプハウスにおいて、定常と非定常伝熱を組み合わせた熱動態モデルを作成した。供試ハウスは間口5.4、奥行き18.0、棟高3.8、軒高2.3 mであり、そのハウス内に内張で囲まれた空間(間口4.9、奥行き16.5、最大高さ2.5 m)を設けた。モデルの妥当性を検証した結果、室温、蓄熱水温、地表面温度のRoot Mean Squared Error (RMSE)はそれぞれ2.6、2.3、1.7 ℃、d値はそれぞれ0.93、0.71、0.97であり、比較的良好な結果が得られた。このモデルを用いて室温、時刻および日射量に基づく内張資材の最適な開閉タイミングを検討した。供試ハウスにおける燃料使用期間(2013年11月21日~2014年3月31日)の設定室温12 ℃を維持する場合のA重油使用量を計算したところ、室温に基づく開閉制御では13 ℃(基準制御)で最小使用量176.4 L(期間合計値)になった。時刻に基づく開閉制御では8:40開、15:10閉の場合に最小燃料使用量130.3 L、日射量に基づく制御では開閉閾値180 W m-2の場合に最小使用量124.3 Lとなり、室温に基づく基準制御と比べてそれぞれ46.1、52.1 L少なかった。また、時刻に基づく制御では閉時よりも開時閾値の方が燃料使用量に及ぼす影響が大きいことが明らかになった。さらに、時刻および日射量閾値制御では燃料使用量や1日の日射量を優先する閾値および燃料使用量と日射量のバランスを考慮した閾値決定法を示した。

キーワード:多層保温被覆資材、熱動態モデル、開閉タイミング、燃料使用量

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  • 技術論文
  • 戻し堆肥の混合量が豚ふんの堆肥化反応、堆肥の品質および施設運営に及ぼす影響
  • 宮竹史仁・時久夏実・小野武仁

 戻し堆肥の混合量が豚ふんの堆肥化反応、堆肥品質および施設運営に及ぼす影響を明らかにするために、実際に稼働している豚ふん堆肥化施設において堆肥温度や肥料成分ならびに経営試算を検討した。豚ふん:おが粉:戻し堆肥を1:1:1(体積割合)に混合させた堆肥材料は、55 ℃以上の温度を連続238時間にわたり持続させた。この高温の持続は大腸菌群を死滅させ、安全な堆肥生産をもたらした。さらに、この高温の持続により堆肥化過程での水分蒸発を促進させ、高い乾燥効率が得られた。一方、おが粉のみで水分調整された材料の堆肥温度は、55 ℃以上の継続時間は36時間のみであり、そのため製品堆肥中には3.2×105 cfu g-ds-1の大腸菌群数が検出された。肥料成分に関しては、戻し堆肥の混合量が増加するほど製品堆肥中のリン酸やカリウム、亜鉛、銅の濃度およびEC値が1.4~2.4倍上昇した。経営分析においては、戻し堆肥を多く使用した1:0.5:2に混合させた堆肥材料による堆肥化が多大な経済効果を示した。その一方で、1:1:1に混合させた堆肥材料による堆肥化では、省力的管理が可能であることを示した。

キーワード:堆肥化、戻し堆肥、堆肥温度、肥料成分、施設運営、豚ふん

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